6月19日(日) 2011 J2リーグ戦 第17節
横浜FC 1 - 1 千葉 (18:03/ニッパ球/7,012人)
得点者:61' オーロイ(千葉)、86' カイオ(横浜FC)
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J2のみならずJリーグ全体でも独特のタレントであるオーロイを擁して首位を走る千葉と、昇格と優勝を目標としながら出遅れ前節終了時に15位に沈んでいた横浜FCの対照的な2チームの対戦となったこの試合。その内容は順位差を感じさせないものであり、なおかつ横浜FCの今後の躍進を予感させるものとなった。
前半は、アウェイの戦い方を忠実に守る千葉が試合の輪郭を形作っていく。開始早々は、浮き玉が多くなり落ち着かない展開となる。その中で、横浜FCも13分、15分、16分とシュートチャンスを迎えるが、ここでゴールを割ることができないと、流れは徐々に千葉へ。ゲームにおける重要なポイントであったオーロイへのマークとそのセカンドボールへの対応という意味では、横浜FCの集中力は途切れることがなかったが、千葉も確実にサイドの深い位置でスローインを獲得し、マークミリガンのロングスローでゴールの機会を伺う。
前半数多くのロングスローの機会があり、あたかもロングスローを使った攻撃練習と守備練習を繰り返し見ているような展開が続くが、アウェイなりの戦い方を選んだ千葉にとっては予定通りだったと言える。このような展開にも、「ロングスローもCKもFKも基本的にはオーロイをおとりにした後の選手が危ない。そこをしっかりやったし、やられなかった」(岸野靖之監督)というように、オーロイには朴台洪と三浦知良がしっかりマーク、その他の選手へのマークも緩めなかった横浜FCが耐えきる展開となった。
後半に入り、それまで引いてブロックを作っていた千葉が前からのプレシャーを掛けるようになると、試合は激しさを加えていく。そこでペースを掴んだのは横浜FC。ボランチとして中盤での起点作りとボールの捌き、さらに持ち前のテクニックを生かしたドリブル突破を見せる寺田紳一を中心に、地上戦を徐々に制圧していった。
しかし、61分に「やってはいけないミス」(岸野監督)が横浜FCに出る。米倉恒貴が深井正樹にボールを捌くと、深井に応対して柳沢将之がはっきりとしたクリアができずに突破を許す。そして、中央のオーロイに渡ったパスをしっかり右足で決めて先制。アウェイの戦いに徹した千葉にとっては理想的な先制点、横浜FCにとっては「オーロイの高さとその周り」は90分間封じていただけに、この場面だけは痛恨と言える失点となった。
横浜FCは64分、この日の高い集中力の源となっていた三浦知良に代えて西田剛を投入。この西田が最初のポストプレーをしっかりこなすと、再び地上戦での反撃を開始する。さらに、81分に千葉戦に人一倍の執念を燃やす八角剛史を投入すると、この八角が守備から攻撃への切り替えのスピードアップに大きく貢献、横浜FCのリズムが加速する。そして86分、この地上戦がついに実を結ぶ。ペナルティエリアでの西田の粘りから始まった攻撃は、寺田、藤田優人、藤田祥史が高い集中力を持ってつなぎ、再び西田が落とすと、カイオが左足でゴールにたたき込んだ。89分に野崎陽介のクロスから放った西田のダイビングヘッドは、無情にもクロスバーを叩き勝ち越しはならなかったが、千葉の空中戦を封じるとともに、地上戦での猛プッシュからのゴール奪取で、横浜FCは見事ドローに持ち込むことに成功した。
失点の場面を除けば、ゲームの進め方や内容を見る限り横浜FCは思い通りの展開だったと言える。千葉のストロングポイントを高い集中で押さえ込み、なおかつ失点をしてビハインドになってから人数を掛けてゴールを奪いに行き、それを実らせることに成功した。選手は口々に「この勝点1は、チームにとってプラスに捉えて良い」と述べたようにと大きな手応えとなったのは間違いない。
一方の千葉にとっては、待望のアウェイでの勝点3を取れた試合であったことは間違いない。しかし、リードした後に相手に押し込まれた際の対処や逃げ切り方がはっきりしなかったことが、勝点2を失うことにつながった。アウェイの戦いを選択しながら90分貫けず、結果も残せなかったことは今後の大きな課題となるだろう。
試合後のニッパツ三ツ沢球技場は、両チームサポーターとも大きな拍手が起きた。それは、見ごたえのあるプレーが続いた証拠だ。この試合は、横浜FCが千葉への研究成果を存分に発揮してのドロー。このカードの再戦はわずか42日後(7/31@フクアリ)であり、次はさらに濃厚な戦いになるのは間違いないだろう。
以上
2011.06.20 Reported by 松尾真一郎
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