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【J1:第3節 川崎F vs 福岡】レポート:勝って兜の緒を締めなければならない川崎F。3点を先行されてからの逆襲に光明を見出したい福岡。(11.07.10)

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7月9日(土) 2011 J1リーグ戦 第3節
川崎F 3 - 2 福岡 (19:04/等々力/16,686人)
得点者:38' 稲本潤一(川崎F)、45'+1 中村憲剛(川崎F)、66' ジュニーニョ(川崎F)、71' 岡本英也(福岡)、77' 岡本英也(福岡)
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90分を終えてみて、よく勝点3を手にできたな、というのが率直な感想であろう。後半の66分に、ダメ押しとも言える3点目を奪っていた川崎Fは、そのまま無難に試合を終わらせなければならなかった。しかし、そこから瞬く間に2失点を喫するのである。優勝を狙おうかというチームであることを考えれば、実に拙い試合運びだった。

ただ、結果として出てしまった試合運びの拙さとは別に、そこに至る相馬直樹監督が主導しチーム内に浸透したサッカー観については、正当に評価すべきであるとも考える。拙さについては後述するとして、彼らはサッカーに対して誠実に取り組んでいるという点について、改めてその姿勢が伝わってくる試合だったのである。

たとえば3点をリードしているチームの戦い方のひとつとして、『試合を壊す』というやり方があるだろう。自陣深くにラインを取り、ボールを蹴って相手にわざと攻めさせ、手薄な相手の守備陣に対してカウンターを仕掛ける。そもそも川崎Fはそれができないチームではない。ただ、それは今年の川崎Fにはないサッカーなのである。もちろん、蹴らざるをえない場面は出てくる。ただ、それは意図的にそうしているのではなく、相手の攻撃が川崎Fの攻撃を上回ることによって蹴らされているだけ。本質的に川崎Fは、試合を壊すこと無くしっかりとサッカーを続けようという姿勢を持っており、それについては、前向きに評価したいと思う。

すなわち、彼らは3点をリードした段階になってもなお、攻める姿勢を崩さなかったのである。福岡という相手に、そしてスタジアムを訪れたサッカーを愛する人達に敬意を込めて、4点目を奪いに行くのである。そしてそれが後半途中からのドタバタ劇となる。

そんな不安定な戦いの理由について「コミュニケーション不足」を指摘する稲本潤一は、柴崎晃誠と共に「リスク管理の必要性」を訴えている。チームの要として活躍する彼らが振り返るのは、つまり、点を取りたい気持ちを持つ前の選手と、そのスピードに着いていけない後ろとの距離が離れてしまっていたという現実である。

川崎Fが4点目を狙う姿勢については評価したいのだが、その、4点目を狙いに行く方法が真っ正直すぎるという点については今後改善が必要であろう。前の選手は「さらに追加点を」とシャカリキになり、後ろの選手は福岡の捨て身の攻撃をモロに受け、ラインを押し上げる時間を作れないでいたのである。つまり、そこでチーム全体の意識がバラけてしまっていたのである。

そうやって前が攻め急ぐ事で川崎Fは間延びしてしまい、中盤に出来ていたスペースを福岡に次々と突かれてしまう。例えば福岡が岡本英也の鮮やかなミドルシュートによって1点を返した71分の場面について。その場面での川崎Fの中盤は、まさにスカスカになってしまっていた。そしてそれは川崎Fの攻守の連携のまずさを明示していたといえる。そして、そうした場面が出てしまったという意味では、この一週間の修正は不完全だったと言うしかなかった。

その後「1試合2得点は初めてです」と話す岡本英也の2点目を77分に喫すると、流れはそのまま福岡に移ってしまうのである。そうした展開の中、積み重ねた3得点が危うく無効化されそうな場面まで作られたという事実を見れば、この日の川崎Fの戦いは決して褒められたものではなかった。ただ、それでも最後は集中し、福岡の攻撃を跳ね返し、追いすがる福岡を振り切ってかろうじて勝点3を手にする。勝ったという点については、評価したいが、そこで結果オーライにしてしまわないことが、今後の川崎Fには必要なのだろうと考える。

好調を維持する稲本の、状態の良さを改めて再認識させてくれるような前半38分の、ホームでの初ゴールにはじまり、山瀬功治の突破からうまく中村憲剛が合わせた前半終了間際の45+1分の2点目も素晴らしい連携からのもので見事だった。相手のココロを折る事になるのだろうと思われた66分の3点目は、9試合ぶりのジュニーニョによるもの。必ずしも福岡を圧倒していた訳ではないまでも、彼らの攻撃をしのぎつつ、ポイントポイントで得点を積み重ねており、そういう点ではいい形で試合を運べていたといえる。それだけに、試合をうまく終わらせられない「いつもの展開」が残念だった。

この試合は反省が必要なものである。ただその反省を、勝点3を手にした状態で行えるという点で、ラッキーだったと言っていい。勝ちはしたが、薄氷を踏むような勝利だったという点は忘れてはならない。モチロンそれは選手たちも分かっており、修正の必要性を口にする選手ばかりだった事は付記しておきたい。

ちなみに修正すべき点は、前線と最終ラインとの距離であり、前に掛かる前線と最終ラインとのコミュニケーションの確保である。コミュニケーションが取れていたとしても、1失点後のバタバタした試合展開がなかったとは言えないのだか、この試合では意思の疎通そのものが出来ていなかったという。今後はしっかりとしたコミュニケーションをどのようにとり、それに基づいて意識をどのように統一させるのかを突き詰めて欲しいと思う。
勝つには勝ったが、相手の決定力不足にも助けられた試合であり、大きな課題を突きつけられた試合だったとも言えるだろう。

3点のビハインドから川崎Fを追い詰めた福岡は「決定機を決められなかった」と松浦拓弥が肩を落とす戦いをしてしまった。特に前半の立ち上がりに2本の決定機を作り出しており、これが決まっていれば川崎Fは大いに慌てさせられていただろう。さらに言うと、前述したとおり、終盤は川崎Fを押しこんでおり、あわや同点かという場面も作っていた。「負けは負け。ただ、3失点するとそのまま気持ちが落ちていたが、今日はよく踏ん張って盛り返せた」と松浦。攻撃の形は作れていただけに、ゴールを奪うためのあと一工夫が切望される。そんな試合だった。シュート数でも川崎Fを上回っており、そうした点でも悔いの残る試合だったと言えそうである。

■この試合のHot Baller:稲本潤一(川崎F)

以上

2011.07.10 Reported by 江藤高志
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