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【J2:第19節 熊本 vs 鳥栖】鳥栖側レポート:前後半で互いに別な顔を見せた両チームは、互いに身体を張ってしのぎあってスコアレスドローの痛み分けで終わる。(11.07.03)

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7月2日(土) 2011 J2リーグ戦 第19節
熊本 0 - 0 鳥栖 (19:04/熊本/6,795人)
スカパー!再放送 Ch185 7/4(月)後00:30〜
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8日間で3試合をこなす過酷なスケジュールでの最終戦。結果だけをみると勝点1ずつを上積みした内容で、痛み分けといったところだろう。互いに勝利を目指し、ハードワークを仕掛けてはみるものの、有効打を放つことはできずに無得点のままに試合終了のホイッスルを聞いた。

前半の鳥栖は、熊本の早い出足に少々戸惑う場面が見受けられた。熊本の前線に預けるパスのこぼれたボールを拾うことができない時間帯が続いたことや、中盤の選手にミドルシュートを打たれてしまい、鳥栖の持ち味である早いプレスをかけることができなかったからである。前半のシュート数は3に押さえ込まれ、決定機を作ることができなかった。
この状態を尹晶煥監督は、「お互いにディフェンシブに戦った結果…」と振り返った。ただこれは意識的に守備的にしたわけで無く、お互いに攻める姿勢を見せたために、結果的にそうなったとのことだった。
「熊本は、前線にスピードを持った選手がいて、攻撃に人数をかけることができなかった」(尹晶煥監督/鳥栖)からである。観ている側には感じることができないピッチ上での駆け引きがここにあったのだろう。
高木琢也監督も「互いにアグレッシブに戦った結果で、サッカー本来の面白い部分が出た」とコメントした。
スタイルこそ違うが攻撃的な選手だった両監督には、それぞれの持ち駒での攻撃的な姿勢を貫いた試合だったのだろう。

鳥栖の攻撃的な姿勢は、先発のメンバーに表れていた。FWには、豊田陽平と野田隆之介を起用した。熊本DFの高さを考えての起用であり、左サイドのMFにはクロスの精度と積極的なドリブル突破を持つ金民友を選んだ。この選択の意図が、そのまま試合に出ていたら鳥栖の勝利になっていただろう。しかし、連戦の影響も少しながらあったに違いない。わずか3本のシュートに抑えられ、熊本のゴールネットを揺らすことはできなかった。「豊田や野田の高さを生かすようなクロスが少なかった」と尹晶煥監督は前半の出来を振り返った。

対する熊本も、鳥栖のFW豊田陽平と野田隆之介の高さに対してのケアをしっかりと行った結果、守備での対応に追われて攻め手をやや欠いたようにも見えた。鳥栖ははるかに多い7本のシュートを放ち、鳥栖のゴールネットを揺らすことはできなかったものの、前半に限って言えば、熊本の方がやや有利に試合を運んでいたように見えた。

後半に入ると状況が一変した。
状況を振り返ると、鳥栖は7本のシュートを放ち、熊本はシュートを打つことさえできなかった。
「修正箇所がわかっていたので、みんなで話し合って」とボランチの永田亮太は試合後に、その一変した理由を教えてくれた。
「トップとその後ろから入ってくるシャドーを意識していた」とは、この日スタメンに名を連ねた丹羽竜平のコメントである。彼の言葉どおり、熊本の2トップには試合を通してシュートは記録されていない。前半に拾えなかったセカンドボールも良く拾い出し、中盤での主導権を握ることで、鳥栖は攻撃のペースをつかんだ。もちろん、ミドルシュートも打たせることは無かった。後半だけで、FW豊田は5本のシュートを記録することができた。しかし、79分に退場者を出した影響もあってか、決定機は幾度と無く作り出すものの、最後まで熊本ゴールのネットを揺らすことはできなかった。守備でも、熊本の早めの選手交代に落ち着いて対応したことで、得点どころかシュートさえも許すことは無かった。前半の守備に追われた姿は後半影を潜め、果敢に熊本ゴールに迫る姿を見せてくれた。逆に熊本は前半の勢いが消え去り、鳥栖に押し込まれるシーンが増えていた。

しかし、サッカーはシュート本数で結果が決まるものではない。鳥栖も熊本も、最後まで得点をあげることができなかった。その結果、勝点差は縮まることなく、互いに勝点1を加えただけに終わった。キャプテン室拓哉は試合後に「勝つこともできたかもしれないし、負けていたかもしれない」と試合を総括した。観ている人にはわからない、選手たちだけが感じることができた“死闘”だったのだろう。互いに身体を張ってしのぎあい、スコアレスドローの痛み分けで終わったバトル・オブ・九州だった。

サッカーの面白さは、華麗なパスで相手を崩すことだけではない。ボールを奪うために激しく身体をぶつけることも、ゴールを割られまいと身体を投げ出してシュートブロックに入ることもサッカーの面白さのひとつである。ボールが無いところではスペースを奪い合い、そこにボールを引き出すこともサッカーの大事な要素であり、面白さでもある。ボールを目で追いながら、ピッチ全体を見て欲しい。そこには、駆け引きと瞬時の判断が交錯するサッカーが行われているはずだ。サッカーの魅力は、90分間、ピッチの至るところで発せられていることを忘れてはいけない。

■この試合のCOOL BALLER:豊田陽平(鳥栖)

以上

2011.07.03 Reported by サカクラゲン
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