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【J1:第7節 広島 vs G大阪】レポート:広島、10年間の対G大阪戦暗黒史にピリオド。狙い通りの4得点で、強豪を粉砕。(11.04.25)

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4月24日(日) 2011 J1リーグ戦 第7節
広島 4 - 1 G大阪 (13:05/広島ビ/18,788人)
得点者:1' 李忠成(広島)、11' 森崎浩司(広島)、36' ミキッチ(広島)、76' 佐藤寿人(広島)、87' 川西翔太(G大阪)
スカパー!再放送 Ch181 4/25(月)後04:00〜
totoリーグ中断期間を振り返るJ1編
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試合前のロッカールームにて、広島の名将が大きな声を響かせる。
「いいか!バルセロナだって、我々に10年間勝ち続けるのは難しいんだぞ」
だから、今日は絶対に勝つ。そんなメッセージを込めた檄だった。
10年間、広島はリーグ戦でG大阪に勝てない。昨年、ナビスコカップの準々決勝で勝利しても、のどの奥に突き刺さっているリーグ戦での屈辱的な歴史。しかし、そこを乗り越えなければ、新しい段階に行くことはできない。
「G大阪は強豪だ。だが我々は、十分に闘えるチームなんだ」
ペトロヴィッチ監督の強い想いに広島の選手たちは鼓舞され、強い決意を持ってリーグ再開のピッチに立った。

30秒間の黙祷で被災地のために祈りを捧げた後、広島がキックオフ。リベロの中島浩司から中央の高萩洋次郎を経由し、左サイドに回った森脇良太からボランチの森崎浩司へ。大きなサイドチェンジ。正確に右サイドのミキッチにつながる。クロス。逆サイドに詰めている森脇につながった。
胸トラップ。落ち際をシュート。「アウトサイドにかけて、逆サイドのネットに突き刺すイメージ」(森脇)。しかしそのボールは李忠成の足下にピタリ。
次の瞬間。
地鳴りのような歓声。
右腕を何度も振り下ろし、叫びながら走るファーストゴーラー。
満面の笑顔で背番号9を追いかける紫の仲間たち。
GK西川周作を含む全員がベンチ前に集まり、第2子が生まれたばかりの山崎雅人に向けてのゆりかご、そして全員での弓矢ポーズ。中央の森崎和幸を中心に美しい山の形を描いて、サポーターに歓喜をアピールした。

G大阪が一度もボールに触ることのない、キックオフから28秒ゴール。「僕らがしっかりとやってきたことを、神様が見ていてくれたからこそ生まれた」とヒーロー・李忠成は上気した表情で語る。確かに、森脇のアシストが実は「ミスキック」だったことを考えれば、運もあった。
だがこのゴールには、広島の狙いが詰まっていた。ゴールを導いたのは、ピッチを横断するような大きなサイドチェンジ2本。ショートパスにこだわらず、ダイナミックな展開で相手を揺さぶり、シンプルにゴールに向かう。その狙いが見事に実を結んだ。
2点目も、そのコンセプトから。ダイレクトパスの連続から青山敏弘が大きなサイドチェンジ。高萩が受け止め、スピーディにペナルティエリア前までボールを運んだ。そこで明神智和のファウルを佐藤寿人が引き出したことによって、森崎浩司のFK弾を誘発したのである。
わずか11分で2点差。しかし2005年、14分で2-0になった後に4失点して逆転負けした試合を、森崎浩ははっきりと覚えていた。2004年・2009年にも、広島は2点差を追いつかれている。「だから、もう1点」。豊富な運動量と正確な技術で中盤を制圧した紫の7番は意気込んだ。
もちろん、その歴史は兄・和幸も知っている。「何点リードしても、最後のホイッスルが鳴るまでは、全く油断できない」と考えていた森崎和は、ストッパーの位置でアドリアーノやイ・グノのドリブルに対応しつつ、虎視眈々と裏を狙っていた。36分、彼の左足から放たれたロングボール。狙いは佐藤寿人の飛び出しだ。そこは中澤聡太に潰されるが、サポートしたミキッチが疾走。内側に切れ込み、落ち着いて流し込んだ。

過去10年間、1度もなかった広島の3得点。試合は、事実上決まった。
「黙祷を45分間も続けることはない」と西野朗監督が嘆いたほど、前半のG大阪は何もなかった。最も危険なストライカーをボックスの中でフリーにしている状況で喫した先制点。中央を固める広島の守備に有効な打開策は見いだせず、最後は下平匠のクロスに頼るだけになってしまった。広島のサイドチェンジに揺さぶられ、裏へのパスにラインを下げさせられ、決定的なシュートを何本も打たれてしまう。

後半に投入された佐々木勇人が気持ちのこもったドリブルを見せるも、時は既に遅し。しゃにむに前に出る気持ちをあざ笑うかのような広島のカウンターから佐藤寿人にゴールを許し、4点目。藤ヶ谷陽介の好セーブがなければ、「5〜6点、叩き込まれてもおかしくなかった」(西野監督)。ルーキー・川西翔太のプロ初ゴールだけが収穫では、G大阪サポーターの大ブーイングも甘んじて受けるしかなかった。

10年間続いた対G大阪戦の暗黒史をついに広島は打破。だが、まだまだ打ち破らねばならない「壁」は残っている。昨年、ナビスコカップ決勝を含め3試合で5得点を献上した前田遼一が率いる磐田、そして1995年以来勝利がない鬼門中の鬼門・日本平。そこを打ち破って初めて広島は、「歴史を塗り替える」ことができる。

ただ正直、今はそんなことを考えなくてもいい。
今、我々には、Jリーグが戻ってきた。
その喜びに、しばらくの間、浸っておきたい。

以上

2011.04.25 Reported by 中野和也
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