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【J1:第12節 山形 vs 仙台】仙台側レポート:セットプレーで先制すると、「地の利」も活かして敵地で完封勝利。再加速のきっかけになりえる、手堅さ満載の大きな1勝。(11.05.23)

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5月22日(日) 2011 J1リーグ戦 第12節
山形 0 - 1 仙台 (13:04/NDスタ/18,008人)
得点者:53' 菅井直樹(仙台)
スカパー!再放送 Ch183 5/23(月)後09:00〜
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☆山形側レポートはこちら

最少得点での勝利を、物足りないという方もいるかもしれない。
だが、アウェイであれば、それは「洗練された勝利」ということになる。確かに、追加点を奪えれば文句なしではあったが、山形の地で6試合、5年ぶりに勝点3を奪うことができた事実、そしてなにより、ここ数節の仙台にのしかかった課題を克服した事実を前に、そうした欲は「今は」かすむ。

ゲームの入り、山形の戦い方は、手倉森誠監督のまさに想定通りだった。仙台にバイタルエリアを使わせないために、山形は中盤を佐藤健太郎の1アンカーシステムから、秋葉勝とのダブルボランチに変更。またロングボールを前線の長谷川悠に当てた後、それを拾って攻めに厚みを持たせるためか、長谷川と近いトップ下の位置に古橋達弥を今季初先発で起用してきた。
わかってはいたものの、序盤の仙台はこの攻撃を完全に遮断するには至らない。ペナルティーアーク付近で古橋にボールへの絡みを許し、密集状態からあわやゴール前へ抜け出されるかという場面が続いた。またサイドでも、前に出たい菅井直樹、朴柱成の両サイドバックが、山形のサイド、廣瀬智靖と宮沢克行に単独での応対を強いられる。山形の意地に対し、仙台が押し込まれている時間は確かにあった。

だがそれを何とか凌ぎきり、スコアレスで後半へ入ると、仙台に文字どおり「風が吹き始める」。
試合前の雨が上がり、雲は低いながらも時折陽射しも入るなど穏やかな気候になりかけていたNDソフトスタジアム山形だが、後半開始から様子は急変する。メインスタンドから見て左から右方向に、かなりの強風が吹きつけ始めたのだ。それはつまり、仙台には追い風、山形には向かい風ということになる。
そして53分、この日唯一の得点が決まる。まだゴールまでは遠い右サイドでFKを得た仙台。「距離もあったので、ちょっと速くて勢いのあるボールを蹴った方がいいかなと考えた」という梁勇基のキックは、彼の意図通り、追い風に乗って鋭さが増されつつ、しかし精度には全く狂いが無かった。そしてそのボールが、正面で競り勝った角田誠の頭を捉える。
強烈なヘッドはバーに嫌われるが、もう一度正面にこぼれてきたボールの先には、山形出身で仙台生え抜き、出場機会をつかみ始めた頃からこのダービーに並々ならぬこだわりを持っていた菅井直樹がいた。体勢を崩していたGK植草裕樹を尻目に、長年の思いをこめて菅井がシュートを蹴り込む。沸騰する7,000人の仙台サポーター。さあ、5年ぶりの勝利に向けて、一つの関門は、自慢のセットプレーで超えた。

となると、あとはどうやって勝点3へとつなげるかということになるが、ここに来て仙台の守備が俄然凄みを増していく。
長谷川への対応に迷いが無くなった。中央だけでなくサイドに流れてボールを引き出そうとした長谷川に対し、仙台は決してマークを曖昧にさせることなく、「空中にあるボールは自分が競り合いをして、後ろで(鎌田)ジローがカバーリング。どうしてもそうはいかない場合だけ逆になった」と?秉局が振り返った約束事を徹底、最後まで自由を奪った。
また山形の前線にボールが収まりかけた際も、この日今季初の先発起用となった富田晋伍が期待に応え、献身的なプレスバックから獰猛なチャレンジでボールを奪い続ける。序盤はセカンドボールへの反応が遅れたことなど反省点が(自分で振り返る分には)多かったという富田だが、後半は守備だけでなく、前に出てきた山形のスペースに飛び出し、山形にとって実にいやらしい動きをしていた。
それに加え、仙台にとって本当に幸運だったのは、後半から発生した強風だった。リードした仙台は自陣の守りを固め、前半以上に山形の攻撃はロングボールへとシフトしたのだが、精度を欠いた山形の縦へのボールは、強風が全て押し返す。サイド深い位置にボールをつけられた時こそピンチとなりかけたが、それでもMF陣がしっかりと戻り、流れからは決定的な場面は作らせなかった。

古橋からの右CKに対し、フリーとなった石井秀典のヘッドには肝を冷やされたが、逆に言えば危ないシーンはそれだけ。これに、秋葉の遠巻きからの1発を加えた2本しか後半にシュートを許さなかった仙台は、懸案となっていた試合終盤に入ってもあわてることが無かった。
山形が交代枠を1つ残し、まだベンチに長身の大久保哲哉がいる状態で、一つも交代枠を使っていなかった仙台。この辺りは相手が先に動くのを待っていた感もあるが、先んじて中島裕希を投入した手倉森監督の采配は、前がかりで守備の土台がもろくなっていた山形に対し効いたし、ロングボールの供給を彼の前線からの守備によってさらに困難にする効果も発揮した。小林伸二監督がその3分後となる84分に大久保を投入も、折からの強風もあり、既に大きく戦局を変える交代とはなり得ず。ベンチの駆け引きでも、手倉森監督は師匠に互角以上に渡り合う。

アディショナルタイムの3分、もう仙台に、3連続の過ちは無い。時間を的確に使い、ホームを目一杯じらしながら、CKなども使い淡々と時間を進めた先に、待望の勝利は待っていた。
3連勝時の勝ち方が戻ってきたかのような、手堅い1−0勝利。リーグ7戦して無敗は、今節をもって仙台のみとなったことも含め、自分たちのやり方に自信を深めさせるという点で、理想的な勝ち方だった。
そこに、「ダービー、さらにアウェイでの勝利」というエッセンスが加わるのだ。これを「最高の勝利」と呼ばずして、何をそう呼ぶのか。

以上

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