5月22日(日) 2011 J1リーグ戦 第12節
大宮 1 - 4 清水 (16:03/NACK/6,668人)
得点者:39' アレックス(清水)、50' 高原直泰(清水)、59' 高原直泰(清水)、69' 辻尾真二(清水)、90'+3 ラファエル(大宮)
スカパー!再放送 Ch180 5/23(月)後01:00〜
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朝から暑いくらいの陽気に恵まれたNACK5スタジアム大宮だったが、開門直後から重い雲が立ち込め、メンバーが発表されるころにはバケツをひっくり返したような豪雨となった。急激に気温が下がり、屋根のあるコンコースは寒さに震えるオレンジのサポーターたちで埋め尽くされていた。ここまで勝点9と順調に勝点を積んできた大宮と、勝点5で下位に沈み、前節はホームで神戸に1-5の大敗を喫した清水。そのオレンジダービーは、互いのサポーターにとって予想もできなかったであろう結果となった。
清水は予想通り、大前元紀と高木俊幸の両ウイングを高く張り出す3トップ。これまで大宮が、サイドアタッカーを高い位置に張り出した相手に前線から激しいプレスをかけられると攻撃が機能不全に陥り主導権を握られていることは、アフシンゴトビ監督も知っている。中盤は村松大輔をアンカーに小野伸二とアレックスも高い位置取りで、大宮の4バック+2ボランチの6人に対して、3トップ+小野&アレックスの5人が激しいプレスを敢行した。
しかしこのプレスが、序盤は決して思惑通りの効果を発揮したとは言い難い。前線に対して後ろが連動性を欠き、大宮のパス回しに前の5枚が突破され、4バックとアンカーがギリギリで食い止める場面が散見された。さらに大宮は、金英權や上田康太のロングパスから李天秀や藤本主税がDFラインの裏をたびたび脅かした。前節の大敗に加え、新しいメンバーとフォーメーションに、不安がなかったはずはない。強気なカミカゼプレスはその不安の裏返しでもあり、だからこそプレスは連動性を欠いた。8分に大宮のサイドチェンジから渡部大輔に切り込まれ、左足のシュートがポストをたたいたが、もしあのシュートが決まっていたら、清水は連続での大敗もあり得た。
大宮にとっては、清水の不安につけこんで「たためなかった」(北野貴之)ことが全てだろう。のみならず、前半も半ばを経過して清水が手応えをつかみ始めたころには、鈴木淳監督が厳しく表現するところの「何となくやれていたために、『このくらいでいいのかな』という慢心」すら漂い始めた。清水の先制点は、自陣深い位置でのラファエルのヒールパスが辻尾真二にひっかかり、大前のクロスにアレックスが飛び込んだ形。あの位置で、後ろにDFを背負いながらヒールパスを選択するという軽さが、この試合の大宮を象徴している。一度緩んだ気持ちを立て直すのは難しい。逆に清水は勢いに乗り、焦りからチグハグになった大宮のミスを見逃さず得点を重ねた。
両チームに点差ほどの技術の差があったとは思わないが、確かにそれだけのメンタルの差はあったのかもしれない。これで大宮はホームでいまだ勝星なし。しかも3試合連続で雨に祟られるという、ファン・サポーターにとってはさんざんな結果が続き、試合後はブーイングも起きた。次のホームでの試合は、浦和を迎えてのさいたまダービー。次節アウェイのセレッソ戦でもう一度チームを立て直して臨みたい。清水がそうしたように。
一方、試合後に清水のゴトビ監督は「この試合が我々にとってターニングポイントになるだろう」と語った。その真価は次節ホームで行われる静岡ダービーの結果にかかっている。
以上
2011.05.23 Reported by 芥川和久
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