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12節F東京、13節富山戦で連勝し意気揚々と敵地平塚へ乗り込んだ草津だったが、湘南の前に手も足も出ずに０対２で完敗を喫した。「スコア以上に力の差をみせつけられた」（熊林親吾）。成績を４勝４敗の五分に戻し10位に後退した草津が、６勝１分１敗で単独首位を走る千葉を迎え撃つ。「実力チームとの対戦が続く６月は勝負のとき」（副島博志監督）。草津にとって、千葉戦は昇格戦線に意地でも食らいつく覚悟が問われるゲームだ。
今季の千葉を語る上で欠かせないプレーヤーがいる。身長２０４センチのＪ史上最長身プレーヤー・オーロイだ。脅威の高さを誇り千葉の前線に君臨、ポストプレーヤーとして絶対的な存在感を示している。今季は３ゴールを挙げているがそのすべてがヘッドによるもの。アシストも３を記録しており千葉の総得点15のうち直接的なシーンだけで６ゴールに絡む。そのほかオーロイの存在により生まれたゴールもあるためその影響力は計り知れない。草津は、GK北一真こそ１９４センチだが先発メンバーの平均身長は１７５センチ（前節湘南戦先発メンバー）。高さを加えるためメンバーを入れ替える可能性もあるが、絶対的な差は埋めきれない。草津はオーロイ周辺をケアすることで千葉の威力を最小限に食い留めたい。
加えて警戒しなければいけないのは、千葉のセットプレーだ。千葉は前節大分戦でＣＫから２得点を決め、最終的に２点のビハインドをひっくり返した。セットプレーでは、オーロイと１９２センチのファン ゲッセルのツインタワーとなるため草津としては一瞬の隙も与えることが許されない。ゲームの流れとは関係なしにゴールへ迫り来る千葉の攻撃をいかに防ぐか。草津は、Ｊリーグ再開後の９失点中６点がセットプレー絡みの失点。「２０４センチはイメージがつかない。セットプレーでは自分がオーロイにチャレンジしていく」と語ったGK北を中心に、草津は試合の前日練習でセットプレー対策に１時間以上の時間を費やした。ゴール前で粘り強く守ることとともに、セットプレーを与えないことが求められる。
攻撃に関しては、状況に応じた臨機応変なプレーが要求される。草津は前節湘南戦で熊林―ラフィーニャのホットラインを消されて攻撃のリズムを失った。相手が草津の長所をケアしてくるのは当然の成り行き。草津はそれを打開して攻撃の幅を広げることが必要だったが、工夫が足りなかった。「ラフィーニャが消されたら攻撃できないのではここから上にはいけない」（熊林）。ラフィーニャ、熊林が突出した攻撃能力を持つのは事実で彼らを信頼するのは理解できるが、それだけに頼っていたらチームは成長しない。今節はチーム全員が果敢にゴールを狙う意志をピッチで見せてほしい。
草津にとって朗報は、ブラジル人ストライカー第３の刺客・リンコンが復帰したことだ。４月中旬のテストマッチ横浜ＦＣ戦で負傷し戦列を離れていたが前節湘南戦からベンチ入り。湘南戦翌日のテストマッチ川崎F戦では、復活のゴールを決めてコンデションが上がっていることを示した。リンコンの存在は草津にとっての最終兵器で、これからのリーグ戦において必要不可欠な戦力。千葉が、Ｊ２規格外のサッカーを展開してくる以上、草津もブラジルトリオを効果的にピッチへ送り込むオプションを準備しても文句は言われない。リンコンの起用法とタイミングも今節の見所となる。
草津対千葉戦は、草津のユニフォームスポンサーであるベイシアグループのスペシャルマッチとなっている。去年６月の同スペシャルマッチでは過去最高の９３８２人を記録、リーグ後半へ大きな弾みをつけた。今ゲームもスタジアム全体の盛り上がりが予想される。副島監督は「千葉の高さに対して手を使うわけにはいかないので『わたさない』『出させない』『近づけない』ことが大切。千葉が摩天楼だとしたら、うちはバッタの大群。簡単な相手ではないがチャンスはある」。草津は、勝利のための戦術を徹底し首位撃破を狙う。摩天楼を越えれば再び昇格戦線が見えてくる。
以上
2011.06.03 Reported by 伊藤寿学
