本文へ移動

今日の試合速報

ブルーロックLP
ブルーロックLP

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第1節 岐阜 vs 大分】レポート:森島が試合を決めた!岐阜、『諸刃の剣』の攻撃サッカーで出た課題。(11.03.07)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3月6日(日) 2011 J2リーグ戦 第1節
岐阜 0 - 1 大分 (16:04/長良川/6,621人)
得点者:65' 森島康仁(大分)
スカパー!再放送 Ch183 3/7(月)後01:00〜
2011開幕特集totoリーグ顔写真クイズ
----------
前への圧力、スピード感。今年、木村孝洋監督が掲げた攻撃サッカーのキーワードだ。ゾーンではなく、ボールと人に対して前からはめ込んでいく守備で、前からの圧力をかけると、ボールを奪った瞬間にサイドと前線のスピードを持ち味にした選手が一気に動き出す。
たとえば左サイドでボールを奪うと、すぐさま右ワイドにひとりが張り出し、前線の選手がダイアゴナルランでスペースにいっせいに動き出す。そこに正確なサイドチェンジが入ると、一気に攻撃のギアが入る。こうした意図ははっきりと見えた。しかし、それに対して大分もDFラインを4枚しっかりと並べて、裏のスペースのケアと、ボランチと連動して、バイタルエリアのスペースのケアに奔走した。

この対応策が効果を発揮し、30分までは岐阜の攻撃を食い止めていた。しかし、こうした応対に徹したために、大分は徐々にDFラインが下がりだし、岐阜がよりゴールに近い位置でボールがキープできるようになっていく。こうなると、岐阜の執拗な攻撃が上か、大分の我慢からのカウンターが上か、早くも試合は我慢比べの様相を呈してきた。
大分で一番負荷がかかったのは、井上裕大と宮沢正史のダブルボランチだろう。守備ではDFラインとの距離感を考えながら、スペースを消す動きの奔走し、マイボールになっても、ボールが頭上を通過していくことが多く、間延びし始めた中盤で落ち着かないプレーを強いられる時間が続いた。

時間が経つにつれて、さらに激しくなる岐阜の前からのプレッシャー。大分は時間を追うごとに攻め手がなくなっていく。一方で岐阜も、明確な意図が見えて、形も出来ているのに、個人的なミスが多く、攻め込みながらも、15分のMF染矢一樹のシュートが右ポストを叩いた以外は、決定的なチャンスを作ることが出来なかった。
0−0で迎えた後半も、前半と同じ図式で試合が続いた。徹底したサイド攻撃で、押し込む岐阜に、耐える大分。そして生まれない決定機。岐阜にとっては歯がゆい時間が続いた。
そして、一番恐れていたことが起こった。岐阜が恐れていたこと。それは一発のカウンター。これまではFW前田俊介が単独で持ち込むシーンが多く、これといったチャンスを作れないまま、時間が過ぎていたが、大分は60分にMFチョ・ジョンハンに代え、FW森島康仁を投入。前線で体を張ってキープが出来る存在を入れたことで、カウンターの形にも変化が見られるようになる。
「ボールキープもポジショニングも、今日は全体的に落ち着いてできた」と語った森島が、前線で巧みにボールを引き出して、前線でタメを作ると、これまであまり見られなかったサイドからの展開が見られるようになる。大分の両サイドが高い位置でプレーできるようになったことで、はまっていた岐阜の守備にも徐々に歪みが生じるようになる。

その歪みが致命傷となったのが65分のことだった。大分はカウンターから、DF松原健が右サイドのMF西弘則へ展開。西はそのまま一気に右サイドを駆け上がって、センタリングを供給する。すると岐阜の守備陣は全員がボールウオッチャーになり、ファーに流れた森島を捕まえきれず、フリーでどんぴしゃヘッドを浴び、ついに均衡が崩れた。
「このチームの課題であるクロスへの対応が出てしまった。磐田とのプレマッチでも課題であったが…」と試合後、木村監督が唇をかんだように、「相手はクロスへの対応が悪いということは聞いていた。全体が中に入っていくので、ファーに待っていればボールは来ると思った」森島と西に冷静にまんまと課題を突かれた格好となった。
この試合は1点入れば十分の試合展開だった。その後、攻撃の形を意図的に作れたのは岐阜のほうだった。しかし、前半同様にクサビまではうまく引き出せても、肝心のそこからの展開が雑だった。
「ボールを受けても、3人目の動きが足りない。ラストパスを送る手前の問題」とFW押谷祐樹が語ったように、前線までうまくボールが到達しているのに、そこから選手個々の接近がスムーズではなく、全体が裏を狙いすぎて、そこでワンクッションを置いて相手のDFをうまくはがす動きが少なかった。要するに前線でワンキープして、2列目からの追い越しを絡めたり、一度落として、そこからスルーパスという展開が出来ず、前線で交通渋滞を起こしてしまうシーンが多く見られた。
結局、61分のFW佐藤洸一の決定機以外は、チャンスを作れず、試合は1−0のままタイムアップし、アウェーの大分が開幕白星を飾った。

大分は苦しみながらも勝点3を手にした。だが、課題もあった。「守備はリアクションではなくアクション。しかし、今日は積極的に高い位置でボールを奪うことができなかった。特に前半は相手のFWに引っ張られて、下がってしまった。守備の積極性が欠けていた。攻撃のボールのつなぎ、ビルドアップが出来ず、長いボール一辺倒になってしまった。もっと後ろから繋いで、幅を持たせるサッカーを今年はしたかったけど、それは出来なかった」と田坂和昭監督も語ったように、本来のサッカーを見せることが出来なかっただけに、この試合を次のホームの開幕に生かさないといけない。ただ、昨年はわずか2得点に終わった森島が、開幕ゴールを決めたことは、チームにとっても大きな光となったことは間違いない。

反対に岐阜視点で見たときに、この試合で感じたのは、プレシーズンマッチの磐田戦で感じたことと同じであった。攻める姿勢、方向性、意識は非常にいい。しかし、最後の仕上げのところでのミスがあまりにも多いのは気になる。この戦い方は間違いなく『諸刃の剣』。だからこそ、決めるべきところで決めないと、後から致命的なダメージを受けてしまう。それが典型的に出てしまったのが、磐田戦とこの大分戦だった。
前線に強烈な個が入った瞬間に、みすみす自分たちが作り上げていたリズムを相手に渡していては本当にもったいない。チームという単位で見ると、岐阜のサッカーは面白いし、何よりやろうとしていることが分かることに大きな意義がある。

まだ開幕戦。これからいくらでも修正は出来る。進むべき方向に迷いを持たずに、今はその精度を高めることに全力を尽くしてほしい。岐阜の2011年は黒星スタートとなったが、決して悲観することはない。

以上

2011.03.07 Reported by 安藤隆人
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

テレビ放送

一覧へ

明治安田J1リーグ 第30節
2024年9月14日(土)19:00 Kick off

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2024/09/12(木) 00:00 ハイライト:長野vs大宮【明治安田J3 第25節】