5月29日(日) 2011 J2リーグ戦 第14節
湘南 2 - 0 草津 (13:03/平塚/4,705人)
得点者:39' 永木亮太(湘南)、54' 坂本紘司(湘南)
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今週のトレーニングをひとつ思い出す。チャンスと見れば逃さず枠を狙い、対して守備では局面の1対1を譲らない。反町康治監督は言う。「雨という天候もあり、シュートで終わるという話は耳にタコができるぐらいした」。果たして湘南は、トレーニングで取り組み続けているフィニッシュの意欲とともに、攻守に渡ってゲームを支配した。
試合開始30秒、自陣からテンポよく縦を目指すと、それがまるで号砲であるかのように高山薫がさっそくファーストシュートを放つ。対する草津もセットプレーを絡めて押し返す。だがハン・グギョンと永木亮太が連係して草津の2トップからボールを奪う、あるいは大井健太郎や遠藤航らDF陣が落ち着いて局面に対処するなど、湘南は相手に自由を与えない。ボールを奪えば切り替え素早く動き出す。前線で体を張り、攻撃を繋げた巻佑樹の献身も大きい。シュートを重ねるごとに湘南は流れを手繰り寄せていく。
何本目だったろう。39分、臼井幸平のクロスの先で、永木の鮮やかなミドルがついにゴールを捉えた。「グギョンが奪ってくれたので、フリーでシュートを狙うことができました」と、先取点を挙げたこの日のゲームキャプテン曰く。相手のクリアを奪い返して永木に繋げたこの場面然り、開始早々の高山のシュート然り、ハンのボール奪取が敵のチャンスの芽を摘み、と同時に攻勢の一助となっていた。
反撃を期する草津に対し、リードする湘南はハーフタイムを挟んでなお圧した。奪っては細かくパスを繋ぎ、遠藤の前線への縦パスで一気にスイッチが入る。高山が1タッチで落とすと、受けた坂本紘司がドリブルからシュートを狙った。これは草津のブロックに遭うも、こぼれ球を拾ったアジエルがふたたびシュートを狙う。GK北一真が弾いたところへさらに詰めたのは坂本だ。「2つめを取りに行こうとみんなで話していた。引くことなく攻めに出て2点目を奪えたことはいままでからのステップアップだと思う」。そう語る坂本の自身J通算50得点となるゴールは、チームにとって開幕戦以来となる貴重な追加点となった。
ゲームを振り返る草津の副島博志監督の表情は険しい。「相手にうまく攻撃をスローダウンされてしまい、停滞を招いてしまった。間に入ってボールを動かすというリズムを中盤でつくれなかった。不甲斐ない、言い訳のしようのないゲームとなってしまった」。2点のビハインドを負いながらも、反撃に残された時間は短くなかった。終盤にはセットプレーを重ねて押しこむ場面もあった。熊林親吾や永田拓也らがミドルを狙いもした。だがGK西部洋平の好守もあり、ゴールネットを揺らすまでには至らない。
勝利の長い笛が湘南に向けて響いた試合後、大井は、「監督やコーチ、安(竜鎮)さんのスカウティングのおかげもあって、いい守備ができました」と語り、永木も「相手の特徴が分かりやすかった」と準備に触れた。また右の臼井とともに左サイドで上下動を繰り返し、ときにペナルティエリアまで進出した石神直哉は、「みんながリズムに乗ればボールは繋がるし、今日のような攻撃を続けていきたい」と、プレーの楽しさを交えて語った。
あるとき反町監督は語っている。「今年のチームは受容量が多い。選手たちは話したことをよく理解してプレーしている。トレーニングのスキルも全体的に上がってきたし、試合にも表れている」。また、こう話したこともある。「試合ができる喜びを自分たちが表現しなければ、観るひとたちもエンジョイできない」。湘南の勝利にいつにもまして思う清しさは、チームの一体感と、そのなかで選手それぞれが特徴を活かして躍動したことに、その理由があるのかもしれない。
むろん、クリアできたはずの課題がつぎの段階に進むと疎かになってしまうという昨季の教訓を忘れはしまい。積み上げていく日々は、これからも続いていく。
以上
2011.05.30 Reported by 隈元大吾
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