7月2日(土) 2011 J2リーグ戦 第19節
熊本 0 - 0 鳥栖 (19:04/熊本/6,795人)
スカパー!再放送 Ch185 7/4(月)後00:30〜
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※鳥栖側プレビューはこちら
3連勝とバトル・オブ・九州の今季初勝利はならなかった。鳥栖を迎えた熊本はスコアレスで引き分け。土曜の試合を終えた時点での順位は5位で、上位との差を詰めるには至らず、逆に7位以下との差が縮まる結果となった。
ただ、高木琢也監督や選手たちの口からも聞かれたように、この3連戦をトータルで見たとき、2勝1分の無敗で乗り切って勝点7を加えたという点は揺るぎない事実。特にこの日のように押し込まれた試合の場合、昨年までなら負けていた可能性も高かったことを考えれば、チームとしては歩みを進めていると見るべきだろう。
熊本は長沢駿の出場停止を受け、トップ下でプレーすることが多かったファビオを前線に動かし、今季初先発となるルーキーの齊藤和樹との2トップを組ませる。さらにエジミウソンを休ませて原田拓をボランチ、左サイドバックに11試合ぶりの先発となる筑城和人と、中2日というスケジュールによる疲労を考慮し、前節からスタメンを入れ替え。一方の鳥栖も前線に豊田陽平、左サイドに金民友を先発で起用する。
立ち上がりこそ押し込まれるものの、豊田へのロングボールに対しては矢野大輔がほぼマンツーマンでついて自由に競らせず、鳥栖のプレスバックも曖昧だったことでセカンドボールを拾えるようになった15分過ぎからは熊本のペースに。「最終的に効果的な攻撃ができないという風になってもいいから、とにかくボールを動かせと伝えた」と高木監督が話した通り、前半に関しては握ったボールを広く動かし、またタイミングを見てはDFラインから長いフィードでスペースを狙うなど、長短のパスの使い分けはできていた。
しかしながら、「いつもやっている選手だと、いろんなものを把握しているので声やコーチングがなくても分かるが、出し手と受け手で合わないシーンや、練習しているような形を作れないシーンがあった」(高木監督)という要因も絡んで肝心なところでの精度を欠いた。前半はシュート7本を放っているが、いい形に持ち込めたのは福王忠世のフィードからファビオ、武富孝介とつないで迎えた16分の片山奨典のシュートと、右から市村篤司がえぐってファーサイドに送ったクロスのこぼれ球を筑城がミドルで狙った36分の2回程度に留まっている。
後半に入ると鳥栖が前への勢いを増したが、これはおそらく、前線でボールを収めることができていなかった豊田が、ボールを受けるために前半より落ちてくるようになったことで結果的にスペースができ、そこに鳥栖の2列目の選手が入り込む場面が増えたためだと思われる。熊本はこれに対してセカンドボールの争いでも前半の優位性が薄れ、また徐々に対応が遅れ始めて不要なファウルも目につくように。56分の早坂良太のクロスからの場面を皮切りに、61分には野田隆之介のパスから、その後も65分、73分、74分と立て続けに豊田に決定的な場面を作られたが、いずれも決まらずに「救われた」(高木監督)。
こうした状況で75分頃まで攻撃に人数を割けなかった熊本だが、79分に市村の仕掛けから鳥栖の磯崎敬太が2枚目の警告で退場となり、交代で入った大迫希や西森正明が絡んでようやく流れを引き戻す。しかし前述したような要因で「相手が嫌なところにボールをつけられない」(高木監督)、「その後のワンタッチでのパスにつながるような、斜めのクサビが少なかった」(原田)ことでシュートまで持ち込めなかった。80分には前日の練習で確認していたのと全く同じフリーキックの場面を迎えたが連携がうまくいかず、また4分と表示されたアディショナルタイムの90+2分には左のコーナーキックから福王が頭で合わせてネットを揺らしたものの直前のファウルで無効となるなど、結局後半は記録上1本のシュートも打てずに終了の笛を聞いた。
内容からすれば、負けていてもおかしくない展開だったこと、さらに3連戦の最後で疲労があったことも踏まえれば勝点1はまずまずの結果。この日見えた課題――攻撃面の構築やチャンスを多く与えた守備の対応、そしてやはり後半の入りなど――を改善することで、もう一段ステップアップする必要がある。そんな中でも、今までなかなか試合に絡めなかった選手が出場機会を得たことや、試合の流れの中でシステムを変えて対応するといったオプションを試せたことなど、今後につながる要素も僅かながら見られた。次節はアウェイに乗り込んでの千葉戦。この引き分けをより価値のあるものにするためにも、次が正念場。まだ勝ったことのない千葉から勝点3をもぎ取り、昨シーズンからの成長を証明したい。
■この試合のCOOL BALLER:原田拓(熊本)
以上
2011.07.03 Reported by 井芹貴志
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