7月9日(土) 2011 J1リーグ戦 第3節
神戸 0 - 1 名古屋 (19:03/ホームズ/17,568人)
得点者:84' 中村直志(名古屋)
スカパー!再放送 Ch181 7/12(火)後11:00〜
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決定的なチャンスは両チームともにあった。神戸の大久保嘉人がGKと1対1になる場面も数回あれば、名古屋は田中マルクス闘莉王がゴール前で強烈なダイレクトシュートを放つシーンもあった。名古屋のストイコビッチ監督の会見コメントを借りるなら、最後まで「どちらに勝敗が転んでもおかしくないオープンな展開」だったと言える。シュート本数では神戸が6本上回っていることを考えれば、逆の結果でもおかしくはなかったはずだ。
だが、0−1で名古屋が勝利する。これが王者たる所以かもしれない。
前半の立ち上がり。名古屋は最終ラインでボールを回しながら、ロングボールをケネディに入れ、2ndボールを玉田圭司や小川佳純が拾う展開をみせた。2ndボールへの反応が神戸よりも半歩ないし1歩早く、2次3次攻撃をしながら、じわじわとポゼッションを高めていった。そして34分に名古屋らしい美しい崩しが生まれる。阿部翔平が前線へ浮き球を入れると、オーバーラップした増川隆洋がワンタッチのヒールキックでケネディへつなぎ、そのケネディもワンタッチのヒールで闘莉王へ。そして、走り込んだ闘莉王が強烈なダイレクトシュートを放つ。結果的には神戸のGK徳重健太の好セーブに阻まれたものの、前半の名古屋ペースを象徴するプレーだった。
後半。ゲームは一変し、神戸が立ち上がりから果敢なアタックを見せる。特に左サイドハーフの小川慶治朗が再三に渡ってドリブルでのカットインを繰り返し、名古屋DFを混乱させた。神戸にゴールの匂いが漂う。だが、56分に、その小川(慶)が右足首の負傷でピッチを離れる。相手の脅威となっていた小川の交代によって名古屋が立て直すかに思われたが、今度は左サイドバックの茂木弘人が幾度となくオーバーラップで崩し、神戸が優位にゲームを進めていった。72分にはその茂木が左サイドからゴールライン際をえぐり、フリーの羽田憲司へマイナスのパスを入れる決定的な場面も。80分には途中出場の朴康造からの相手DF裏への浮き球に反応した大久保がGKと1対1に。1点奪えば完全に神戸ペースになるような展開を、名古屋の中村直志がミドルシュート一発で変えた。
「前にスペースがあったので思いきって上がった」と中村が振り返るように、自陣の深い位置でボールを受けた中村は一気にドリブルで相手陣内へ切れ込む。そしてバイタルエリアから右足でミドルシュートを放つと、ボールはGKの頭を越えてネットに突き刺さった。ケガからの復帰初戦で決めた中村のシュートをストイコビッチ監督は「美しいゴール」と賞賛し、神戸の和田昌裕監督は「一発で勝負を決められた」と苦虫を噛んだ。
これで名古屋は9戦負けなし、逆に神戸は8試合白星なしとなった。劣勢の中でも結果を出すチームと、優勢でも結果を出せないチーム。神戸の和田監督は「(一発で勝負を決められる)そこの差はものすごく大きな差」と会見で語った。つまり“決定力の差”だ。
ゴールは水物、入る時もあれば入らない時もある。でも、そんな気まぐれを確実にものにできるチームが優勝できるチームなのかもしれない。それをあらためて感じさせるゲームだったのではないだろうか。
■この試合注目のHOT BALLER:中村直志(名古屋)
以上
2011.07.10 Reported by 白井邦彦
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