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【J1:第14節 川崎F vs 甲府】レポート:川崎Fは2度のリードを勝利に結び付けられず、粘り強く戦った甲府を相手にドロー決着。(11.06.12)

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6月11日(土) 2011 J1リーグ戦 第14節
川崎F 2 - 2 甲府 (17:05/等々力/13,111人)
得点者:34' 小林悠(川崎F)、40' 阿部吉朗(甲府)、49' 山瀬功治(川崎F)、54' ハーフナーマイク(甲府)
スカパー!再放送 Ch181 6/14(火)後11:00〜
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復帰した稲本潤一を組み込んだ川崎Fは、柔軟に彼をシステムの中に溶けこませていた。例えば柴崎晃誠とのボランチコンビは川崎Fを動かすエンジンとして十分に機能しており、甲府を率いる三浦俊也監督からも「今日、特に川崎Fがあれだけボールを回せるのは中盤の真ん中の二人の存在が大きかったと思います」とその役割を評価されていた。また、サイドハーフにポジションを移した中村憲剛も、ボールに関わる回数自体は減ってはいたが、時折見せる縦パスは彼らしさを失ってはおらず、川崎Fの攻撃に深みを与えていた。

これらの事実を考慮すれば、34分の小林悠の先制点はある程度納得のいく物だった。9割以上はボールを持ち込んでシュートした田中裕介のゴールではあったが「コースを変えれば入るかなと思いました。当てるところを調整しました」とゴールを意識しつつ足を当てた小林の技も光る先制点となった。

しかし、今季の川崎Fは先制していても安心出来ない不安定さがある。また、そもそも甲府の攻撃自体も、サイドをうまく使いつつチャンスを作れており、悪いものではなかった。そういう点では「市川さんの素晴らしいボールでしたが、同じサイドバックとして、ああいうボールを蹴られるようになっていきたいです」と田中裕介から賞賛された40分の市川大祐のクロスと、それを合わせた阿部吉朗の同点ゴールは脱帽の得点だった。

お互いにゴール前の局面を作れていた試合という点で緊張感が漂い、拮抗した展開の結末としての前半の1−1のスコアは、そういう意味では公平なものだった。

試合展開が変わるきっかけになるものと思われたのが、後半開始からの中村憲剛の交代である。前半のプレー中に右足のすねを打撲し、試合を続行させることができなかったのである。その中村に代わりピッチに立った田坂祐介は無難に求められていた役割をこなし、川崎Fを勢いづかせる原動力となる。そもそも選手たちは中村の存在の大きさを認めつつ、だからと言って中村が居ないからダメだとも思っていないと話している。例えば山瀬功治は「ケンゴのパスだったりはチームにとっては不可欠なもの。(中村の不在により)当然影響はあるが、ケンゴがいなければダメというのはそれは違う。だれが出てもコンセプトは変わらない。ケンゴが居なくなったからといって、質が下がったという事はない」と話し、後半の戦いにさほど大きな変化はなかったのだと振り返る。

中村不在の穴を感じさせない象徴的なプレーが、後半49分のFKの場面であろう。右サイドで小林が得たFKを任せられた田坂は、絶妙な軌道のボールをゴール前に入れるのである。甲府のセットプレーの守備はゾーンであり、特定の誰かにマークを付けるというものではない。だからこそ、落下点に入った選手のプレーは確実さが求められる。

この場面について三浦監督は「2点目はゾーンでしたが、あそこは、誰かが目測を誤りましたね。誰かが触るだろうと思ったところで、流れてきた」と分析するが、いずれにしても落下点にいた山瀬が「狙い通りではないですが、とりあえずこぼれ球くらいはこぼれてくるかなと思ったら、ボールが来た」と話すラッキーなゴールによって川崎Fが勝ち越しに成功する。

これ以降、試合のペースは完全に川崎Fがつかむのだが、そのような、相手を押し込む展開の試合で今季の川崎Fは不用意な失点を重ねてきていた。そしてそんな特徴が、また出てしまうのである。その直前にも甲府陣内へと攻め込んでいた川崎Fにとっては思いもしない展開だったはず。後半54分の場面は、自らへのパスを阿部がシンプルにはたき、ハーフナー・マイクがオフサイドラインぎりぎりのタイミングで飛び出したものだった。U22日本代表に選出され、五輪予選を戦う安藤駿介との1対1のシュートを確実にねじ込んだハーフナーのシュートは、甲府にとっての後半のファーストシュートでもあった。

崩されたというよりは、隙を突かれた形の川崎Fは、等々力に集まったサポーターからの声援を受け、分厚いポゼッションによって甲府ゴールを狙い続けていく。しかし甲府の守備意識は高かった。そもそも三浦監督は、攻撃面でのテコ入れを意図し、後半開始から片桐淳至を入れていた。

「後半片桐をいれて両サイドから攻めたいと思いました」(三浦監督)

しかし、三浦監督は、川崎Fの前からの圧力に対し守備的にならざるを得なかったとも話し、それが今季の甲府にとって最も守備的なものだったのだと振り返っている。

「フロンターレが圧力をかけてきて、かなり守備的なゲームになりました。今まで公式戦やった中では、自分の中では一番守備的にならざるを得ないゲームでした。そういう意味では川崎の個々のクオリティの高さを感じたゲームでした」(三浦監督)。

意図していたというよりは、そうせざるを得なかった程に押し込まれた甲府は、川崎Fの攻撃を必死でしのぎ続けた。その一方で、勝ち越したい川崎Fは甲府を激しく攻め立てる。

「2−1の時はもうちょい相手も攻めて来ていたんですが、2−2になってからは難しかったですね」と話すのは、88分までベンチから戦況を見ていた途中交代出場の楠神順平。上下にポジションを変えつつゴール前への飛び込みを狙っていた楠神は、結局その本領を発揮できず。声援に迎えられ、69分にピッチに立ったジュニーニョも不発に終わり川崎Fは甲府を突き放す事ができなかった。

90分を終えての2−2という結果については、川崎Fにとっては勝点を落としたという見方が正しいものであろう。相馬監督はその点について「2度リードを奪い、追いつかれドローで終わってしまったということは非常に残念な結果です」との言葉に続けて「今日はホームという事を含め勝たなければならない試合で(勝点を)落としてしまった、ポイント2を失ってしまったと考えています」と悔しさをにじませていた。

対する甲府は、中盤で動き回り攻守に渡って試合を引き締めた伊東輝悦の「リードされる展開でしたが、勝点を取れたのは悪くはなかった」という言葉が彼らのこの試合への評価を正確に示したものであろう。

ホームの川崎Fが勝点を2点落とし、アウェイの甲府が勝点1を拾った。そういう試合だった。

以上

2011.06.12 Reported by 江藤高志
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