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仙台戦の劇的な勝利に、柏の選手の誰もが「この勝利は大きい」と口を揃える。Ｃ大阪戦の大敗、攻撃の核レアンドロ ドミンゲスの不在、そして引き分け以下ならば首位陥落の可能性など、様々なプレッシャーを抱える中、かつての柏ならばここで連敗を喫し、そのままズルズルと下降線を辿ったものだったが、今年の柏はひと味もふた味も違う。仙台戦のアディショナルタイムの残り１分、最後の最後で選手たちが力を振り絞るかのように走り、もぎ取った勝利は必ずや今後につながるはずだ。
今節はレアンドロ ドミンゲスの出場停止が解ける。今や“クラブ史上最強の助っ人”とまで言われるこのクリエイティブなアタッカーのスタメン復帰は誰が見ても大きいことは明らかだ。そのため兵働昭弘か澤昌克が外れることになりそうだが、おそらくその他のメンバー変更はない。破綻の傾向にあった守備面に関しても、大敗の影響で全選手の意識がより高まり、再び柏に“堅守”が戻ってきた感がある。広島はサッカーのスタイルもシステムも独特ではあるが、がっちり守備を固められた仙台戦とは異なり、相手が積極的に攻撃へ出てくる分、柏にも有効なスペースは生まれる。仙台戦では互いに焦れない“我慢比べ”が必要とされたが、今節は互いに訪れるチャンスを確実に決め切れるかという攻撃の部分が大きなウェートを占める。
広島は前節Ｃ大阪を相手に敗戦。前半で森崎和幸を退場で失い、１人少ない戦いを余儀なくされた。「Ｃ大阪のような攻撃的で個人の質の高いチームに１人少ない状況で闘うのは難しい」と話すペトロヴィッチ監督の言葉通り、Ｃ大阪の攻撃力に屈した１−３の敗戦は、柏にとって５失点を喫した第２節のＣ大阪戦を見ているかのような感覚に捉われた。柏がＣ大阪戦の敗戦後に立て直し、しかも主軸の不在を乗り越えて仙台との上位対決を勝ち切ったことを考えれば、攻守において不可欠な選手・森崎和幸を欠き、敗戦直後に迎える柏との上位対決で「広島が不利」という図式が全く成り立たないことを強調しておきたい。もちろん森崎和幸の欠場は痛手ではあるが、代わりに出てくる選手、例えば前節の後半から登場した横竹翔は昨季２７試合に出場して主力としてシーズンを通じて活躍した選手だ。穴になるとは考えにくい。
そしてこの一戦では、やはり李忠成には触れないわけにはいかない。かつて“柏のエース”だった男が、広島移籍後、初めて日立台のピッチに立つ。「僕の個人的な意見だけど、順位とは関係なく、柏には絶対に勝たなければいけない」とのコメントからも、並々ならぬ闘志を燃やし、古巣のスタジアムへと乗り込んでくるのは容易に察しがつく。
ただ、北嶋秀朗は「チュンソン（李忠成）は本当に良い選手だと思う」とかつてのチームメイトの力を認めながらも「でも、うちの２人のセンターバック、ドゥー（近藤直也）とマス（増嶋竜也）も良いＤＦなので。特にドゥーはチュンソンが嫌がるプレーを分かっているんじゃないのかな」と付け加える。強靭なフィジカルと高い身体能力、そして速さと巧さをも兼備する近藤の実力は、各方面から「代表クラス」と高評価を受ける。近藤vs李、このマッチアップは９０分を通して見応えある激しいバトルを繰り広げそうだ。
前節の仙台戦の勝利を振り返る時、選手たちはあの最後の最後で足が動いたプレーを「サポーターの熱い声援があったから」と述べている。真夏の連戦に迎える仙台、広島、川崎Ｆとの上位対決は、紛れもなく柏にとって大きな山場だ。前節同様、選手とサポーターを含めた総力戦で柏は戦う。
■この試合注目のHOT BALLER：近藤直也（柏）
以上
2011.07.12 Reported by 鈴木潤
