7月2日(土) 2011 J2リーグ戦 第19節
栃木 1 - 1 札幌 (18:03/栃木グ/4,736人)
得点者:41' 那須川将大(栃木)、75' 横野純貴(札幌)
スカパー!再放送 Ch185 7/3(日)後03:00〜
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7日間で3試合を戦う超過密日程の最終戦を、栃木は中5日の札幌を相手に1‐1のドローで終えた。
「鳥栖戦は2点目が入る日で、今日は入らなかっただけだと思う」
追加点を奪えなかったことに質問が及ぶと、松田浩監督はそう答えた。前節の鳥栖戦ではアディショナルタイムに劇的なゴールでフィナーレを迎えた。一方、札幌戦では数多の決定機を作りながら2点目が遠かった。「勝点3を取れた試合だったので悔しい。勝点1では満足したくない」。誰もが渡部博文と同じ思いを抱いているに違いない。しかし、シーズンを通して鳥栖戦のような幕引きもあれば、札幌戦のようにゴールが奪えない時もある。中2日の日程で千葉、鳥栖との上位対決に加え、不得手な札幌にも負けなかったことは小さくない。3連戦で稼いだ勝点5は、対戦相手と日程を考慮すれば3連敗も有り得ただけに、十分に納得できる結果だったと言える。
疲労は隠しきれなかった。連戦で蓄積した疲労は栃木の選手を蝕み、出足と共に判断を鈍らせた。開始2分、ロングスローの流れから高木和正が放ったファーストシュートがネットを揺らせば、それが活力となったかもしれないが、惜しくもGK李昊乗の正面を突く。開始早々に宇佐美宏和の負傷退場もあり、上手くリズムを掴めなかった栃木。だが、今季初先発の杉本真が4‐1‐4‐1の間、ファジーなポジションで起点となると、次第にボールが動き始める。41分には右から左に大きく展開し、駆け上がった那須川将大のクロスが相手DFの足に当たり、そのままゴールに吸い込まれた。先制した栃木は直後にもパウリーニョとリカルド・ロボのホットラインから決定機を生み出すも、ロボはフリーの場面で吹かしてしまう。「攻撃のところであまりにも前半は消極的過ぎた」と石崎信弘監督が言う通り、札幌は1トップの横野純貴にボールが収まらず、有効な攻撃が行えないまま45分を過ごした。
一気に蹴りを付けたかった栃木は、後半頭からフルスロットル。セカンドボールを拾い、幅のある攻撃で攻め立てる。しかし、57分のパウリーニョ、59分のロボが得点機を逸したことが後々になって響いた。やはり、決めるべきことで決めないと痛い目に遭うのがサッカーの定石。
ゴールの気配すらしなかった札幌だったが、3‐5‐2へ布陣変更し、攻撃的な姿勢を強めると75分に横野が同点弾。その後は“栃木キラー”内村圭宏のスピードと、上原慎也の高さを利して攻勢に転じる。最終盤に撃ち合いとなった試合は、結局互いにゴールが割れずにドロー決着となった。
「いつもならば勝点0のところを1取れたとプラスに考えたい」と河合竜二は勝点1を解釈し、「本当に内容は酷かった。今日は栃木に助けられた」と付け加えた。砂川誠が補足する。「失点シーンも相手のチャンスも、ほとんどが自分達のミスからだった。簡単なミスは減らさないといけない」。札幌は奪ったボールを安易に失い、自ら主導権を明け渡していた。攻撃の核となる横野がキープできれば、トップ下の4人が適度な距離感で連動した攻撃ができるが、「1トップでの仕事は皆無だった」と石崎監督の横野評では苦しい。攻撃の形が見出せないのは深刻な課題だが、下を向いてもいられない。エース内村の復調を好材料に、ホーム3連戦で勝てる雰囲気を作り上げたい。
震災の影響で延期された試合は残されているが、次節からリーグ戦も二順目の対戦に突入する。相手に分析、研究され、栃木対策はこれまで以上に進むだろう。しかし、「自分達のサッカーができれば結果は付いてくる」と高木は自信を見せる。自信を裏付けるのが、8勝4分2敗という数字だ。序盤戦の好調の要因を、「相手の弱点を突き、自分達の良さを発揮できた」と選手達は口を揃える。具体例としては湘南戦が挙がる。自分達のサッカーを貫ければ……口にするのは簡単だが、実行に移すのは容易ではない。だが、「いい守備からのいい攻撃」を序盤戦で具現できたからこそ、現在も昇格圏内をキープできている。中盤戦も栃木が栃木であるために、核となるハードワーク、ディシプリン、コミットメントを重んじ、チームコンセプトを貫徹できるかが、上位を維持するキーファクターになる。
ぶれずに、自らのやり方を貫き、チャレンジャー精神を忘れることなく、栃木は夏場も堂々と上位戦線に挑む。
■この試合のCOOL BALLER:崔根植(栃木)
以上
2011.07.03 Reported by 大塚秀毅
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