7月2日（土） 2011 J1リーグ戦 第2節
新潟 2 - 0 山形　（19:03／東北電ス／23,408人）
得点者：13' 田中亜土夢（新潟）、49' 田中亜土夢（新潟）
スカパー！再放送 Ch181 7/3（日）後02:00〜
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新潟は2-0で山形を下し、第9節神戸戦以来10試合ぶりに勝点3を手にした。前半13分、MF田中亜土夢がフリーキックを直接ゴールに入れて先制。後半4分には、再び田中がこぼれ球を押し込んだ。山形は後手を踏み、ゴールが遠かった。

手荒い祝福がうれしかった。2得点目を挙げた田中は、ヘッドスライディングのパフォーマンス。「トレーナーに言われて、得点したら何かやろうと思っていました。でも、うまく滑らなかった」。寝転んだところをチームメートに取り囲まれた。プロ入り6年目で、初のリーグ戦2得点。「ゴールを狙っていった結果。勝ちに貢献できてうれしい」。試合後も笑顔が絶えなかった。

2得点、どちらも持ち味を発揮したものだった。前半13分。ペナルティーエリア左からのフリーキック。巻きこむような弾道で、ゴールキーパーのブロックをはじきながらゴールへ。「狙い通りに蹴ることができた」。中央に走り込む味方に合わせるボールも考えたが、蹴る位置は「いちばん得意」な角度。この1週間、フリーキックの自主トレでも、ほとんど決めていた。「自分で決める」。心変わりに迷いはなかった。

2点目は反応の良さを示した。右サイドから酒井高徳がクロス。そこにブルーノ・ロペスがダイビングヘッドを試みるが、バーに当たってはね返る。「ブルーノがいい形でボールに飛び込んだ。こぼれ球に備えていた」。目の前に戻ってきたボールをジャンプしながら、落ち着いてへディンクで押し込んだ。

この試合が2試合連続で、今季3戦目のスタメン。故障離脱中のチョ・ヨンチョルの代役を木暮郁哉と競う形で左サイドハーフに入っている。過去2試合は、第16節仙台戦と第18節C大阪戦。いずれも終了間際の失点で引き分けに終わった。田中はどちらもシュート2本を放ったが、「もっと打てるチャンスがあった」と話すように、シュートを狙うことに対して周囲に気を使う部分があった。自分よりも正確に決められる味方が周囲にいるかもしれない、という遠慮が先に出ていた。それを払拭させたのが黒崎久志監督の一言。「遠慮しないでシュートを狙え」。この言葉で吹っ切れた。「パスを考えずに狙っていこうと思った」。この試合で放ったシュート数4本は今季自己最多だ。

「複数得点で、無失点。それが勝利の要因」。黒崎監督は思い描いた試合運びに満足した様子。その象徴が田中だった。「亜土夢は足を止めない。攻守で動き続けてくれる」とスタメン起用の理由を話した。田中、そして右サイドハーフの三門雄大が流動的に走り、前線と中盤の一体感を出した。その結果チーム全体の攻守が連動した。

期待通りの活躍は、そのまま未勝利のトンネル脱出つながった。「次が大事。気持ちを切り替えたい」。試合後、田中は気持ちを引き締めた。

山形はリズムをつかめないまま、90分を終えた。FW大久保哲哉をターゲットにしたロングボールで活路を見出そうとした。だが、新潟にセカンドボールを拾われた。くさびからボールを支配しても、相手の速いプレスの前に攻撃の精度を欠いた。

「1点を先に取ることが出来れば、変わってくるのだが。そこまで我慢できない」。小林伸二監督が言うように、リードされると流れを引き戻せない。ここ2戦の敗北を踏襲するような流れで黒星を喫した。

前半33分に大久保のヘディングがポストに直撃するなど、惜しい場面もあった。バイタルエリア付近に入ってからはサイドバック、中盤、FWが連動した攻撃の形をたびたび作った。だが、フィニッシュの精度がいまひとつ。「失点の重さがある。フィニッシュで力が入ってしまう」（小林監督）。

この試合も宮本卓也が故障でベンチから外れるなど、故障者があとを絶たない。戦力が整うまで、体力的、精神的な粘り強さが今以上に必要になってくる。

トンネルを抜けた新潟は、次節で結果を出すことで、この日の勝利が意味を持つ。山形はホームで立て直すことが今後につながる。どちらも次節が重要になる。

■この試合のHOT BALLER：田中亜土夢（新潟）

以上

2011.07.03 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）