4月5日、トップチームの2部練習が終わって夕焼けに染まるグラウンドに、小さな子どもたちが集まってきた。鳥取では数年前から、幼稚園生から小学生を対象としたサッカースクールを展開しているが、年間を通してのスクールは、昨年までは東部地区と西部地区だけ。それが今年、中部地区でも年間を通して活動を始めることになり、新年度を迎え、その第1回がスタートを切ったのだ。
そこに、スタッフ用の黒いジャージーを着て姿を見せたのが、スクールコーチの赤尾公さん。鳥取のファン・サポーターでなくとも、高校サッカーファンで名前を覚えている方も多いだろう。鹿児島実高のMFとして、2年時の2004年度高校選手権では優勝メンバーの一員に。キャプテンを任された3年時は、決勝で乾貴士(現C大阪)らを擁する野洲高(滋賀)に敗れて準優勝に終わったものの、大会優秀選手に選ばれた。その後、進学した鹿屋体育大でも4年時にキャプテンを任されるなど、多くの実績を残してきた。
昨年、並行してスクールコーチを行う契約で、現役選手として鳥取に加入。前期16節のツエーゲン金沢戦に交代出場で初出場を果たすと、わずか1分後に初ゴールを決める好スタートを切った。しかし、その後は出場機会に恵まれず。「チャンスをものにするタイミングはあったけど、力を出せなかった」と本人は振り返るが、その後も流れは変わらず、最終的にクラブから翌年の契約を結ばないと告げられる。
「クラブがJ2に昇格して、これからというタイミングだったので、ショックでした」。移籍先を探して現役を続けるのか、引退して、そのままスクールのスタッフとしてクラブにとどまるのか。選択肢は2つあったが、「めちゃくちゃ悩んだ」末に、引退を決断。かつての指導者や知り合いからは現役続行を勧められたが、いずれは指導者への道を歩もうと、大学時代に日本協会のC級ライセンスを取得していたこともあり、一足先にそちらの道に進むことを決めた。
子供たちに自己紹介するとき「アカ・コーチです」と言っているのは、「アカちゃんだよ、と言うと笑ってくれるんです。最初の『つかみ』ですね」という考えから。昨年、一緒に指導を行った先輩コーチを見ながらノウハウを学び、幼稚園の年中から小学6年生までを教えている。幼稚園児と小学校高学年では教え方も異なり、言葉の使い方や伝え方などで難しさを感じることもあるというが、「子どもたちが元気良くサッカーをしてくれるのは楽しい。技術的にも精神的にも、楽しみながらサッカーをやらないと、うまくならないと思うんです。サッカーを楽しむだけじゃなく、うまくしてあげたい」という思いを持って、日々子どもたちに接している。
引退直後ということでトップチームの練習のサポートに加わることもあり、ミニゲームなどに加わっても、現役の選手と変わらないだけの動きを見せることができる。そんな時、自らプレーしたい思いが募ることもあるというが、今はそれよりも、新しく任されたスクール費用の管理など、慣れない仕事を的確にこなすのに懸命だ。
将来の夢は、「スクールを卒業した選手が、ガイナーレの選手としてプレーすること」。第2のサッカー人生を歩み始めたばかりの『アカちゃんコーチ』も、その頃には多くの経験を積んだベテラン指導者となり、鳥取の子どもたちにサッカーの楽しさを教えているはずだ。
以上
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2011.04.16 Reported by 石倉利英
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