5月8日(日) 2011 J2リーグ戦 第11節
徳島 2 - 1 京都 (13:05/鳴門大塚/4,694人)
得点者:23' エリゼウ(徳島)、47' 久保裕也(京都)、64' 西嶋弘之(徳島)
スカパー!再放送 Ch183 5/9(月)前10:30〜
☆totoリーグ
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試合終了前の数分間、そこにはこの一戦における徳島の気持ちと姿勢全てが凝縮されていたと言えよう。得たCKでは徳重隆明が中央へボールを送り込んで空中戦を挑み、カウンターからスペースへ抜け出た柿谷曜一朗や杉本恵太は難しい角度になりながらもフィニッシュを放つ─。
言うまでもなく残り時間を考えればどちらも京都陣内コーナースポット付近でボールキープに入るのがセオリーであろう。実際前節・大分戦のチームはそうしたプレーで後半のアディショナルタイムを上手くやり過ごそうとした。が、今節はそんな素振りを全く見せず、選手全員がどこまでもゴールを狙う意欲と姿を貫き通したのだ。その結果、徳島は最後に同点を許してしまった前節の過ちを繰り返すことなく、1点のリードを保ってタイムアップを迎えることに成功。凌いで守り切ったのではない、強く戦い抜き押し切ったと言える形で、自信に繋がる勝利を京都からもぎ取ったのである。
ゲームを振り返れば、まず前半流れを掴んだのはそうした強い気持ちと積極性に満ちた姿勢を立ち上がりから見せた徳島であった。チームはコンパクトな状態を常に維持しつつ、高い位置からのプレッシングを絶えず実践。そしてボールを奪えば縦を意識した繋ぎで果敢に京都ゴールへと向かっていった。するとその前向きな戦いが待望の先制点を呼び寄せる。23分、島田裕介のCKにエリゼウが飛び込み、マーカーのアライールともつれて倒れこみながらも執念のヘディングでネットを揺らして見せた。
さらにこのゴールで勢いを加速させた徳島はその後も自らの攻守を充実させていく。30分に島田のピンポイントクロスを佐藤晃大がボレーで合わせて追加点かと思わせるシーンを作れば、守備でもいっそう素早いブロック形成とより連動したチェックを披露。ワンツーや3人目の動きで突破を図ろうとする京都をしっかりと封じ込めていった。
ただ、そのような展開の中でも、京都の個の突破には徳島も多分に手を焼いていたと認めざるを得ないだろう。前半終了近くには右サイド深くを京都の17歳・久保裕也に切り裂かれ危うく決定機を作られかけたし、後半開始早々にその久保のスーパーミドルで同点とされ、何度もドゥトラの個人技に振り回されて危険な形での侵入も許してしまった。それを思えば、あれだけ集中していた徳島の守備ではあるが、まだ危険と隣り合わせの部分も残っていたということになる。
しかし、今節の徳島にはそこを突かれるより先に相手を突き放す強さがあった。そしてそれに繋がったのは試合開始直後から出していたシュートへの意識だ。「立ち上がりからシュートを意識し、それを打つことでペースを握れた」と島田が試合後語り、倉貫一毅や衛藤裕もミドルレンジから思い切って狙っていたが、とにかくこの一戦で徳島の見せたシュート意識は非常に高く、結果として西嶋弘之のそれが追加点となったのだ。バイタルエリアにこぼれてきたボールは捉えるのが難しい高い浮き球で実際に西嶋のシュートは完璧なミートとはいかなかったものの、それでも彼の迷いのない振り抜きがボールをゴールマウスの中へ持っていったと言えるだろう。
こうして再度京都からリードを奪った徳島はその後冒頭のような強い気持ちを継続した戦いで最高の結果を掴み取った。さすがにこの勝利には美濃部直彦監督も「前節の課題をトレーニングの中で意識し、選手たちがその成果と強い気持ちを出してくれた結果踏ん張れたのだと思います」と選手たちを称え、その成長に手応えを感じたようであった。
とは言え、この京都からの初勝利、価値ある勝ち方もシーズンにおいてはひとつの通過点に過ぎないはず。またすぐに気持ちを引き締めて、次節の四国ダービーにもこの戦いを持ち込みそこでも成果を挙げることがチームには求められる。
さて、一方京都についてだが、敗れながらも自分たちのストロングポイントは大いに示して見せたと言っていいのではないか。「前節と比べたらずいぶん良かった(大木武監督)」ディエゴとドゥトラはさすがの巧さを随所に見せていたし、そこへ前記の通りの同点弾を叩き込んだ久保が絡む連携は間違いなくキラリと光る鋭さを持っていた。となれば、あとはその前の3人に中盤の選手たちがどう加わっていくかだろう。「中盤の4枚がひし形ではなくワイドに張るように並ぶので、その位置にいる僕や逆サイドがもっと積極的に上がっていかなければいけなかったと思います」とは中村太亮が口にした反省の弁だが、彼らが強力な前線の3人を厚くバックアップできれば京都は必ず爆発的な破壊力を発生させ、戦績を浮上させてくるに違いない。
以上
2011.05.09 Reported by 松下英樹
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