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【J2:第9節 栃木 vs 京都】レポート:3連勝で単独首位。クラブ初の快挙を「県民の歌」で祝った、栃木の進撃は続く。京都は本来の姿から遠かった。(11.05.01)

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4月30日(土) 2011 J2リーグ戦 第9節
栃木 1 - 0 京都 (13:03/栃木グ/4,473人)
得点者:3' リカルドロボ(栃木)
スカパー!再放送 Ch183 5/1(日)後08:30〜
totoリーグ中断期間を振り返るJ2編
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勇壮な「県民の歌」の響きが、心地良く耳に残る。これまで特別な試合に勝利した時にだけしか歌われなかった「県民の歌」は、どうやら今季からホームゲームの勝利時に毎回歌われるようだ。J1昇格を目標に掲げた特別なシーズンに、ゴール裏で選手とサポーターが一体となり「県民の歌」を歌う。その回数が増えれば増えるほど、栃木SCにとって「昇格」の2文字はくっきりと輪郭を帯び、手の届くものとなるはずだ。

京都を撃破した栃木は開幕から3連勝を飾り、単独首位に立った。クラブ史にまたひとつ、胸を張って自慢できる歴史が刻まれた。

歴史を作ったゴールはキックオフからわずか3分、エースの右足から生まれた。CKの流れからルーズボールを拾い、左45度からリカルド・ロボがコースを狙い済ましてシュート。抜群の力加減でコントロールされたシュートはゴールに吸い込まれた。「自分がトレーニングしている、自分の得意としている形」とロボはご満悦。日々の鍛錬が貴重な先制弾となって実を結んだ。栃木は8分にも河原和寿がGKと1対1のシーンを作るなど、先制点の勢いで流れを掴んだ。

局地戦を仕掛けたかった京都だが、「開始から何か緩い感じがした」と大木武監督が振り返るように、球際での弱さが失点を招き、流れも失う事態を引き起こした。志向するリズミカルなパス回しは見られず、プレスも機能せずに後手を踏み続ける。ようやく20分過ぎにゴール前でショートパスでの打開が可能となり、久保裕也が決定的なシュートを放つ。しかし、久保のシュートはクロスバーに嫌われ、前半終了間際にFKから加藤弘堅が直接ゴールを狙うも、GK武田博行の好守に阻まれ逸機する。

追う京都はハーフタイムを挟んでも持ち味を出せないまま、内藤貴志が2枚目の警告でピッチを去り、数的不利に陥る。前線の選手が流動的にポジションチェンジを図りながら攻撃を目論むも、思うようにフィニッシュに持ち込めなかった。俄然優位に立った栃木だが、「取ったボールをもっと大事にしないといけない」と鈴木修人が反省した通り、ボールを奪うまでは狙い通りだったが、奪った後の最初のパスとラストパスの精度を欠き、10人を相手に決定機を作り出せずに追加点を奪えなかった。

「もう少しやれるという気持ちがありますけども、実際にはできなかったですね」と大木監督は、自身が思い描くサッカーが表現できなかったことを悔やんだ。新監督が根付かせようとしている新しいスタイルに、選手が意欲的に取り組もうとする姿勢は感じられるが、容易に体現できるサッカーではないだけに戸惑いも同時に感じる。完成の域に達すれば観る者を魅了してやまないのだろうが、その分だけ仕込みにも準備の時間を要する。熟成の時はしばらく先になりそうだ。しかし、J1復帰を目指す以上、それほど猶予はない。次節も栃木と似たスタイルの鳥栖と戦う。まずは開幕戦から続いているセットプレーからの失点を食い止め、「早く無失点に抑えて自信を付けたい」(水谷雄一)。攻撃が売りだが、守備から全体の流れを作るのもひとつの手だろう。

チームの完成度の違いを見せつけた栃木だが、「細かい所を見ていくと、まだ修正しなくてはいけない」と松田浩監督が指摘したように、京都戦では攻撃面での課題が浮き彫りとなった。ポゼッションできるのに、その権利を放棄するように縦へ急ぎ、ボールを安易に失うシーンが目に付いた。「ここからもうひとつ上のランクに行くには、ポゼッションの能力を高めないといけない」とは大久保裕樹。攻撃に緩急を付けられれば、当然ながら相手も対応が難しくなる。首位に立ったことで今後はマークされる立場になる。しっかりと最終ラインからビルドアップし、京都戦でも時間帯によっては散見された、ボールを保持する時間を増やしていく必要がある。ダイレクトプレーなのか、ポゼッションなのか。状況判断能力が高まれば、さらに逞しさを増すはずだ。

「前線も中盤も守備でハードワークした。DF陣、特に武さん(武田)はスーパーセーブで助けてくれた。皆で助け合えたからこそ1−0という結果が生まれた。より強い絆ができるし、強い組織で次の試合に臨める」(河原)
拙攻が目立った一方で、「堅守・栃木」に相応しい今季初の無失点試合は、選手達の中に大きな自信を芽生えさせた。易々と無失点に抑えることはできないが、昨季樹立した6試合連続無失点記録に挑むための権利を得たのだから、記録更新に是非チャレンジして欲しい。守備をベースに試合を作っていくチームだけに、無失点を強く意識すれば自ずと結果も付いてくるはずだ。

大躍進を遂げた昨年5月を上回る、栃木の快進撃が始まる。

以上

2011.05.01 Reported by 大塚秀毅
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