Ｊ２リーグ第12節岡山戦は１−１の状況で後半アディショナルタイムに入ったが、試合終了直前に値千金の決勝ゴールを奪ったのがＤＦ竹内彬だった。ＭＦ伊藤大介が蹴ったＣＫのボールに飛び込んでいくようにして合わせた、見事なヘディングシュートでの得点だったが、実はこれがプロ初ゴール。名古屋で主力として活躍していた時期が長く、ヘディングの強さは彼の特長だっただけに、プロ６年目での初ゴールはちょっと意外な感じだ。
「選手である以上、点は取りたいと思っているし、学生の時は点が取れていたんですけどね。名古屋でプレーしていた時も得点チャンスはあったけど、シュートが枠に行かないことが多かったので。でも、僕はＤＦなので、プロになってからなかなか点が取れないからといって焦ることはなかったです」
初ゴールを取ったあとの取材でそう話した竹内は、初ゴールを取った直後はうれしさを前面に出したような笑顔ではなく、どちらかというと気迫あふれる険しい表情だった。
「やっぱり勝ちたかったので。ホームゲームだったし、相手は（退場者が出て）10人になっていたのに、１−１の引き分けでは終われないと思っていた。最後に決めてやろうと思っていたので、そういう表情だったのかなと思います」
自分の得点を喜ぶよりも先に、チームの勝利がほぼ確実になったことを意識しての気合の表情だったようだ。今度得点した時は笑顔を見せるのか注目したい。

一方、第12節と同じくホームゲームだった第10節愛媛戦で、プロ２年目にしてプロ初ゴールを決め、満面の笑顔を見せていたのが伊藤だ。直接ＦＫをゴール左隅に綺麗に決めての得点だったが、試合後のミックスゾーンでの取材では「味方の選手が相手の壁のところに入って、ＧＫから僕が見えないように隠してくれていました」とチームメートへの感謝の言葉も述べていた。プレースキッカーを務める伊藤としては、プロ初ゴールがＦＫによるものというのは格別の思いがあったようだ。
「ＦＫは自分のセールスポイントなので、それで得点できたのはうれしいです。大学生の時は４年間ＦＫを蹴っていて点を取っていたのに、昨季はＦＫで得点するチャンスがいっぱいあっても外していた。サポーターやチームメートが『決めてくれるんじゃないか』と期待してくれていたのに決められないのは悔しかったです。１回決めたことで周りの見方も変わってくると思うので、また期待に応えられるようにしたいです」
今季の伊藤はＦＫによる得点だけでなく、前述の竹内のプロ初ゴール、そして第11節鳥取戦でのＭＦ米倉恒貴の決勝ゴールをＣＫでアシストして勝利に貢献している。チームを勝利に導くプレースキッカーへ成長していく伊藤の姿が楽しみだ。

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2011.05.20 Reported by 赤沼圭子