3月6日（日） 2011 J2リーグ戦 第1節
北九州 0 - 3 千葉　（13:03／本城／3,359人）
得点者：33' 深井正樹（千葉）、54' 米倉恒貴（千葉）、72' オーロイ（千葉）
スカパー！再放送 Ch183 3/7（月）後06:00〜
☆2011開幕特集｜totoリーグ ｜顔写真クイズ
----------
204センチという高さにどう抗うか。
北九州の選手たちは試合前、クロスを上げさせないようにしたいと話していたが、実際には何本ものクロスが入った。それも頭ではなく足元を狙って。試合開始直後からいくつかの危険なクロスが入ってくる。しかし204センチのオーロイは、前半45分完全に抑えられていた。北九州のセンターバック・宮本亨が立ちはだかっていたのだ。
「やっていて楽しかったし、日本人にはない高さを体感できたのは個人としてもプラスになった」と話す宮本は、ベテランらしく外国籍選手の特徴を掴んでいた。「気持ちよくプレーされると思い切りやられるようになる」。そこで気持ちよくプレーさせないようにした。しつこいディフェンスで自由を奪い、「言い方は悪いですが（オーロイを）いらつかせることはできた」。
北九州ＤＦのしつこいディフェンスが裏目に出たのか33分にＰＫを献上、千葉・深井正樹に先制点を決められるがゲームの流れはどちらかと言えば北九州に傾いていた。

しかし後半に入ると千葉が息を吹き返す。ハーフタイムにドワイト監督は「自分たちの役割をしっかり守り勝点3を取ろう」と指示。米倉恒貴、深井、オーロイの連動性が高まり、54分には左サイドでボールを奪ったオーロイがゴール前にスルーパス。これに米倉が抜け出して追加点。72分にはコーナーキックにオーロイが反応、オーロイを止めようと食らいつく宮本を抱え込んだ状態でヘディングでゴールネットを揺らした。

北九州は67分に左サイドで森村昂太と多田高行がショートパスでボールを繋ぎ、多田のクロスを佐藤真也が右足でシュート。これが千葉ＤＦの足に当たってゴールに向かっていたが惜しくもポストに嫌われてゴールならず。北九州はこのシーンのように左サイドを起点にチャンスを作ったが、最後の精度を欠き、得点をあげることはできなかった。
ただ、ボールを前に繋ごうとする意識は昨年に比べて高くなり、三浦泰年監督も「いいサッカーを追求してそれを表現するトライができたことは手応え」と話した。
一方で千葉のドワイト監督も「スムーズなゲームではなくもっとポゼッションできた」と攻撃面に不満点はあるとしながらも、「勝点3に値するゲームだった」と手応え。オーロイについては「高さは武器だと思うが、それ以外でもいい選手」と評価した。

雨中のゲームで足元はスリッピー。選手たちの実力はもちろん、戦術面でもこのゲームで見せたプランが今季のスタンダードになると述べることはできまい。しかし新指揮官を迎えた両チームのサッカーが変わり始めているということを感じることはできた。北九州は前戦へと確実にボールを進めるサッカーを見せてくれたし、千葉はオーロイや米倉が勝負強さを発揮してくれた。ただし、まだ未完成。北九州はフィニッシュのアイデアを欠いた。千葉はオーロイが封じられたときに攻撃のパワーを失った。むろん反省点はこれだけに留まらないだろうが、課題を見つけながらゲームの中で成長していければ、38試合の消化後には、それぞれの目標位置に立っているはずだ。

「悔しいのは悔しいけれど、そういうことの積み重ねが大事だ」。桑原が悔しさをにじませながらも前を向いた。Jリーグが開幕。長い長い積み重ねていく日々がまた始まった。

以上

2011.03.07 Reported by 上田真之介