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【J2:第16節 東京V vs 草津】プレビュー:東京Vは前節受けたダメージからの切り替えが最大の鍵。首位を撃破し勢いに乗る7位草津は、昇格圏内入りを狙う。(11.06.12)

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6月12日(日)J2 第16節 東京V vs 草津(16:00KICK OFF/味スタチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
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『謙虚』。
川勝良一監督が掲げた、今週の東京Vのテーマである。「去年のイメージが先行すると、地道なことをやった上での結果だったことを忘れがちになる。一見は同じサッカーをやっているようでも、ゴール前では崩せていないし、特にパスワークでのミスは絶対に許されない」。いま一度目指すヴェルディサッカーの原点に立ち返り、攻守にかかわらず全員が均等に責任を背負って全力で走りきることを課し、今週のトレーニングを行ってきた。

謙虚さを求めたのは、前節の敗戦に起因する。先制し、良い流れで前半を終えながらも、後半開始に出た「緩い守備」が引き金となり、立て続けに2失点し逆転負け。わずか数分間だったが、大きな代償を払うこととなった緩さ=“謙虚さを欠いたプレー”を川勝監督は厳しく指摘した。常々「緩めた選手は外す」と言い続けてきている上に、前節終了後の会見の場でも「メンバーが代わることも多少あるかもしれない」と口にし、選手たちの危機感を扇動。練習試合や戦術練習でも「競争意識を高めたい」と、複数ポジションで何人も選手を入れ替え、幾通りもの布陣を試している。
ケガ人の復帰も含め、最終的にどのようなメンバー・布陣を指揮官が決断するのか。今節の大きな注目ポイントとなろう。

いかなる布陣になろうと、基本的に突き詰めなければならないところは同じだろう。5月、東京Vが喫した失点はわずかに1点のみ。「強いDFの先でのパスサッカー」を身上に勝点を積み上げてきたことを考えると、前節2失点したことからもやはりまずは守備の見直しが必要と言えよう。
実際、今週の木曜日に行った戦術練習でも、納得がいかなければ途中で何度もボールを止め、「ボールを奪う位置や攻撃へつなげるための守備のやり方」(川勝監督)などを話し合うシーンがみられた。最初は直接関係する2,3人の選手が意見を交換し始めるのだが、徐々に波及し、次第に全員が集まって輪になり、それぞれの要求を伝え合って理解を深めていく。「負けて流れは良くないけど、こうやって自分がどうしたいかを言い合えるのはすごく大事だし、良いこと。一番ダメなのは、選手同士の距離が離れてしまって何も話さなくなってしまうこと」と土屋征夫が語れば、川勝監督も「ウチの一番の良さは一体感。それで乗り越えてくれるはず」と、自分のチームに深い信頼を寄せている。

ただ、攻撃面でも課題は決して少なくない。中でもシュート数の少なさは深刻な悩みとなっている。途中までは人数をかけて攻めることができる回数も増えてはきたが、「ポゼッションのわりには最終的な局面で勝負するとか、ミドルを含めてシュートがまだまだ少ない。お客さんが観たいのは、積極的にどんどんシュートを打つ選手、サッカーでしょ」とし、東京V監督は「最低でも2ケタ」のシュート数を要求する。
これに意識を高めているのが、DF高橋祥平である。「もちろん、僕の一番の役割は守備だけど、攻撃は好きだし1試合に必ず1,2本は打ちたいと思っている」と語るように、前節もやや距離のある位置からミドルを放つなど、元FW選手として攻撃への思いも非常に強い。負けず嫌いな19歳の積極性に期待大だ。
それと同時に、「そろそろ本当に取らないとだからね。点、取りますよ!」という河野広貴の今季初ゴール宣言にもぜひ期待したい。

ピッチ上の対話で気持ちも切り替わり、チームワークという最大の長所もさらに高まったことだろう。その成果をぜひ結果に表わしてほしい。

対する草津は前節、首位の千葉から勝利を挙げたことで、この一週間を充実したトレーニングを積むことができたのではないだろうか。他チームの結果次第だが、今節勝点3を積めれば、昇格圏内入りの可能性もある。DFの中心・御厨貴文の累積警告による欠場は痛いが、勢いそのまま、良い流れで乗り込んでくるに違いない。

ポイントは、やはり得意の素早いカウンターで仕留められるか否かではないだろうか。前節も、2点目のカウンターは見事で、ボールを奪うと前線に5,6人の選手が一気に加速して上がり、クロスボールに詰めているという、厚みある速攻を披露した。ただ、それ以前の時間帯でも同じようなチャンスを作りながら、何度か決定力に泣く場面もあったのも事実。その、訪れた決定機に確実に得点できるかが最大のポイントだろう。
特に、東京Vはポゼッションというサッカースタイルから、カウンターに対する守備の課題は存在する。そこを上手くつくことがでるか、注目だ。

とはいえ、草津の良さはカウンターばかりではない。ラフィーニャ、アレックスの両外国籍選手はチームに完全にフィットしており、そこに熊林親吾から好パスが供給されれば、絶好の得点機となる。東京Vが最も警戒したいところだろう。また、守備力高く、展開力・、好精度のキックもある櫻田和樹、松下裕樹の両ボランチにも毎試合手を焼かされている印象がある。東京Vの攻撃陣がいかにそこを破るかも大きなポイントとなりそうだ。

東京Vの川勝監督は、「点も取っているし、元気の良いチーム。特に、千葉に“自分たちのサッカーをさせなかった”頑張りは、間違いなく草津の力」と、相手に賛辞をおくっている。だからこそ、「今、ダメージを受けているウチにとっては良い相手。首位を倒して勢いのあるチームを倒して、逆にウチが勢いをつけたい」。
梅雨空を吹き飛ばすような勢いのあるスカッとした勝利を、互いのサポーターは期待しているはずだ。

以上


2011.06.11 Reported by 上岡真里江
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