5月29日(日) 2011 J2リーグ戦 第14節
札幌 2 - 1 岡山 (13:04/札幌厚別/5,567人)
得点者:40' 近藤祐介(札幌)、49' 金民均(岡山)、83' オウンゴ−ル(札幌)
スカパー!再放送 Ch181 5/31(火)後00:30〜
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開幕から4−2−3−1のフォーメーションを採用してきた札幌だったが、この試合は4−1−4−1に変更。この狙いについて石崎信弘監督は「相手は3−4−2−1。そのボランチのところを自由にさせたくなかったというのと、ストヤノフをケアしたかった」と説明する。1トップには前節まで守備的MFでプレーをしていた、守備力を併せ持つアタッカー宮澤裕樹を置き、トップ下のアンドレジーニョの隣にも本来は守備的MFであるブルーノを並べ、前方の守備力を高めたのである。そしてこの采配がある程度の機能を果たした。
岡山の攻撃はスリーバックの中央でプレーするストヤノフが前方にボールを持ち出し、そのパス能力を生かして前方に配球して起点作りをするもの。ブルガリア代表としての実績を持つこの選手のスキル、戦術眼は高く、自由にプレーをさせるとそれだけ岡山の攻撃の質は高まる。札幌はそこを1トップの宮澤が見張り、ブルーノがフォローをすることで、ストヤノフに左右への展開は許したものの、縦への効果的なクサビは打たせなかった。
そうしてサイドに展開させたところで複数人での厳しいプレスを仕掛け、札幌は岡山を押し込んでいった。岡山はシステム上、左右アウトサイドには1人しかいないため、ここで囲いこまれると厳しい。「受け身になって、相手を勢いに乗せてしまった」と振り返るのは岡山の左MF一柳夢吾。前半は札幌がペースを握る展開が続いた。そして40分、相手のクリアボールを拾ったブルーノが左サイドを駆け上がる近藤祐介に渡し、その近藤が左足で豪快な先制ゴールを決めてみせたのである。
ところが後半に入ると流れは変わる。ストヤノフへのケアを逆手にとった岡山は、フリーになりやすい近藤徹志、金民均らが中盤を飛び越してダイレクトに前線のチアゴへロングボールを蹴るようになる。そうすると今度は岡山のフォーメーションのストロングポイントが生きてきたのだ。
192センチの長身FWチアゴの後ろに臼井仁志、妹尾隆佑の2人が並ぶ形の岡山に対し、札幌の中盤の底は芳賀博信の1枚。チアゴへのロングボールを大きく跳ね返せればいいのだが、それができなかった場面ではセカンドボールの拾い合いで後手に回ってしまうのである。そして、その流れから岡山の同点ゴールへとつながっていく。
「ハイボールへの目測を誤ってしまった。風の影響はまったくない。自分の実力不足です」と札幌のセンターバック山下達也が反省する。大半のロングボールに対しては正しいポジションを取って、的確な対応ができていた山下だったが、49分のシーンではわずかにミスが出てしまいセカンドボールを悠々と拾った臼井に展開され、金にシュートを決められてしまった。「セカンドボールへのケアという部分で、1ボランチの怖さというのを理解してやって欲しい」と石崎監督も振り返る。
後半も中ごろに差し掛かって、スコアは1−1。ここからはベンチワークの戦いとなった。
先手を打ったのはもちろんホームの札幌。風邪による体調不良があった右サイドバックの高木純平に代えて三上陽輔を投入。この三上が1トップに入り、宮澤裕樹が守備的MFへ。高木純のいた右サイドには芳賀がスライドしている。フォーメーションは4−1−4−1のままだ。対する岡山の影山雅永監督は臼井に代えて縦への強さを持つ岸田裕樹を投入。それまでの1トップ2シャドーのような形から、3トップに近い形へと変えた。前線のターゲットを増やし、相手のマークを分散させる狙いだろう。
続けて札幌はトップ下に砂川誠を送り込む。左右へパスを供給したり、自らがサイドに流れるタイプの砂川を入れることで、疲れの見えてきた岡山の左右ウイングの背後を強襲していった。さらに前線にも長身のチアゴも入れて力技で得点を奪いにいく。
これに対して岡山・影山監督は、センターバックの竹田忠嗣がこの日2度目の警告を受けて退場になったこともあるのだが、守備的MFの金を退けてセンターバックに長身の植田龍仁朗を投入。一見、守備の人数合わせかつ相手のチアゴをケアするための交代のように見えるが、同時にシステムも4バックに変更して両サイドのスペースをケア。さらにストヤノフを1列前に上げることで攻撃力も維持するという巧みなベンチワークを見せたのである。この采配について影山監督は「しっかりとした守りから、逆にいい攻撃をしようと考えた」と説明している。
そうして突入した試合のクライマックス。83分、左サイドから岩沼俊介が上げたクロスがチアゴの頭をかすめると、その裏にいた岡山DFに当たってゴールマウスへ。互いに策を出し合った試合はオウンゴールによって札幌が2点目をゲット。そしてそのまま、タイムアップの笛が鳴った。
決勝点がオウンゴールだったこともあり、札幌にとっては運、岡山にとっては不運があったと一応は言えるだろう。しかし、札幌はチアゴを前線に入れ、ハイボールには前目のポジションを取ってドンドン飛び込ませていた。そのためブラインドとなるスペースが増え、急に流れてきたボールがどこに落ちてくるかかわからない場面が続いていた。その意味では、このオウンゴールはチアゴを前線に投入したことで誘発されたものと言っていいだろう。
厚別競技場で行われた今季最初の試合は、互いのフォーメーションの長所と短所が出た、最後まで勝敗の読めない拮抗した内容だった。
以上
2011.05.30 Reported by 斉藤宏則
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