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６月２週目に開催される第１６節。北海道室蘭市の室蘭市入江運動公園陸上競技場では、勝点１３で１０位につける札幌と、勝点７で１８位の横浜ＦＣが対戦する。
ホームの札幌は前節、敵地で大分と対戦して１−０のスコアで勝利。今シーズンの札幌はホームではある程度の内容と結果を出せていたものの、アウェイでは低調なパフォーマンスに終始。しかし、大分戦では「選手たちがよく頑張ってくれた」と石崎信弘監督が自チームを評価したように、涼しい北海道とは気温差のある九州・大分の地で選手が粘り強く戦い、結果を出したのである。そしてこの勝利により、札幌は４３３日ぶりとなる２連勝を達成。１年以上も連勝から遠ざかっていただけに、この結果により、チームに勢いが生まれそうな気配である。
注目したいのは、ここ最近の守備の固さである。ＧＫ李昊乗、センターバックの河合竜二、山下達也というゴール前に立ちはだかる３選手がハイボールに対し強さを見せ、守備の安定を生み出している。高い位置からプレスを仕掛ける守備スタイルの札幌は、そのプレスをロングボールで回避された際の対応がひとつのポイントになるのだが、この３人がハイボールにしっかりと対応しているおかげで、チーム全体の守備が引き締まっているのだ。なかでも李昊乗は混戦のなかでもハイボールをしっかりとキャッチできる力があり、そのプレーによってポゼッションを高めることができるし、カウンターのチャンスを作り出すこともできている。「攻守の切り替え」をポイントとする石崎監督のサッカーにおいて、いまや李昊乗はキーパーソンの１人となっているのだ。
やはり、リーグ戦を勝ち抜く上で絶対に欠かせないのは守備の安定。前出の３選手は全員、今季の新加入選手だが、徐々にチームの核としてフィットしてきたようだ。
この試合に勝てば３連勝となる札幌だが、「ふたつ続けて勝ったくらいで安心してはいけない。選手には何度もそう話している」と石崎監督は、チームを引き締めている。
一方、敵地に乗り込んでくる横浜ＦＣの前節は、ホームに東京Ｖを迎えての試合。前半に失点し、その後に守備的ＭＦの八角剛史が２度目の警告を受けて退場になる苦しい展開を強いられながらも、ハーフタイムに投入された高地系治が４８分、４９分と立て続けに得点を挙げる大活躍。そしてその後は１人少ないシチュエーションながらも全員が運動量を増やし、体を張った守備で逃げ切りに成功した。そうした展開を受けて岸野靖之監督は「本当に選手、スタッフ、すべての方の協力があって今日は勝てた。（試合後の）インタビューでも涙が出そうだった」と振り返っており、それだけチームが一体になっていたということを表現した。その前の５試合は１分４敗と苦しい流れになっていたが、この勝利によってその流れは大きく変わる可能性もあるだろう。
さて、そんな札幌と横浜ＦＣとの対戦だが、ポイントとなりそうなのは両チームの監督がどういったメンバー、フォーメーションで試合に入るのかという部分だ。札幌は芳賀博信が左足底腱膜部分断裂という負傷。横浜ＦＣは八角が出場停止となっており、両チームともに前節に中盤の底で守備的な役割を担った選手が出場できない。そうした状況で石崎、岸野の両監督はどういった方法でバランスを整えるのか、注目が集まるところだ。前節と同じフォーメーションのまま、守備的な選手を入れ替えるのか、それともフォーメーション自体に手をつけるのか。ここは、勝敗を左右する大事な箇所だと言っていいだろう。
前節の終了後、石崎監督が「ふたつ勝ったくらいで安心しない」と話し、岸野監督が「一回勝ったくらいでは泣いていられない」と語っている。そう、やはり順位表の上部へと登っていくには、結果を出し続けることが必要だ。札幌と横浜ＦＣ。室蘭で勝利を重ねるのは、果たしてどちらになるのか。
以上
2011.06.10 Reported by 斉藤宏則
