7月9日(土)J1 第3節 川崎F vs 福岡(19:00KICK OFF/等々力)
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それを決められるのかどうかは別として「嗅覚の鋭さ」と決定機とはリンクするものである。6月22日の清水戦に始まった川崎Fのアウェイでの3連戦は、もちろん、いろいろな出来事が詰まってはいるのだが、印象深い場面を思い浮かべると、そこには必ず小林悠の姿があった。
前節の7月3日の横浜FM戦では、アディショナルタイムのボレーシュートを外し、同点ゴールのチャンスを逃してしまうのだが、それにしてもボールがこぼれてくる、その場所にポジションを取れているというのは何かの才能なのだろう。
その才能のひとつが、動き出しの速さである。例えば、引き分けた6月25日の鹿島戦では、オフサイドになった幻のゴールの場面で、稲本潤一のヘディングシュートに真っ先に反応していたのが小林だった。嗅覚というのは決して「運」などではなく、それを予測する力、予測した場所に動く能力をトータルしたひとつの才能だということが言えそうだ。ゴールへの嗅覚と、決定力が別物であることについては、今回はあまり深くは追求しないが。
いずれにしても、その小林の働きもあり勝点を積み重ねてきた直近の川崎Fにとって、前節の横浜FM戦での敗戦は、久しぶりに喫した黒星だった。そして、だからこそこの1週間を大事にしてきたのだという。
中村憲剛は「この連戦で負けていなかったということで、良くないところがナアナアになっていたところを洗い出してこの1週間やってきた」と話す。相馬直樹監督にその修正点が守備なのかと話を聞くと、「守備というと違うんですが」と難しい顔をしつつ「連動しているので連続したところになる。切り替えのところを含めて、(攻守)両面ということになります」と説明してくれた。
非常に抽象的な表現に若干理解が付いていかない部分もあるのだが、井川祐輔が「もう一度自分たちの目指すサッカーを取り戻そうと。それが生命線になる」と話し、中村も「自分たちがやってきたことに立ち返って弾みをつけたい」と話しており、この1週間をかけてやり直したことが、今季ここまで川崎Fが目指してきたサッカーを指すということがわかる。
そういう点では、今季川崎Fの試合を初めて観戦される方にとっては、この試合を見てもらえれば相馬監督が指向してきたサッカーの形が見えるという事になるのだろう。もちろん、ここまで川崎Fをご覧になってこられた方にとっては、それが「全体をコンパクトにした上で、激しいプレスを仕掛けるサッカー」を示すのだという事は、脳裏に浮かびやすいのではないかと思う。
いずれにしても、この試合では今季ここまで作ってきた川崎Fのサッカーがどこまで実現できるのか、注目してほしいと思う。
そうした中で対戦する福岡は、川崎Fにとっては難しい相手という事になりそうである。なにしろ前節に今季初めての白星を手にしており、その勢いを持って上位チームである川崎Fを倒しにくるものと考えられるからである。
その攻撃は非常にシステマチックで、トップの城後寿に当てたボールを成岡翔や、2列目の選手が拾い、そこからのパスワークで相手ゴールに迫るというもの。甲府を下した前節の決勝点は、中盤で奪った相手ボールを素早く切り替えて生まれた物。田中佑昌を起点として城後を経由したサイド攻撃を田中佑が決めたものだった。ゴールも技ありで、きれいな形。そうしたサイドを効果的に使った攻撃は、形にはまると非常に機能的であり、ある程度のところまでは攻め崩すことができていた。
サイドからの攻撃という点では、左サイドに入る松浦拓弥も高い技術を持つ選手で怖さがある。選手個々を見ていくと侮れない力を持っており、一筋縄では行かなさそうである。
それほど奇をてらう事無く、シンプルな4−4−2を取る福岡は、潔いサッカーを展開してくるものと思われる。川崎Fと真っ向勝負でぶつかるとすれば、お互いに良さを引き出し合う形になるものと思われる。そういう点では、お互いにゴール前の場面が増える試合になるものと期待したいところだ。
川崎Fにとって怖い部分があるとすれば、それは相手が最下位のチームであるという事であろう。選手自身はもちろん、サポーターも含めて勝点3が絶対に必要である、という試合になるのは間違いない。そうしたプレッシャーはつまり、突き詰めていけば自分たちとの戦いになる。
「相手がどうだというのではなく、最下位とか関係なく、ホームで、(前節の試合を)負けた後で、やり直したい」と語る相馬監督の言葉を受けた川崎Fの選手たちが、どのような試合を見せてくれるのか、注目したいと思う。
■この試合注目のHOT BALLER:小林悠(川崎F)
以上
2011.07.08 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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