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【J1:第2節 清水 vs 鹿島】レポート:ホームで良いサッカーができなかった清水と、チャンスを決めきれなかった鹿島。どちらも“成長痛”を味わった中でのスコアレスドロー(11.07.03)

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7月2日(土) 2011 J1リーグ戦 第2節
清水 0 - 0 鹿島 (18:34/アウスタ/15,528人)
スカパー!再放送 Ch183 7/4(月)後00:30〜
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ホームで良いゲームができない今年の清水。今回もその課題が、これまで以上にはっきりと表われてしまった。試合内容や戦略からいっても、チャンスの数からいっても、鹿島が勝ってしかるべきゲームではあったが、2試合連続の無失点で勝点1を獲得したことは、清水にとっては大きかった。

とくに前半の清水は、まったく何もできなかった。キックオフ直前になって大粒の雨が降り始めた中、立ち上がりから鹿島が前線で厳しいプレッシャーをかけてきたのに対して、清水の選手たちはセーフティーにいこうとしすぎたのか、ボールを下げる場面やGKへのバックパスが多くなる。その結果、DFラインは深くなり、前線との距離が広がって縦パスが狙われやすくなってしまう。この試合では、本来DFの平岡康裕と村松大輔でドイスボランチを組んだが、この2人が鹿島のプレッシャーを受けた中でも自信を持ってパスを受け、確実に味方につないでいくという働きができなかったため、DFラインは確実なパスの出し所がなくなり、大きく蹴るしかなくなるという場面が多くなっていった。
そして、中途半端なロングボールや無理な縦パスからボールを奪われ、カウンター攻撃を食らう中でますます縦パスへの恐怖心が強くなる。そのため、さらにパスが前につながらなくなって、ロングボールを蹴るしかなくなっていく。まさに悪循環。自分たちのリズムをまったくつかめない前半の45分間だった。

鹿島の監督や選手に話を聞いても、そこまでの意図があったかどうかはわからないが、今の清水の弱点を見事に突かれたゲーム展開。ゴトビ監督は、球際の競り合いで負けていたことやメンタル面を大きな問題としたが、それ以前に、このドイスボランチでいく以上、構造的に表われやすい問題でもある。1ボランチで戦った場合でも、同様な状況が表われたゲームがあった。おそらく今後も同様な狙いを持って戦ってくるチームが増えてくるであろう中で、この課題をどう克服していくのか。ゴトビ監督の手腕が注目される部分だ。
思えば、1-5で大敗した第11節・神戸戦でも、同じような状況に陥っていた。今回も前半のうちに点を取られていれば、神戸戦のような展開になる恐れも十分にあった。その意味では、少なくみても3回は決定機をつかんだ鹿島がゴールを決めきれなかったのは、清水にとって幸いだった。

「サッカーをやる前に負けている。もっと強く! もっと闘え! もっと男になれ!」。ハーフタイムでゴトビ監督から強烈な檄を受けた清水は、後半になって多少は持ち直していく。とくに後半12分の高木俊幸、19分の枝村匠馬、33分の小林大悟という交代カードは着実に効果を発揮し、鹿島の疲れが出始めた中で、時間が経つごとに自分たちのペースをつかんでいった。小林が入った後には、この試合で初めて相手を押し込んで分厚く攻撃を繰り返す時間帯を作ったが、ゴール前の鹿島の守りも堅く、なかなか決定機には至らない。
本当に決定的と言える場面は、清水には90分間ほとんどなく、後半も鹿島のほうが多くの決定機を作っていた。だが、そんな中で2試合連続の無失点で終え、勝点1を得たことは清水にとって唯一最大の収穫。鹿島の決定力不足に助けられた面も多かったとはいえ、苦しい場面で耐えきる力は着実に向上している。
とくに新守護神・碓井健平が、試合ごとに自信をつけ、落ち着いたプレーを見せていることは大きい。クロスボールや裏へのボールに対して飛び出す判断も的確で、動くべきでない場面ではしっかりと良いポジションをとって、シュートに対して鋭い反応を見せる。選手が目に見えて成長していく過程を見守ることは、サポーターの楽しみのひとつでもある。
守備陣も同様に集中力の高い守りを見せ、直接狙える位置でのFKを与えなかったことも、鹿島を無失点に抑える意味で大きなポイントとなった。

一方、鹿島の側から見れば、これだけゲームを支配し、チャンスも多く作りながら1点も取れなかったことは、まったく鹿島らしくない部分。若い選手の起用が増えてきた中で、今季苦しんでいる原因のひとつと言えそうだ。この試合の両チームに共通点があったとすれば、どちらもチームが変わりつつある中で、それに伴う“成長痛”を味わっているということだろうか。

■この試合のHOT BALLER:碓井健平(清水)

以上

2011.07.03 Reported by 前島芳雄
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