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【J1:第11節 広島 vs 横浜FM】プレビュー:傷つき、倒れてもなお、仲間を気づかった友のために。無敗で乗り込む強豪・横浜FMに、広島は自分たちの闘いを挑む。(11.05.13)

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5月14日(土)J1 第11節 広島 vs 横浜FM(15:00KICK OFF/広島ビチケット販売はこちらリアルタイムスコアボード
スカパー!生中継 Ch181 後02:50〜
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救急車がビッグアーチに横付けされ、ストレッチャーが控え室に運び込まれる。その上に乗せられた水本裕貴は、そのまま広島市内の病院に直行。緊急開頭手術を行なった。前節甲府戦直後の出来事だ。
頭蓋骨骨折、急性硬膜外血腫。一歩間違えれば脳挫傷や脳ヘルニアを併発し、危険な状態にもなりえた大ケガ。ただ水本の場合は脳への深刻なダメージを与える症状を併発せず、全治4ヶ月程度と診断された。不幸中の幸いというべきだろう。

手術後、チームを代表して見舞いに訪れた佐藤寿人と西川周作が病室に入った時、まだ意識が戻っていなかったにもかかわらず、「なんとか目を開けようとしてくれた。話をしたいという気持ちが伝わった」(佐藤)。そして翌日、意識を回復した水本は、気づかう家族に向かって「試合はどうだった?勝った?」と尋ねている。

この事実を聞いたペトロヴィッチ監督は、感激した。そしてミーティングで選手たちに水本が発した言葉を伝え、「凄い精神力。彼はチームのために強い気持ちで闘ってくれた」と絶賛した。また、同じ甲府戦で左膝半月板を負傷し、内視鏡手術を行なった青山敏弘についても、「3年間で3度目の膝の手術を行ないながら、前向きに立ち上がっている」と彼が持つ意志の力を高く評価。そして「我々は、彼らのために闘わないといけない」と強い調子で訴えたのだ。

もちろん、選手たちの気持ちも、その一点に集中している。今季もチームの主将を務めている佐藤寿人は、自らのキャプテンマークに「4」と大きく縫い付けることを依頼した。4とはもちろん、水本裕貴の背番号。その数字が刻み込まれたキャプテンマークを巻き、常に水本と一緒に闘っていくことを宣言した。
「前半の早い時間帯に負傷した後も、普通にやっていたように見えたけれど、いつものミズ(水本)じゃなかった。だから後半に入る前、『無理はするな』って言ったんだけど、あいつは頑張ってしまう性格だから」(佐藤)。
後半開始後しばらくして、水本は森崎和幸に「カズさん、もう無理みたいです」と訴えた。ただならない言葉を聞いた森崎和は驚き、佐藤を通してベンチに交代を求めた。だが、その間も試合は続いていた。
「でもミズは、本当はフラフラだったのに、そこで相手からボールを奪ったりした。ギリギリの中で、ミズは闘っていたんです。ミズにしても、今回は幸い全治3週間だった(青山)トシにしても、ここまで本当にチームに貢献してくれた。こんな形で離脱することは、本人たちが一番悔しいはず。だから、プレーできる僕たちが、彼らの気持ちを受け止め、責任を持つ。彼らが戻ってくるまで勝ち続け、上の順位のままで(二人の)復帰を迎えたい」

主将の力強い決意は、選手全員の想い。水本のポジションに入ることが濃厚な横竹翔は「ミズくんが安心して治療に専念できるよう、力を合わせて頑張りたい」と視線鋭く語った。森脇良太は「ミズくんのファイティングスピリットを僕らが感じ取らないといけないし、その回答をピッチの上で見せるべきだ」とまなじりを決した。

今季の横浜FMは、日本でも最強といっていい守備力を誇る。中澤佑二・栗原勇蔵・谷口博之・小椋祥平。日本を代表する力強さを持つ4人を中心に、リスクを冒さずにガッチリと中央を固める。そして鋭いカウンターから渡邉千真・小野裕二らの高い攻撃力を引き出し、チャンスと見るや畳み掛ける破壊力。「アイディアを持つクオリティの高い1人の選手(=中村俊輔)と、ハードワークして闘う選手たち。今季の横浜FMはいい(メンバーの)セレクションをしている」とペトロヴィッチ監督も認める強豪は、ここまで未だ負けなし。「強い守備」「鋭いカウンター」「高さのあるセットプレー」。広島がもっとも苦手とするスタイルを持っている彼らは、自信を持ってビッグアーチにやってくるだろう。

だが、「もう相手の状況どうこうじゃない。僕らは、勝つしかない」と佐藤は言い切る。森崎浩司も「相手の守備が強くても、ウチの攻撃陣ならこじ開けられる。ミズのために、そしてアオのために。みんなのその気持ちが、高いモチベーションにつながっているのだから」と仲間を信じている。

今節唯一の無敗対決。他会場の結果次第では両チームに首位進出の可能性もある。しかし、広島の選手たちにそういう「気負い」はない。傷つき、倒れてもなお、仲間たちを気づかう友のために、全力を尽くして相手と対峙するのみ。その姿、スタジアムでしっかりと、心に焼き付けたい。

以上

2011.05.13 Reported by 中野和也
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