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【J1:第17節 広島 vs 山形】プレビュー:スタイルが全く違う名将対決には、サッカーの深遠な魅力が詰まっているはずだ。(11.06.21)

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6月22日(水)J1 第17節 広島 vs 山形(19:00KICK OFF/広島ビチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
スカパー!生中継 Ch182 後06:50〜
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2008年5月3日、広島・ミハイロ・ペトロヴィッチ監督と山形・小林伸二監督は、J2の舞台で初対決を迎えた。
この試合の結果は、1-0という最少得点差ながらペトロヴィッチ監督が「相手のシュートの記憶がない。勝つべくして勝った」と言うほどの広島の完勝。ところが6月29日、山形が2位に浮上しての「直接対決」となった第2クールでの対決では、広島が先制するも山形が粘り強い守備とカウンターで押し返し、長谷川悠の2得点で見事に逆転勝ち。「今日は満足。思った以上に(守備では)やれていた」と小林監督は笑みを浮かべた。

この2試合が皮切りとなった二人の指揮官の対決は、7試合で5勝2敗と戦績的にはペトロヴィッチ監督が優位に立つ。だが内容はいつも、拮抗した闘いが展開されてきた。
その熱戦の中で示されたのは、「攻撃の広島」vs「守備の山形」という明確な構造。あくまで「自分たちのサッカー」にこだわるペトロヴィッチ監督と、自らのコンセプトは貫きつつも広島のサッカーを研究し尽くした戦術を駆使する小林監督との対比の面白さだ。
共に「組織サッカー」を標榜し、個々のタレントに頼らないスタイルを貫いているのは共通。明快な戦術だけでなく選手個々とのコミュニケーションをとることでチームをつくる手法も似ている。それを前提としながら、この二人は全く違った発想で、独自のサッカーを表現している。ペトロヴィッチ対小林という名将対決は、言わば哲学の闘いであり、独特なスタイルのぶつかりあいという構図を描く。それが故に、広島対山形の闘いは常に「サッカーの奥深さ」をサポーターに提示できるのだろう。

「山形との闘いは、今季、もっとも難しい試合になる」とペトロヴィッチ監督は言う。「シーズン当初、山形は確かに苦しんでいたが、ここ2試合(清水戦・神戸戦)は素晴らしい闘いを見せている。一方で我々は、浦和・川崎といいサッカーができていないからね」と対戦相手を評価した。

一方で、広島の最近の苦戦の理由を指揮官は、「シンプルにプレーできていないことが要因」と指摘する。多彩なコンビネーションがセールスポイントではあるが、その本質は「簡単にプレーすること」。ボールホルダーに選択肢をつくるために走り、最適解を素早く見つけ出してパスを送る。難しい状況になれば確実につなぎ、やり直す。もちろん、最後の局面ではリスクを犯す必要はあるが、そこに至るまでは単純に確実にボールを保持していく。そんな広島の基本形が、ここ最近は見失われていた。
「試合の中で、自分の役割以上のことをやろうとしてボールを失ってしまい、相手にカウンターを食らう。その繰り返しの中で体力を失い、本当に危険な走りが必要な時に走れなくなっている」とペトロヴィッチ監督は分析する。そして当然、広島のそんな現状を小林監督はきっちりと把握し、「広島用」の戦術を準備・徹底してくる。そういう相手だと知り尽くしているからこそ、「もっとも難しい試合」と広島の指揮官は表現したのだろう。

「山形は、船山祐二・伊東俊・廣瀬智靖・太田徹郎ら、若い選手たちが台頭している」と警戒心を露にするペトロヴィッチ監督だが、いつものように特別な「山形対策」を仕掛けるわけではない。森崎和幸は以前、対小林・山形との初対決を前に「相手がウチを研究してくるのならば、受けて立てばいい。分析されてやられてしまうのならば、所詮はそれまでのチーム。その対策の上を、自分たちがいけばいいだけのこと」と語っていたが、この言葉ほど指揮官の考え方を如実に表現したものはないだろう。

ペトロヴィッチ監督が闘い方を構築するにあたって常に重要なのは、相手の状況ではなく、自分たちのチームがベスト・パフォーマンスを発揮できるかどうか。そういう意味でも、「(コンディションを考慮した川崎戦とは違い)山形戦は、私が今考えるベストメンバーを起用する」と明言したことは、「試合に出たメンバーが、ベストメンバー」が口癖の指揮官としては、特別なことだ。5月7日の対甲府戦で左膝を負傷した青山敏弘も「起用法は考えるが、ベンチには入れる」と言い切ったことも、いかに彼が山形戦を重視しているかの証拠。自身が指摘した問題を修正し、状態を整え、「広島のサッカー」ができるベストな状態に近づけて、難敵・山形を迎え撃つ。

「綿密な分析の下に構築した広島対策」をぶつけてくるはずの小林監督と、「自分たちのサッカー」のベストを発揮するための采配を練り上げるペトロヴィッチ監督。Jリーグを代表する知将同士の8度目の対決は、サッカーの深遠な魅力が具体的な形で表現されるステージとなるだろう。

以上

2011.06.21 Reported by 中野和也
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