5月29日(日) 2011 J2リーグ戦 第14節
東京V 0 - 0 鳥取 (16:03/国立/2,322人)
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どしゃ降りの中行われた東京Vと鳥取との初顔合わせは、互いに無念の0−0に終わった。
東京Vは、全員が「自分たちのミスが招いた結果」と受け止めていた。
「立ち上がりから、全体的にどこか反応が鈍くて、積極的にというよりもこなしている感じ。切りかえもずっと遅いままだった」と、福田健介が語れば、ベンチから戦況を見守っていた阿部拓馬も「攻撃であまり人が絡んでいないと感じたし、シュートが少ないと思っていました」と、振り返る。
ここ最近、主な得点パターンとして、結果が出はじめていた平繁龍一の抜け出しの速さを生かした縦へ速い攻撃を大きな狙いとしている東京Vだったが、この試合では、縦狙いばかりではなく横への展開も少なくなかった。だが、そのパスをつないでいき、最後の崩しにかかろうかというところでの連携にミスが相次ぎ、シュートシーンにまで持っていけない。
それでも前半7分、佐伯直哉のカットから平繁、飯尾一慶と流れるようにつなぎ、河野広貴が思い切りシュートを放った場面、そして前半41分、左サイドをドリブルで突破した河野のマイナスのパスに飯尾が走り込んだ形は、東京Vらしいものであったように思う。それだけに、決めたかった。
結局、東京Vは最終的にシュート5本に終わっている。ただ、天候やピッチ状況を考えて、低い確率でもシュートを打っていくという選択肢もあったのかもしれないが、平繁は「ヴェルディは他のチームと違う。パスで崩していくのがスタイルだから、どんな時でも単に入れていくのは違うと思った」と、あっさり否定。そのこだわりを、筆者は個人的に非常に興味深く感じた。
守備面でも、せっかく潰しても、その後のボールコントロールにミスが多く、マイボールにできずボールロストすることが散見された。そして、そのボールを相手に拾われ、逆にカウンターから押し込まれ、ピンチを招いた。
しかし、たとえ攻められてもゴール前の堅さは安定感を増しており、中央を割って入られることはほとんどなかった。さらに、GK柴崎貴広も好セーブを何度もみせ窮地を救った。2試合連続の完封が決して偶然の産物でないことは、はっきりと証明できたのではないだろうか。
「守備が頑張ってくれて、2試合ゼロで抑えてくれている。なんとか自分たちが結果を残さないと申し訳ない」平繁は、攻撃を任される立場としての責任を果たすことを誓っていた。
もう一点特筆すべきは後半37分、新戦力アポジが初出場を果たしたことだ。右サイドハーフでピッチに立ったところに土屋征夫がすぐに寄っていき、同サイドバックの福田も集め「アポジに自分のプレーを思い切りやらせるように、どんどんボールを預けていい」と指示。持ち味のスピードでチームが若干活性化された時間帯はあったが、すぐに直接的な結果を生み出すことはできなかった。それでも土屋は「今は、ゲームの中で自分の特長をみんなにアピールし、理解してもらうのが大事。連携というのは、そうやってできあがっていくもの」だと語る。そして、「アポジはまず、スピードがものすごくある。それだけでも、周りが生かしてあげられれば間違いなくチームの強い武器になる」。今後のフィットが楽しみだ。
後半終了間際、東京VのFKに対し鳥取DFの確かなるハンドがあったが、笛は鳴らず。結局スコアは動かなかった。東京Vは、2試合連続でハンドトラブルに涙を飲む結果となってしまった。
これで東京Vは5月を無敗で終えた。とはいえ、前節・今節の連続ドローで「失った勝点2と思うのか、勝点1を取れてプラスにこれからできるのかはこれからの我々次第」(冨樫コーチ)必ずプラスにしたい。
どちらかというと、このドローをポジティブに捉えているのは鳥取の方ではないだろうか。
前節・水戸戦で試した、得点力高いハメドを先発起用し2トップにする4-4-2から、中断期から続けてきた守備重視の4-3-3に戻した。その理由を「特に東京V対策ということではなく、もともとチームとして1本に絞るつもりで、4-3-3がしっくりきた」からだと、松田岳夫監督は語った。
チームは得点力不足を最大の課題としているが、「サッカーで大事なのは点取ることだけじゃない。チームとして守備を固めることを優先しよう思っている」と同監督は続けたが、それが功を奏したようだ。
守備におわれる時間が長くなっても、意識高くボールを奪いに出た。
また、攻撃面でも、美尾敦が「守備で引かされても、ショートカウンターになったときに前に出ていくことはできた」と話してる通り、ボールを奪うと、阿部祐大朗、美尾、吉野智行、実信憲明、小井手翔太の5人がどんどん前に絡んでいき、厚みをもった攻撃で東京Vゴールを脅かした。
ただ、前半30分過ぎの完全に鳥取ペースとなっていた時間帯に、何度かあった決定機を決め切れなかったところが今後の大きな改善ポイントと言えよう。
それでも、指揮官は「前節できなかった、中盤での受け渡しもできていたし、チームにとっては次に繋がるゲームだった。勝てるゲームではなかったけど、今後の計算ができる内容だったと思う。今は結果がついてこなくても、これを続けることで勝てるようになっていけばいい」と、収穫を口にした。
最後だが、国立競技場のピッチをとりまく陸上フィールドは水が溢れ流れているほどの降雨だったにも関わらず、ピッチには水たまりすら存在しないほど、芝生の管理が行き届いていた。「スリッピーでも芝生はすごくきれいで、逆にやりやすかった」と、福田も語っている。その芝管理体制に、心から敬意を抱いた。
以上
2011.05.30 Reported by 上岡真里江
J’s GOALニュース
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