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ちょっと前までは「やばい、やばい」とは言いながらも腹の中では（なんとかなりそう）と思っていたが、気がつけば降格圏内の16位。勝点では16位から13位のC大阪（1試合未消化）までが11ポイントで同数だが、開幕前にマスコミの多くの皆さんが降格候補に挙げた福岡、山形、甲府が降格圏内に並んでしまったことが悔しい。甲府とすればC大阪戦、仙台戦と続いた直近の2試合の内容が悪く、3試合前には鹿島に勝っていただけにショック。まさか、加藤ローサが松井大輔と結婚するなんて…ではなくゾーンディフェンスが崩壊といわれることがショック。しかし、正しくは崩壊ではない。一朝一夕に出来るものではないから建築途中の家にはまだまだ安心して住めないということ。かつて大宮だってゾーンディフェンスの完成度を高めるのには数シーズンを費やした。ゾーンに人を並べるだけではなく、そこからの判断や連携の細かい部分がまだまだ未熟だったということ。それなら成熟させればいい。転んだら立ち上がればいい。守備と攻撃は盾と矛の関係だから、レベルの高い矛にはレベルの高い盾を用意しないと突き破られることを勉強させてもらった。崩壊ではなく完成度が足りなかっただけ。失望なんてしない。
今節山梨中銀スタジアムに迎える柏はG大阪に負けたとはいえ、柏が悪すぎたのではなくG大阪がよかったという内容。それに対して甲府はC大阪戦、仙台戦と2試合連続で自ら転んだような敗戦。自ずと世間様の雰囲気もtotoの支持率も柏有利の「2」。首位・柏サポーターの皆様におかれましては、来年のACLの準備を御始めになられているという噂で羨ましい限りだが、今節は2ヶ月前の借りをお返ししたい。そのためにはどうすればいいのか。自分ではよく分からないので三浦俊也監督に聞いてみた。
「レイソルに勝てばこの（過密日程）5連戦は（2勝1分2敗で）五分ですから問題ない（ニヤリ）。勝てばね（ニヤリ）。今まで勝った試合（名古屋、清水、鹿島）は相手よりも甲府がアグレッシブに行ったか、粘り強さを出して戦えた」と、具体的な戦術には言及しなかったが吹っ切れたようなコメントだった。ベタネタに飽き飽きしている柏好文は記者が聞く前から「柏が柏を倒すなんてネタはもう嫌ですよ」と前置きしてから「（ゾーンディフェンスの）共通認識は試合を重ねるごとに成功も失敗も経験して理解度が高まっていると思う。C大阪戦は（同サイドの）市川（大祐）さんとポジショニングの判断がズレて失点に繋がったけれど、修正は出来る。ワグネルとの（守備の）対決だけでなく、僕がドリブルで突破していく対決をより楽しみにしてください」とこっちも強気で鼻の穴を大きく膨らませた。
なんだかやれそうな気になってきた。前節、仙台に酷く敗れ、ユアスタから地下鉄で仙台駅にトボトボと向かい、東京までの新幹線の車内が寂しいので買ったスポーツ新聞には「ザックジャパン、柏のイケメンストライカー・田中順也をキリンチャレンジカップ（韓国戦）にリストアップ」という記事があった。それを読んで、ますます田中のモチベーションが上がりそうで怖いと思っていたが、甲府は敗戦の中から希望を見つけ出せそう。前日練習の雰囲気にも悲壮感はなかった。あったのは秘めた闘争心。三浦・甲府になって初めて選手だけのミーティングも行っており、「味方のプレーを云々言う前に、自分の責任をみんながしっかり果たそう」ということで意思の統一を図った。山本英臣は、「（チームとして）最後の拠り所にするものの共通認識を見出そうとした」という。伊東輝悦や山本らが中心となってこのミーティングを開催したようだが、この流れはいい。仙台に敗れ、ゴール裏のサポーターに挨拶に行った選手にサポーターはブーイングではなく、「どんな奴らより君を愛してる〜、俺たちがついているさ〜、全ては甲府のため共に勝利つかもう〜」と歌った。選手はこの気持ちに応えるためにイチガンになろうとしている。この両者の想いがあれば今節もみんなで戦える。人差し指だけを立てた右手を顔の前に出して出来る限り眼力を増幅させ、その人差し指をゆっくり前後に3回動かそう。まだまだー、これから〜。明日、甲府サポーターは何があっても山梨中銀スタジアムに集合。みんなで山梨の底力を見せつけよう。
以上
2011.06.24 Reported by 松尾潤
