今日の試合速報

ACLE MD2
ACLE MD2

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第7節 浦和 vs 名古屋】レポート:浦和がホーム開幕戦でチャンピオンチームに快勝!思惑通りのサッカーを披露した。(11.04.25)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
4月24日(日) 2011 J1リーグ戦 第7節
浦和 3 - 0 名古屋 (14:04/埼玉/42,767人)
得点者:12' マルシオリシャルデス(浦和)、25' 田中達也(浦和)、78' 原口元気(浦和)
スカパー!再放送 Ch181 4/25(月)後11:00〜
totoリーグ中断期間を振り返るJ1編
----------
相手にほぼ何もさせなかった。浦和は名古屋を3−0で下したが、敵将ストイコビッチ監督をして「今日の負けは論理的な結果。0−3でもいい結果だったと思う。もっと悪い結果も予想できた」と言わしめるほどの完勝だった。

中断期間に取り組んだことが実を結んだ。ペトロヴィッチ監督はリーグ再開までの時間を使って前線からの激しいプレッシングを徹底させたが、さっそくその成果が出た。FWから最終ラインまで全員がさぼらずに足を動かし、相手が後ろ向きでパスを受けようとした際には思い切って体を寄せてボールを奪いにいった。「前半は前の選手が追ってくれて、プレスが効果的にはまっていた。1人でもさぼるとはまらないけど、今日は連動して取れたのが良かった」と永田充は力を込める。

名古屋対策の効果も見て取れた。今週の練習では相手のサイドバックがボールを持った際の追い込み方を確認。すると原口元気が「チーム全体の共通の狙いとして、サイドバックに入った時に前から連動して取ろうとしていたが、それがうまくできた」と振り返ったように、思惑通りの形で名古屋にペースをつかませなかった。

「エジがハードワークしてくれて、後ろにいる達也さんやマルシオなどが反応して、サイドに追い込んだり、サイドに行けなくても、真ん中のところでクサビのボールを充くんとスピラが潰してくれた。チームとしてどこでボールを奪うかという部分が今日は一番良かった」。宇賀神友弥も練習の成果が出たと笑顔を見せた。

組織が機能する一方で、名古屋の強みである個の力という部分においても相手を凌駕した。名古屋はサイドを封じられると、ジョシュア・ケネディをターゲットにしたロングボール戦術を多用したが、空中戦では永田が圧倒的な存在感を見せ、競り負けることはまずなかった。試合後、宇賀神から「充くんに『ヘディング強かったね』って言ったら、充くんは『覚醒した』って言っていた」というエピソードを明かすと、永田は「本当はヘディングが強くない」と苦笑いを浮かべていたが、この日は間違いなく空の支配者だった。

また、指揮官が最も警戒していた永井謙佑もうまく封じ込めた。永井はスタート時こそ2トップの一角に入ったが、チームがすぐさま3トップに変更したため、左サイドでプレー。高橋峻希がマッチアップすることになったが、永田が「普通じゃ考えられないスピード」と形容した大卒ルーキーを黙らせた。何度か裏に抜けられてチャンスを作られたが、多くの時間帯で仕事をさせなかった。これにはチームメイトの原口も「峻希がよく止めてくれた。峻希の方が一枚上手だったと思う」と脱帽。永田は「今日は峻希がマッチアップすることが多かったけど、しっかりカットしてくれた。センタリングもほとんど上がらなかったので、僕たち真ん中の選手はすごい楽だった」と賛辞を惜しまなかった。

ゴールも狙い通りのプレーから奪った。ペトロヴィッチ監督は手数をかけずに前線に素早くボールを入れて勝負の形に持ち込むことを求めているが、いずれのゴールも守備から攻撃へのスピーディーな切り替えから生まれている。マルシオ・リシャルデスの先制点の場面では、永田のクリアボールを拾ったエジミウソンからカウンターが始まり、田中達也のシュートのこぼれ球を押し込んだ。田中達の2点目のシーンでも、同じく永田のクリアからカウンターが発動し、柏木陽介のスルーパスからマルシオの折り返しを決めた形。原口の3点目は、田中隼磨のあまりに軽率なボールロストから生まれたものだが、原口本人が「守備を頑張ったご褒美が最後に来た」と語ったように、前線からの守備を怠っていれば決して見ることのできないゴールだった。

名古屋は特徴をほとんど出すことができなかった。ストイコビッチ監督が「簡単なボールをコントロールできなかったし、簡単にボールを失っていた」と表情を曇らせたように、不用意なミスが多かった。浦和の守備にリズムを崩されていたのは確かだが、集中を欠いたような軽率なプレーも散見された。「ミスしてボールを取られたら、こういう結果になる」と藤本淳吾も肩を落とした。

この日の名古屋はサッカーの基本的な部分で全く戦えていなかった。「出足にしろ、セカンドボールにしろ、球際にしろ、浦和が勝っていた」とは藤本。動きが鈍く、こぼれ球を拾えず、ボールの競り合いで負けてしまうようでは勝負にならない。指揮官も「セカンドボールだけではなく、ファースト、セカンド、サードまで相手が持っていった」と肩をすくめるほかなかった。ハーフタイムと終了直後にはあまりの不出来に怒りを爆発させていたという。

主力のけがで懸念されたボランチのポジションもウィークポイントの1つになっていた。小川佳純、吉村圭司のダブルボランチはチームのハブ役になれず、そのためセンターバックの闘莉王が長いボールでどうにかゲームを作ろうとしていたが、攻め筋が1つでは厳しかった。彼らはセカンドボールの争奪戦でも後塵を拝し、劣勢の要因となっていた。

名古屋は中盤でゲームを作るタイプのチームではないが、トップ下の藤本を含め、あそこまで中盤が機能しないと苦戦は免れない。後半から故障明けの中村直志が出場して多少持ち直したが、2点ビハインドの状況ではペースを作り直すのは難しかった。ストイコビッチ監督は「中盤で簡単にボールを失いすぎたから、こういう結果になった」と中盤の機能不全を敗因の1つに挙げていた。

浦和はチャンピオンチームに完勝し、これ以上ない最高の再スタートを切ったが、「リーグ戦はまだ2試合しかやっていないし、今日は勝点3を取っただけ」とペトロヴィッチ監督が釘を刺したように、まだ白星を1つ手にしただけにすぎない。選手たちもそのことは理解している。「今日だけでは判断できない」とは宇賀神。この日のような試合を積み重ねていくことができた時に初めて、実力は本物だと胸を張れるようになるだろう。

ただ、Jリーグが帰ってきた日、ホーム開幕戦で胸のすくような快勝劇をやってのけたのだ。ほんの少しの間だけ、勝利の余韻に浸っていてもバチは当たらないはずだ。

以上

2011.04.25 Reported by 神谷正明
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/10/10(木) 12:00 Jリーグ審判レポート(シンレポ!)ホイッスル #7「VARは見逃さなかった!退場になるファウルとは?」