5月15日にフクダ電子アリーナで行われたJ2第12節 ジェフユナイテッド千葉対ファジアーノ岡山は、1対1のまま後半アディショナルタイムに突入。セットプレーから竹内彬がJ初ゴールを決めて千葉が勝利を手にした。岡山にとっては前半36分にストヤノフが退場となり、その後を10人でしのいでいただけに、非常に悔しい結果となった。しかしファジアーノ岡山のサポーター、ファンはこれを「ポジティブな敗戦」と呼んでいる。
この日、キャプテンマークを付けた竹田忠嗣は試合終了直後、「シーズンが始まる前から今日の試合を楽しみにしていました。フクアリでアウェイの選手としてピッチで戦えたのはうれしかったですけど、正直言うと勝点を持って帰りたかったので、今はものすごく悔しいです」と話した。竹田は市原ユース、千葉リザーブス、千葉を経て、08年シーズン半ばに岡山に加入。「僕は、昨年8月末のゲーム(第24節)も、岡山がJFL時代の08年のリザーブスとの対戦でもピッチには立っていなかったんです。ジュニアユースからあのユニフォームを着てやっていたし、今回いろんな人から『どういう気持ち?』って聞かれてたんですけど、立ってみないとわかんないと思ってました。で、やってみるといつもの試合と一緒でした」
またこの日のゲームには、レスター・シティーFC所属の阿部勇樹が観戦に来ていた。以前から竹田は、尊敬する選手として阿部の名前を挙げていた。「すごく厳しい先輩だったけど、阿部さんみたいにどの守備的ポジションでもこなせる選手になりたい」と、以前のインタビューで答えていた。
その阿部選手とは話ができたのだろうか。
「ミックスゾーンで話しかけてもらえました(竹田)」
この日の竹田のハードワークは、厳しい先輩から認められただろうか?
「『(阿部に)よく頑張ってたじゃん、惜しかったね』っていうふうに言われました」
竹田が試合に出場できるようになった09年、「試合に出ることは大事。それでこそサッカー選手だし、成長できる」と言ってくれた佐藤勇人らと対戦できたこともうれしかったと話す。しかし、「ここまで悔しい思いをしたのは初めてかもしれない。ムズムズというか、アドレナリンのせいか翌朝まで全然、眠れなかった」らしい。
岡山には05―07年途中まで千葉でプレーしたストヤノフ、05年から千葉リザーブスと千葉に在籍し、このゲームにベンチ入りした中牧大輔もいた。もちろん、市原(当時)でプレーした影山雅永監督、オシム氏の千葉時代の通訳だった間瀬秀一コーチがいる。ほかにも千葉でプロ生活をスタートさせた野本安啓、昨季フクアリのピッチに立った山中誠晃も。千葉のサポーターは試合前、岡山の監督・選手にも拍手を送った。中牧は「頑張らなきゃいけないなって思いました。前半でGK真子さんが接触したので、ゲームに集中していました」。竹田は、「イリアン(ストヤノフ)のところで大きな拍手があったので、『やっぱすげーな、イリアン。俺の時、拍手がちっちゃかったらどうしよう』って思ってたんですが、同じくらい拍手をしてもらえた。でも、これからはブーイングで迎えられるくらいの選手になりたいし、ならないとだめだって思っています。この日のアップの時、千葉時代に応援してくれてた人がメインスタンドにいて、その人が『負けねぇぞ』って言ってくれたので、気持ちが入りました」
以前プレーしたクラブのサポーターからの、愛情の拍手とブーイング。これもまた選手を成長させる。
以上
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2011.05.18 Reported by 尾原千明
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