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【J2:第19節 草津 vs 水戸】水戸側レポート:水戸、高笑い!闘将采配ズバリ!終了間際、フランクの一撃で草津を奈落の底へと突き落とす。(11.07.03)

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7月2日(土) 2011 J2リーグ戦 第19節
草津 1 - 2 水戸 (19:34/正田スタ/3,654人)
得点者:22' 小澤司(水戸)、73' 古林将太(草津)、89' ロメロフランク(水戸)
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草津は強かった。ボランチの松下裕樹を中心に左右にボールを散らし、分厚い攻撃を仕掛けてきた。そして、前線のラフィーニャの突破力も水戸にとって脅威であった。スピードとテクニックを兼ね備えたドリブル突破で水戸ゴールに迫り続けた。さらに67分に萬代宏樹が投入されると、前線で起点を作られ、水戸は防戦一方の展開を強いられることとなる。水戸は22分に華麗なパス回しで草津ディフェンスを翻弄し、小澤司のゴールで先制するものの、30分以降は草津の猛攻にさらされ続け、そして73分に同点に追いつかれてしまう。そのまま水戸はノックアウトされてもおかしくない状態に追い込まれた。

しかし、水戸も強かった。間違いなく草津よりも強かった。どんなに草津に押し込まれようとも水戸は粘り強く対応し続けた。1点を失う前、何度もピンチを迎えるものの、体を張ってゴールを死守。全員でゴールを守り続けた。選手たちが口にしたのが、「東京V戦のような試合をしてはいけない」ということであった。
立ち上がりからペースを握って、いい形でリードをする。だが、その後相手に主導権を握られ、守備一辺倒の展開となってしまう。そこまでは東京V戦と同じ流れであった。だが、そこから明らかに「東京V戦とは違う内容だった」(柱谷監督)。「選手たちはとても粘り強く戦ってくれたし、ボールに対して厳しくいってくれたし、体を投げ出してくれた」と柱谷監督が言うように、チーム全体が集中力を保ち、組織的に草津の攻撃を防いでみせた。1失点は喫したものの、チームは士気を失うことはなかった。1点を返されてから崩れてしまった東京V戦とは選手たちの気迫が違った。

そして、水戸は再び立ち上がった。最後尾の塩谷司が、ボランチの村田翔が、西岡謙太が必死にボールを左右に展開し、主導権を握り返してみせる。失点から1分後、塩谷からの縦パスを浮けた西岡が左サイドに展開。パスを受けた小池純輝が鋭い仕掛けからシュートを放つ。GKに防がれるものの、そのプレーで息を吹き返した水戸が攻め立てる流れを築く。
勢いづくチームに、指揮官の名采配がさらなるパワーを与えた。「真ん中にパワーがほしかった。常盤(聡)と迷ったけど、フランクのパワーとボールキープ力、シュート力に賭けた」という指揮官の思いにロメロ・フランクが見事に応えてみせた。トップ下の位置で抜群のキープ力を見せて起点を作り、攻撃に厚みを加えた。

そして89分、北関東ダービーの歴史に残る名シーンが誕生する。バイタルエリアでボールを受けたフランクはゴール前の密集地帯へとドリブルで切り込んでいく。ゴール前には草津守備陣が多く陣取っていたものの、フランクにはそんなのは関係なかった。「こじ開けてみせる」。その思いだけがフランクの頭にあった「ゴール前に小幡がいるのが見えた」フランクは小幡純平とのワンツーを選択。草津DFに囲まれながらも小幡が体を張ってボールをリターンしたボールは「絶対にボールが返ってくると信じて走った」フランクのもとにやってくる。草津DFが必死に足を伸ばして防ごうとするものの、フランクの動きは鋭く、そして強烈だった。振り切った左足から放たれたボールはゴール右隅に突き刺さり、土壇場で勝ち越しに成功してみせた。

アディショナルタイムの4分間、草津のパワープレーをしっかりとしのぎきり、勝利を手にした水戸。試合終了の笛が鳴った瞬間、柱谷監督は「よっしゃ!」と大きな大きなガッツポーズを見せた。これは単なる1勝ではない。草津という北関東のライバルに勝利した大きな1勝であると同時に、チームがまた一歩確かな前進をしたことを証明する勝利であった。

前節東京V戦で2点のリードをひっくり返されて逆転負けを喫するという屈辱を味わった。だからこそ、選手たちは「東京V戦の教訓があった」(小澤)と声をそろえる。岡田佑樹が負傷交代になろうと、同点に追いつかれようと、どんな展開になろうとも戸惑いを見せることなく、チームがひとつとなってしのぎきることができた。そして、最後まで勝利を信じて戦い抜くことができたのだ。90分という時間の中でしっかりゲームをコントロールしての勝利に、「一皮向けたかなという手ごたえはある」といつも自己評価の厳しい村田も充実の表情を見せた。

このチームは驚異的なスピードで成長を遂げている。第14節鳥栖戦で0対5という大敗を喫した後、チームはハードワークを怠ることがなくなり、そして前節東京V戦で露呈された「ゲームコントロール」という課題もわずかな時間で克服してみせた。屈辱を糧に、若い選手たちは日々たくましさを増しているのだ。

確かな成長を見せる若き水戸。だが、もはや「成長」という言葉を使うのは、選手たちに失礼だろう。周りから見ている以上に選手たちは成長を遂げているし、チームとして完成形に近づこうとしている。村田はこう言い放つ。「チームとしてどんどんよくなっているけど、もうそろそろそういうところから脱しないといけない。もっと高いレベルを求められないと、僕らに未来はない。成長ではなく、完成したチームにならないといけない」。
自らの可能性を自らの手で切り開いていく蒼き戦士たち。彼らの進む先には「希望」だけが無限に広がっている。

■この試合のCOOL BALLER:塩谷司(水戸)

以上

2011.07.03 Reported by 佐藤拓也
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