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【J1:第11節 甲府 vs 名古屋】レポート:チャンスを与えれば仕事をする男・片桐淳至。J1再デビュー戦でスーパークロスの凄さを見せつけて甲府がチャンピオンチーム・名古屋から今季初勝利を挙げた。(11.05.16)

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5月15日(日) 2011 J1リーグ戦 第11節
甲府 3 - 1 名古屋 (13:03/中銀スタ/14,075人)
得点者:27' 阿部吉朗(甲府)、39' 藤本淳吾(名古屋)、71' ハーフナーマイク(甲府)、78' 松橋優(甲府)
スカパー!再放送 Ch181 5/16(月)後02:00〜
totoリーグ
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あの1枚の写真を見れば言葉は必要ない。でも、原稿料は欲しいから言葉で書く。記者席からは遠くて表情は分からなかったけれど、ハーフナー・マイクが2点目(71分)を決めた後に片桐淳至がマイクに抱きつきに行った時の顔。片桐の表情を見て彼の嬉しさがどれほどのものなのかと思った。試合後、「これで引退してもいいくらい嬉しい」と言ったけれど、アドレナリンが出まくっていて、感情を爆発させながらマイクのところに走っていくスピードは100Mに換算したら10秒切っていそうな勢いだった。少なくともあの瞬間だけは永井謙佑よりも速かったはず。

片桐は全国高校サッカー選手権・得点王の看板を背負って名古屋に加入したものの、プラスの方向に歩くことが出来ずに地域リーグまでプレーするカテゴリーを下げざるを得なくなった。そして、FC岐阜でリスタートして再びJ1に戻るという道を歩いてきた。高校サッカー選手権のスター選手全員が順調に明るい道を歩き続けられるとは限らないが、片桐ほど遠回りをした選手はいない。プロになってからもう10年。もうすぐ28歳。気持ちが荒んだ時期もあっただろうが、左足の精度は荒んではいなかった。苦労してきただけに左足の活かし方は熟練の域に入ってきている。それは彼が09年の途中に甲府に加入した時から感じていたが、63分に片桐が投入された時にはスーパークロスが「出るぞ出るぞ」って心の中でずっと思っていた。

名古屋の主力選手がどれだけ復帰してくるのか、楽しみにしながら恐れていたがメンバーを見ればダニルソンがサブに入っているだけでこの興味は次節の対戦相手(名古屋対柏)の首位・柏の皆さんに転送することになった。それでも、名古屋の選手の名前を見れば充分に有名人ばかり。しかし、始まってみると甲府はチャンピオンチーム相手に充分に戦うことが出来ていた。最初にシュートを打ったのも甲府。ただ、三浦俊也監督も記者会見で話したが、自陣でのボール回しが危うい時が何度かあってそのボールを引っ掛けられて永井や玉田圭司がドリブルからシュートという場面が出てきそうで怖かった。7分の中村直志のシュートはまさにその典型だったがシュートミスに助けられた。その後は少しゲームが落ち着いたが、1本のパスが落ち着いているように見える場面をチャンスに変えた。その功労者は永里源気。左サイドから右サイドの内田智也にクロスを入れ、内田がヘッドで中に落とすと阿部ちゃん(吉朗)が迷いなく右足を振りぬいて先制ゴール。38分に藤本淳吾にFKを決められてしまったけれど、1失点なら何とかなると思っていた。課題は、藤本が「(甲府の)壁の位置がちょっとおかしかった」と言った部分だろう。この対応に修正点があるのならやらないとまたやられる。

同点になってからの甲府の選手のメンタリティに注目していたが、完全に余計な心配で選手は2点目を取るために変らず戦っていた。守備でもサイドハーフはよく動いていたし、ボランチの2枚も効いていたから山本英臣を中心とするディフェンスラインもスピードスターの2枚に仕事をさせていなかった。後半になると名古屋は藤本が高い位置に入ってきて玉田との連携もよくなり、前線からのプレスも効いてきて甲府は少しリズムを掴みにくくなった。ダニルソンが効いていたかどうかは疑問だが、甲府にとっては嫌な感じだった。この局面を打開するには片桐の投入が必要だった。63分に投入されてから暫くはボールに触るチャンスが来なかったけれど、71分に右サイドのセンターライン付近でボールを持った瞬間は「出るぞ出るぞ」って確信した。スタンドで見ていたサポーターも同じだろう。

「最初の意気込みとしてはボールを持ったらドリブルで仕掛けるつもりだった。でも、ピッチに入ってから暫く守備をする時間が長くて(疲れて)前に行く力が少し弱まっていた(笑)。甲府の攻撃は前に急ぎすぎる傾向があるからタメを作るために1回ヘッドダウンして最初に動き出す選手を囮にしようと思っていた。ボール持った瞬間は阿部ちゃんへのパスを考えたけれど、阿部ちゃんの動き出しにセンターバックが釣られたからその裏に動き出したマイクを狙った。こういう感覚が身に付いたのは子供の頃から周りの選手が動いてくれたお陰」

「出るぞ出るぞ、出た〜」のパスの距離は約40メートル。狙い通りにセンターバックの上を越えてマイクに到達。マイクはジャンピング胸トラップでボールを前に落とすと出てきた楢崎正剛が触る前に左足で押し込んだ。そして、片桐とマイクの抱擁シーンに繋がった。「やべっちFC」ではマイクのゴールシーンを放送していたが、片桐の凄いクロスにも触れて欲しかった。J2時代は勝っても負けてもまず触れてもらえなかったので、J1に上がって全国放送で触れてもらえるだけでも幸せか。名古屋は増川隆洋が負傷し、ボランチに入れていたダニルソンを札幌でもやったことがないセンターバックに下げるなどやりくりしたが、藤本も下がらざるを得なくなり後半立ち上がりの良さを失ってしまっていた。記者席では名古屋担当らしき記者が選手に付ける点数を「(誰のことかは知らないが)5点だったけど、4.5 点」などと呟きながら下げていた。ピッチでは甲府デビューとなった市川大祐のアシストで松橋優がゴールを決めて3−1。ジャンプヘッドを決めた後、ピッチに倒れた松橋は駆け寄ったマイクに圧し掛かられてアンコが出そうな状態で喜んでいた。ただ、まだ10分以上あったので安心は出来なかった。永井がドリブルで切れ込んでくればやっぱり怖いし1人では止められない。吉田豊は「初めて対戦したけれど速い。止められるつもりで寄せるけれど、1歩目が速いから半身抜けられる。今まで対戦した選手の中で一番速い」と、今日(U-22日本代表合宿)からのチームメイトの凄さを話した。1点差になれば分からなかったが、甲府は守りきった。

試合後、片桐に「仕事するね」と話しかけると、「俺を誰だと思っているんですか」ってニヤッと笑った。こっちも嬉しくなる大口。そして、「でも、次だよ。次。連続して活躍しないと意味がないからね」と直ぐに言うところがいい。次はアウェイ・横浜FM戦(21日15:00キックオフ)。マイクを育ててくれたクラブ。甲州イナゴ軍団挙げて日産スタジアムに駆けつけ、スタジアムグルメを喰い尽くして横浜FMに儲けてもらい、マイクの恩返しゴールで勝点3を奪い取ろう。個々で突き詰めるべき部分は少なくないが、チーム内で激しくなりつつある競争があればまだまだ進化できる。

以上

2011.05.16 Reported by 松尾潤
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