7月10日(日) 2011 J2リーグ戦 第20節
鳥栖 0 - 1 富山 (19:03/ベアスタ/4,357人)
得点者:85' ソヨンドク(富山)
スカパー!再放送 Ch185 7/12(火)後03:00〜
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富山の選手のコメントから紹介する。
「調子の良い時のビデオを見せてくれた」と富山の選手が振り返ってくれた。
直近の10試合で勝利をあげることが無かった富山の選手たちに、安間貴義監督(富山)は繰り返し“富山がやろうとしているサッカー”の映像を繰り返し見せていたそうである。
結果が出ていない間も、選手たちは“やろうとしているサッカー”のイメージは持っていた。そして、今節の鳥栖戦では、自分たちのサッカーを信じて90分間を戦い、11試合ぶりの勝利をあげることができた。3−3−3−1のシステムを用いた富山は、最後まで自分たちの役割を全うしたのである。おそらく、試合時間の経過ともにやるべきサッカーができていると自信を深めていったに違いない。
「“共有すべきリスク”をハッキリさせる事ができた」事が勝因だと安間貴義監督(富山)もコメントを残したように、今節の富山はやる事をハッキリと観る人に示してくれた内容だった。
富山にとって“共有すべきリスク”とは、言い換えると、“鳥栖のストロングポイント”への対応のことであり、その対応を共有したことで、鳥栖にストロングポイントを出させずに狙い通りのサッカーを行えていた。鳥栖のストロングポイントは、サイドを使った攻撃から、相手を崩して得点を奪うことである。
鳥栖は、今節もその狙いを敢行しようと試みていた。左サイドでMF國吉貴博がボールを運ぶと、右サイドのMF早坂良太は中央の空いたスペースに入ってきてボールを引き出そうと試みた。中央の選手が外に開いた場合も、サイドDFの選手が高い位置に上がってきた場合も、逆サイドから中に入ってくる動きは顕在だった。良い時の鳥栖は、この入って来る選手にボールが入り、相手の陣形を崩してシュートを放つ事ができていた。だが、「中に入っていってもマークされていた感じだった」とMF早坂良太が体感したように、富山の選手はこの中に入ってくる選手への対応を最後まで怠らなかった。ワントップに入った苔口卓也は、ボールを追い込むコースを限定し続けた。サイドに流れたボールに対しては、早いプレスをかけて自由を奪うだけでなく、中に入ってきた選手を捕まえてボールの出し所を消していくことで、鳥栖の得点チャンスを奪っていったのである。
鳥栖も流れを引き寄せるべく、左サイドDFの金民友をより攻撃的に動けるようにMFの位置に上げたり、岡本知剛をボランチに入れたりと手を打った。ここには、「セカンドボールを拾ったあとのパスの精度をもっと上げよう」(尹晶煥監督/鳥栖)との意図があった。しかし、富山の7本のシュートを上回る12本を放ったが、得点をあげることはできなかった。
逆に徹底した“共有すべきリスク管理”を行っていた富山に、攻撃スイッチのメッセージが70分に出された。FW黒部光昭とMFソ ヨンドクを同時にピッチに送り込んだのである。「無失点の状態をより長く続け、最後の15分に切り札として黒部を入れる展開に持ち込みたい」と試合前に安間貴義監督が語っていた通りの展開であり、ピッチ上にいる富山の選手たちに残り時間の戦い方のメッセージを送った。そして、そのメッセージが85分に実を結ぶことになる。鳥栖のゴールライン近くの所でFW黒部光昭が粘ってボールを返したことで、右足でソ ヨンドクが決勝点をあげたのである。
自分たちのサッカーを信じて最後まで戦い結果を出した富山と、自分たちのサッカーに持ち込もうと試みたが最後まで相手を崩せなかった鳥栖とでは、この試合で得たものに大きな違いがあるように感じる。
その結果をどのように生かせるのかは、次節の対戦で出すしかない。
富山は熊本戦を、鳥栖も栃木戦をアウェイで戦うことになる。熊本も栃木も戦い方がハッキリしているチームであり、そこに対してどうやって自分たちのサッカーに持ち込むことができるのか・・・。
今節を見た限りでは、鳥栖の方が立て直しに時間がかかりそうである。
信じたものを突き詰めるためには時間がかかる。
特にサッカーは、相手があって試合が成立するので突き詰める事は容易ではない。
しかし、そこをクリアしない限りはステップアップも上位進出もありえないし、そこを怠ってはプロフェッショナルとはいい難い。
愚直といわれても繰り返し試みるのか、相手の裏をかくのかは、監督の戦術プランとそれを信じる選手たちのサッカー感にかかってくる。
しかし、どのような策を講じても、求める結果に違いはない。
サッカーの試合は、勝つために行うものであり、負けて良い試合などは存在しない。
■この試合のCOOL BALLER:平出涼
以上
2011.07.11 Reported by サカクラゲン
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