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スカパー!生中継 Ch180 後06:50〜
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2位が広島、16位が浦和。共に、ほんの少し前までは考えづらい順位にいる両チーム。サッカー、特にJリーグにおけるヒエラルキーは、川の流れのように動き続けるものだ。
考えてみれば、広島と浦和はまるでシーソーのような上下動を繰り返してきた。リーグ初期の1994年、広島は1stステージ優勝を果たし、チャンピオンシップに出場。一方の浦和は1993年から3ステージ連続最下位に沈み、「お荷物」とまで揶揄された。
だが浦和は、ギド・ブッフバルト(ドイツ)などの大物外国人選手の補強に成功し、翌年はステージ3位へと躍進。一方の広島は下位に沈み続けた。1999年、5年ぶりに広島が一桁順位(8位)を回復した年、浦和はJ2に降格。2002年に広島が降格した時、浦和はヤマザキナビスコカップで準優勝を果たした。さらに2007年、広島が2度目の降格を喫した時、浦和はJクラブとして初のACL優勝に輝く。そして2009年、広島がJ1復帰早々4位となり、翌年にはACL出場・ヤマザキナビスコカップ準優勝と実績を重ねる中、浦和はタイトル争いに絡まなくなった。
単なる偶然ではある。だが、運命とは数奇な巡り合わせをいくつも用意しているようだ。例えば1999年。第4節で広島が4-1と浦和に快勝した試合は、広島にとって初勝利であり、浦和にとって初黒星。そして最終節の1999年11月27日、駒場で福田正博が決めた「史上もっとも悲しいVゴール」へとつながる。だが、浦和降格が決まったその試合以降、広島は10年間、浦和に勝てなくなった。その呪縛を解き放った2009年8月22日以降、今度は広島が3連勝を果たしている。
その流れだけでいえば、今季初の両雄対決も「広島有利」という算盤が弾けるが、そうは問屋がおろさない。「チーム得点王の原口元気が五輪予選のために不在だから、浦和が不利」という声も聞くが、広島も攻守の要として大車輪の活躍を続けていた森崎浩司が前節、高熱のために欠場してしまい、今節の出場も微妙。「森脇良太が出場停止から戻ってくる」というポジティブ情報もあるが、浦和にも「山田直輝がナビスコカップ対山形戦で昨年7月28日対京都戦以来、約11ヶ月ぶりの公式戦出場を果たした」という明るい情報がある。その山田直が広島戦で先発するのではという憶測もあり、実現すれば広島にとっては大きな脅威となりうるだろう。広島戦では常に活躍を見せる田中達也もさいたまダービーで45分の出場を果たしており、前向きになれる材料は浦和も少なくない。
最近の闘いを見ても、浦和はネガティブな事象ばかりではない。確かにリーグ戦7試合連続勝利なしと苦しんではいるが、ここ4試合の戦績はいずれも引き分け。うち鹿島・大宮戦はいずれも0−2のビハインドから追いついたもの。この結果だけみても、彼らの「地力」が伺いしれる。
ただ、地力という部分では、広島も成長している。新潟戦、多くの主力を欠く中で、ロングボールとショートパスを自在に織りまぜた柔軟なゲームメイクを披露。90分の闘い方をしっかりとデザインして時間の経過と共に新潟を圧倒し、最後はエース・佐藤寿人のゴールで突き放した。「自分たちのサッカー」を明確に持っている広島ではあるが、そこに拘泥せずに微調整して闘える。この現実は、チームが大人になっている証拠だろう。
個人能力の総和にかけては、浦和の方が上。一方、チームの熟成度では広島に分がある。現在の順位ほどの差はない両軍の闘いは、ここ最近の広島対浦和戦同様、熱く激しい闘いになることは間違いない。ただ、連戦の合間ということもあり、チーム構成がどうなるか、予想しづらい部分ではある。
広島はフォーメーションに変化はないものの、青山敏弘・山岸智の主力二人が既にチーム練習に合流しており、前節に途中出場で結果を残した高萩洋次郎や山崎雅人も牙を磨いている。一方、新潟戦で結果を残したトミッチの存在も大きい。厳しい日程を見越し、指揮官がどういうメンバーを組むかは不透明だ。
一方の浦和も、メンバーは変動する可能性を含む。原口元気の代役を誰が務めるか、最前線や最終ラインの構成はどうなるか。赤の軍団も「団結の紫」同様、誰が先発するのかわからない状況だ。
指揮官の姓が共に同じことから「ペトロヴィッチ・ダービー」と呼んでもいい両軍の対決。梅雨の合間の星空が輝く下、互いの意地がぶつかる激しい闘いになることは、間違いあるまい。
以上
2011.06.14 Reported by 中野和也