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【J1:第1節 広島 vs 仙台】レポート:狙い通りの仙台。消化不良気味の広島。様々な思いが交錯しつつ、2011年シーズンは静かに幕を開けた。(11.03.06)

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3月5日(土) 2011 J1リーグ戦 第1節
広島 0 - 0 仙台 (14:04/広島ビ/18,709人)
スカパー!再放送 Ch181 3/6(日)深01:00〜
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「自分たちの立場をわきまえ、謙虚に闘った」
仙台・手倉森誠監督は、こみ上げる感情を抑えつつ淡々と語った。キャンプ地の宮崎からそのまま広島入りせざるをえない、東北地方クラブ特有の事情。コンディション調整は困難を極め、さらにアウェイで闘う難しさ。様々な要素が絡み合う中で、手倉森監督は見事な割り切りを見せた。
広島の両サイド=ミキッチと山岸智にボールが入った時には必ず二人で対処し、1対1の局面をつくらない。得点源である1トップ2シャドーにはセンターバックとボランチが挟み込んで守る体勢をつくる。徹底して相手の良さを消す守備的な戦術にシフトし、攻撃はマルキーニョスを軸としたカウンターでチャンスを伺った。「ボールを握れた場面でもイケイケにならなかった」と手倉森監督は振り返る。開幕戦で勝点3をとりたい想いをグッとこらえ、無理をせず勝点1を獲りに行った戦略。仙台にとっては「満足できる」(手倉森監督)結果を手にした開幕戦と言えるだろう。

一方の広島は、この「勝点1」をどう消化すべきか。
守備的な戦術に苛立ちを見せ、自らコントロールを失って相手の策略にはまることも少なくなかった以前の広島からすれば、成長を見せたとは言える。特に新加入の元日本代表DF=水本裕貴はさすがの安定ぶり。11分、ロングボールを赤嶺真吾がヘッドですらせたシーンでマルキーニョスに走られたものの、裏をとられたのはこのシーンのみ。この時もしっかりと身体を寄せ、森脇良太・西川周作と連動してシュートを打たせなかった。71分、マルキーニョスと1対1になった場面では冷静に対処して時間をつくり、味方の帰陣を促すことでピンチを未然に防ぐ。ペトロヴィッチ監督も「彼を獲得したことは間違いじゃなかった」と高い評価をくだした。
ただ攻撃面では、仙台の堅陣の前に攻めの形がつくれず、28分の中島浩司が放ったヘディングまでシュートゼロ。その2分後にはミキッチのクロスから森崎浩司がテクニカルなシュートを放ったシーンが、前半で唯一見せた「広島らしさ」だった。
この場面、李忠成が高い位置でボールを奪い、山岸智が仕掛けて相手の守備をワンサイドに集中させ、森崎和幸がワンタッチで大きくサイドチェンジ。このパスワークに仙台の守備は混乱を見せ、ミキッチへの対応が関口訓充だけになる。そうなると、ミキッチの突破力は大きく生きて、ビッグチャンスにつんがった。だが、こういう形を創るためには、前の3人がいい距離感を保っている状態で縦にボールを入れることが重要。「1トップ2シャドーが機能し始めると、広島は手が付けられなくなる」と手倉森監督が語っていたように、守備側にしても前線の3人をどう分断するかが大きなポイントとなる。
その点、この日の仙台には規律があった。角田誠と高橋義希がいいポジションをとり、最終ラインといい連動性を保ちながら粘り強く広島の攻撃を潰す。その堅い守備からの速攻でセットプレーを奪い、チャンスを創出した。40分、梁勇基のFKからセカンドボールを拾い、赤嶺の決定的なヘッドにつなげたシーンは、仙台にとって狙い通りの展開と言えた。

後半開始早々、注目を集める李忠成が決定的なシーンを迎える。青山敏弘の縦パスがこぼれ、仙台DFがクリアしようとした瞬間、李が危険を顧みずに顔をボールにぶつけた。ボールが転がる。シュート!だがゴール前で仁王立ちする林卓人の壁を崩せない。56分にはミキッチのクロスを李がヘッドですらし、こぼれを水本がシュートを放つも、ポストを直撃するなど、後半は広島が主導権を握った。
だが「いつもに比べて、なかなかギアが上がらなかった」と中島が語るように、後ろから数的優位をどんどんつくり、津波のように相手の守備を飲み込んでいく好調時の迫力が見られない。
そのポイントは、やはりマルキーニョス。後半、彼はプレーエリアを広げ、サイドに流れ始める。81分、左からクロスをあげて赤嶺の決定的なヘッドを誘発したシーンは、かつてのMVPが持つ幅広い能力の証明。そのマルキーニョスの存在感が、広島の比重をやや後ろにかけさせたことは、事実として認めねばなるまい。
だが、いい時の広島であれば、相手の前線に誰がいたとしても、攻撃にかかる頻度も高かったはず。それができなかったのは、開幕戦の緊張感からか、それとも問題を抱えているからか。真実を見極めるには、少しの時間を要する。
狙い通りのサッカーを展開した仙台と、消化不良ながら自滅することなく闘った広島。共に課題も収穫も手にしたと言えるが、それを活かすも殺すも、今後の闘い次第。歓喜も落胆も、まだ早すぎる。

以上

2011.03.06 Reported by 中野和也
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