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ＡＣＬラウンド16、Ｇ大阪との大阪ダービーで、高橋大輔のゴールで１−０と劇的な勝利を収めたＣ大阪。その興奮が今なお冷めやらぬなか、中４日という間隔で、今度は本来の主戦場であるＪ１リーグ戦へと向かう。29日、未だ負けのない聖地、キンチョウスタジアムに、暫定10位の大宮を迎えて、Ｃ大阪は今度こそ、今季Ｊ１初勝利を狙う。
初めてアジアの舞台で戦う2011年のＣ大阪は、日本勢では唯一となるベスト８進出を達成。クラブの新たな歴史を次々と刻むことができている。ただし、前述のとおり、リーグ戦では５分け１敗と勝ちなしで、１試合消化が少ないとはいえ、暫定14位に低迷。Ｊ１タイの５試合連続ドローという、決して名誉ではない記録まで作ってしまった。
このままではＡＣＬ日本代表の名がすたるというのは、Ｃ大阪の誰もが分かっている。レヴィークルピ監督も「Ｊリーグで勝たなきゃいけない」と気を引き締め、「大宮戦ではワールドカップのときのように戦わなければいけない」と必勝を期している。24日の大阪ダービーで一躍ヒーローになった高橋大も言う。国内リーグ戦で結果を出すためにも「より気持ちを強く持ってやることが大事だ」と。
そこで迎える大宮戦。ＡＣＬラウンド16で出場停止となっていた男が、気合い十分で戻ってくる。Ｃ大阪の頼もしき主将、茂庭照幸だ。Ｇ大阪戦後はピッチでチームメイトと大いに喜びを分かち合う姿が印象的だった茂庭。「逆にすごくいい刺激をもらった。（ＣＢに入った藤本）康太のパフォーマンスに対して、自分に危機感も覚えた。俺はもっともっとやるぞと強く思ったし、あまっちょろいことは言ってられない。アピールしなきゃいけないなと感じた」と、今度はプレーでの活躍を誓っている。
そして、その茂庭と、大宮ＦＷラファエルとのマッチアップは、この一戦の一番の見どころとなるだろう。昨年のＪ１第21節、Ｃ大阪が２−０と勝利後、そのときの茂庭が言った、「『俺はラファエルと一緒に試合から消えます』みたいな、そのくらいの気持ちでラファエルに付いていた」というコメントは、昨シーズンの名言の１つにも挙げたくなるくらいの一言。相棒の上本大海も「あのモニ（茂庭）のプレーで、一言で言ったら、大宮のプレーが全部止まっていた。あの決断は正解だった」と、大宮を抑えるには、ラファエル封じがいかに大切になるかというのを実感。この、茂庭曰く「何でもできるＦＷ。今までやったなかで１、２位くらいの、ヨーロッパでも通用する選手」と称賛する大宮のエースストライカーと、Ｊリーグ屈指と言える対人にめっぽう強いＤＦとの「勝負」が、今回も試合の趨勢を決めると言っても過言ではない。
もちろん、大宮がラファエルだけではないのは、Ｃ大阪として百も承知。前節こそ清水に１−４と大敗し、そのときに退場処分を受けた李天秀が今節出場停止となるが、Ｕ−２２日本代表の東慶悟をはじめ、上田康太、金英權（キム ヨングン）、渡邉大剛ら実績のある選手を加え、大宮が戦力アップしているのは確か。昨年はＪ１開幕戦で０−３と完敗を喫している苦い経験もある。レヴィークルピ監督も大宮に対しては「バランスのいいチーム。いい補強もされている」と評価。「集中力をマックスにして、この試合に臨まなければいけない」と危機感を抱く。
それでも、「自分たちのやること、スタイルをやれば、（Ｇ大阪戦のように）主導権を握って勝つことができる。相手を気にせず、まだ（Ｊ１で）１勝もしていないので、どの相手に勝ちに行くのはもちろん、勝たなきゃいけない」と言うのは中後雅喜。「（大阪）ダービーのいい流れを続けるためにも、次が一番大事」と、Ｃ大阪にとっては、この大宮戦の重要度は計り知れないほど大きなものがある。
なんとしてでもＪ１で勝利がほしいＣ大阪。前節ホームで惨敗した屈辱を、ＡＣＬ出場チームから勝って払拭したい大宮。どちらにとっても、今節は絶対に負けられない。清武弘嗣と東の大分Ｕ−18出身対決、上本と深谷友基の元大分チームメイトだったゴリゴリ系センターバック対決など、なにかと大分にまつわる因縁もありつつ、キンチョウスタジアムのピッチでは、まずはＣ大阪の３番と大宮の10番の戦いに注目だ。このバトルから、試合が動き出す。
以上
2011.05.28 Reported by 前田敏勝
