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【J1:第9節 甲府 vs 大宮】レポート:いまだ未勝利だが甲府にとってポジティブに捉えたい引分け。阿部のゴールが甲府に自信と積極性をもたらせた(11.05.04)

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5月3日(火) 2011 J1リーグ戦 第9節
甲府 1 - 1 大宮 (14:03/中銀スタ/12,056人)
得点者:15' 東慶悟(大宮)、53' 阿部吉朗(甲府)
スカパー!再放送 Ch181 5/6(金)後03:00〜
totoリーグ
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う〜、「いい試合、もしくは悪くない戦いなのに勝てない」と、いうことが続いてしまっている甲府。まだ4試合ではあるが、この状態があと2〜3試合続いたら自信を手にすることが凄く難しくなってしまいそう。今節は大宮優勢の立ち上がり。13分には崩されてラファエルにゴールネットを揺らされたがオフサイド。オフサイドの神様に感謝の祈りを捧げているとパスミスを起点に東慶悟にループ気味のシュートを決められてしまった。まったくもってツートップにボールを納められない甲府はストレスの溜まる試合を続けていた。前にパスを出せないから戻す。戻せば大宮のフォワードにプレッシャーをかけられて失うか適当に前に蹴り出す。こんなシーンが少なくなかった。大量失点で、この日の収穫はビッグマックの200円クーポンだけになるのかと思い始めた。

気がつけば攻撃の核になるはずのボランチ・養父雄仁の動きがおかしい。足首をひねったようで無理をしてプレーしている。27分にはついに膝に手を置いた。記者席の隣の座っていた大宮担当らしき記者のスーツマンが「ついに腰が折れたな、養父」って言った。誰に言ったのかと思って横を見るとスーツマンの向こうに美人レポーターがいた。心の中で(足首を捻ったんだよ)と言い返したが、(2人の並びが逆だったら素敵な記者席になっていたのに)ということを一番言いたかった。三浦俊也監督は養父に代えて阿部吉朗を投入。阿部が入って6分後には石原克哉がミートできなかったが心の隅に引っ込んでいた希望を引っ張り出すシュートを打ってくれた。

前半は何とか1失点で勘弁してもらったが、後半になると立ち上がりから甲府がやたらとセカンドボールを拾えるようになっていた。大宮の上田康太は「阿部さんが入ってから前からのプレスが掛かって少しバタバタした。阿部さんは裏にも走ってくるのでラインを下げられてしまった」という。阿部は、昨年はリーグ戦で3勝だった湘南にいた選手だが、9ゴールを挙げている。湘南で唯一J1の舞台でも通用した選手。彼は後半開始1分に左サイドでボールを受けたときに迷いなく大宮ゴールに一直線に向かうドリブルをしてシュートを打った。決まらなかったが、ゴールに向かう気持ちが素晴らしい。ここまでの甲府に足りないものがそこにあった。ドリブルで仕掛けてシュートを打つ意思と技術・スピード・フィジカル。

前半は早々にブーイングの準備をしていたかもしれない甲府サポーターやファンも阿部のゴールで一気に盛り上がった。53分のダニエル→マイク→阿部のワンタッチシュートはスカッとするゴールで、このゴールは甲府の選手が失っていた「自信」と「積極性」をもたらせてくれた。気が付けば大宮が少し受身の展開。隣のスーツマンが斜めに肩肘を付いて「ここには勝たないと…」って呟いているのを聞いて、心が朗らかになった。甲府と対戦するチームはみんなそう思っているだろうから、それをひっくり返してトム・クルーズがアグリー・ベティ(ブサイク・メイクをやめると結構美人だけど)にフラれるようなシーンを本気で見たくなったし、見られそうな雰囲気がピッチにあった。ゲームプランではこのあたりで甲府のライオン・片桐淳至を投入するはずだったが、冨田大介が負傷。61分に柏好文を投入して2枚目のカードを使っていたので3枚目に片桐を使うことは出来なくなってしまった。三浦監督は「運がなかった」と言ったが、前半の阿部の投入はケガの功名なので帳尻は合っているのではないだろうか。

後半の終盤はお互いに決定機があったが、85分の阿部のシュートは乳酸が邪魔して不発、アディショナルタイムのラファエルのシュートは2発とも甲府の貴公子・荻晃太がセーブ。88分に杉山新が投入されて彼の前にスペースが出来るとビビッたが、彼が入れたクロスは肉弾ディフェンスで撃墜。隣のスーツマンは「ダニエルはいい選手だなぁ。あそこは崩せないよ」って引分けを受け入れる呟きを漏らしていた。そして甲府も引分けを受け入れた。大宮の村上和弘と上田は「攻撃でもう一工夫足りなかった。単純なサイドチェンジからのクロスだけでは難しい」という趣旨の話をしていた。大宮から見れば高性能ツートップを活かしきれなかったということが引分けの理由になるのだろうか。この結果、大宮は勝点5で降格の心配がない8位。甲府は勝点2で17位となり18位には福岡。降格候補のツートップがついに大方の予想順位の椅子に座った。まだ4試合なので1回勝てば順位は大きく上がるが、そう思っているうちにずるずると何試合も消化してしまうのがよくある降格のパターン。心配、心配。

でも、甲府駅から中銀スタジアムに向かうタクシーの中から見た景色を思い出すとそんなことは大きな問題ではないようにも思う。先に行く大きな自転車を懸命に追いかける小さな自転車。父・娘でレプリカユニフォームを着ていた。目的地は間違いなく中銀スタジアム。多くの人がヴァンフォーレ甲府の試合を楽しみにしている。70歳くらいに見えたタクシーの運転手さんは、「今日はアルディージャなんでしょ。(J1で)優勝なんか出来なくてもいいから何とか(J1に)残って欲しいね。そのほうがお客さんは増えるんでしょ?今日は勝てそう?ウチの運転手の中にも試合の日は仕事を休みにするのがいるからね。(スタジアム往復のシャトル)バスが安いからタクシーは太刀打ちできないよ」と期待と愚痴を口にした。長い年月をかけて平凡になりそうだった人生にヴァンフォーレ甲府が及ぼした影響は小さくないはず。そして、生まれたときからヴァンフォーレ甲府がある人生はどんなものになるんだろうか。きっと山梨に誇りを持って成長してくれるはず。そういう人々に愛されていることを意気に感じて選手が戦ってくれれば、阿部のように前を向いて積極的に戦ってくれれば前進できるはず。さぁ次は広島。勝つ。

以上


2011.05.04 Reported by 松尾潤
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