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今ここに大分の力が集結――。大分にとって今季の大一番となる試合が、刻一刻と近づいている。
先月１日から３万人の観客でスタジアムを埋めようと『7.9大分総力戦〜今ここに大分の力が集結〜』と銘打って、クラブ職員、アカデミーのコーチに選手、スタッフが加わり大分県内各地で告知やビラ配りをして歩き回った。すべては「大分力を全開にし、スタジアムでしか味わえない一体感、臨場感、非日常的空間をつくり、サッカーの醍醐味を３万人の方に体感してほしい」（大分FC•青野浩志社長）との思いからだ。
今季のJ２最多の観客数は、東京Ｖ対Ｆ東京の東京ダービーで２万８８３２人。これを上回るのは容易なことではないが、「何としてでも達成したい」とクラブの本気度は半端でない。最高の舞台を準備するために試合当日までスタジアムへの動員を呼びかけるようだ。
最高の舞台には、最高の対戦相手が必要だ。今節の大分と対戦するのはＦ東京。人気、実力ともに申し分ない相手である。日本代表選手から各世代の代表を経験している選手が多数在籍している“銀河系軍団”である。これまでけが人が多く、J２の戦いに戸惑いがあったようだが、メンバーが定着してからは５連勝とグングン順位を上げ、現在最も勢いがあり、最強軍団と化している。前節の鳥取戦では、前半こそスペースを消され攻めあぐんだが、後半は面白いようにパスが回り、攻撃サッカーを披露。可憐な崩しあり、セットプレーからの得点ありと３得点で圧勝した。試合後に大熊清監督が「後半はスペースができてやろうとするサッカーができた」と振り返れば、羽生直剛も「なんとなく掴んできた」と手応えを口にした。自分たちのサッカーをすれば勝てるという思いは５連勝の結果とともに、日に日に増している。
「強い。J１でも戦えるレベル」と田坂和昭監督も素直にＦ東京の強さを認めるも、「戦える要素はある」と勝点３を奪うために着々と準備を進めている。今週は火曜日から異例の戦術練習を行い、前節の北九州戦ではポッカリ空いたサイドのスペースの修正と守備の役割を刷り込んだ。３−４−３のシステム上、ワイドの選手が守備ではスペースを埋める動きに、攻撃では起点となることが求められ、アップダウンが必要となる。「そこがサボるとチームが機能しない」（田坂監督）重要なポジションの出来が、今節の勝敗を左右するだろう。練習ではケガから復帰したチェ・ジョンハンを含め、何人もの選手を試し、最高の状態の２選手を選ぶようだ。
今節の試合は38試合分の１でないことは選手も十分と認識している。「スタッフが最高の舞台を整えてくれた以上、自分たちは勝つためにプレーするだけ」と大分市出身であり、アカデミー出身の井上裕大が話せば、森島康仁は「負けられない試合。個人的にも代表選手のいるチームにどれだけ通用できるか試すチャンス。今年のターニングポイントとなる試合」と位置づけ、メラメラと闘志を燃やしている。
Ｆ東京が攻め、大分が守る構図となるだろう。観る者によっては一方的な試合と映るかもしれないが、守る側（大分）が一瞬の隙を狙い、一太刀に全身全霊を懸けていると知れば、緊迫した試合を楽しめるはずだ。
試合は土曜日19時に３万人が集う大分銀行ドームでキックオフ。
■この試合注目のCOOL BALLER：森島康仁（大分）
以上
2011.07.08 Reported by 柚野真也
