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【J1:第1節 川崎F vs 山形】レポート:連動性と縦への意識が見て取れる試合展開で川崎Fが山形に完封勝利。相馬監督が初陣を飾る。(11.03.06)

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3月5日(土) 2011 J1リーグ戦 第1節
川崎F 2 - 0 山形 (15:04/等々力/18,673人)
得点者:34' 矢島卓郎(川崎F)、38' 登里享平(川崎F)
スカパー!再放送 Ch181 3/8(火)深00:00〜
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1月13日に始動して以来、今季ここまで相馬直樹新監督が作ってきたサッカーのひとつの形が、38分の登里享平のゴールに現れていた。開幕スタメンはもちろん、リーグ戦ですら先発のなかったこの登里の得点は、ごくシンプルなパスの連続によって生まれている。

このゴールについて、アシストした中村憲剛は「矢島に入ったところで(中村が)走りだして、ヤジもオレが走ってるのを見て落として、ノボリもオレに入ったから走っている。そんなに難しい事はしてないんですが、簡単にやれば崩せる見本だと思います」と解説する。ボールを動かし、人を追い越してゴールに向かっていく。そういうスタイルへの転換が、あのゴールシーンには込められていた。

相馬監督のサッカーを特徴付ける事になりそうな縦への仕掛けについて、もう少しわかりやすい場面がこの試合で散見されている。この試合をご覧になられた方の多くが、川崎Fの選手たちのサイドチェンジの少なさについて疑問を持ったはず。しかしそれは縦へとボールを運ぶことを最優先させるスタイルを川崎Fが取ってきたことを知れば納得出来るだろう。すなわち「サイドではなく前を向くサッカーをやっている。まずサイドではなく、前を向くサッカーになってきたと思います。ただ、まだFWに当てるボールは少なかったと思います」との稲本潤一の言葉によって説明できるのである。

また中村に言わせると「(相手の)ボランチのヨコが空いていた」事により、縦へのパスコースが複数存在していたという事も、ボールサイドでパスを繋ぐスタイルに拍車をかける事となっていた。

いずれにしても、この試合では相馬監督の推し進めてきたサッカーの片鱗がいくつかみられたことになる。そういう点でも、川崎Fにとっては意味のある試合だったと言える。

とはいえ、2点差をつけた快勝だったと、手放しに喜べない難しさがあったのも事実である。その最たるものが、試合開始直後の山形の攻勢である。相馬監督が「内容的には立ち上がりに硬いところがあったと思います」と振り返るこの時間帯について山形は「最初10分は前から行き、その後は下がって作り直してという予定」(長谷川悠)で試合を進め、そのゲームプラン通りの展開に持ち込んでいた。

硬さのある川崎Fと、伸び伸びと前からプレスを掛ける山形との力関係は、ポゼッションという形で山形の攻勢を作り出す。サイドから何度かゴール前にボールを運ばれ、川崎Fは危ない場面を作られてしまうのである。ただし、川崎FはそこでDF陣が踏ん張りを見せシュートを打たせなかった。川崎Fにとっては相手にペースを握られてしまうこの立ち上がりの攻防が、試合の行方を決定づけるポイントとなった。

序盤の苦境を乗り切った川崎Fは、試合が進むに連れて左サイドハーフの中村がポジションを流動的に変化させ始める。相馬監督はそうしたピッチ内の出来事について「選手たち自身が感じてやってくれた部分も大きいと思います」と評価する。そしてこの中村の流動的な動きによって前方のスペースに蓋をされていた小宮山尊信が躍動を始める。川崎Fは思い切って枚数を掛けて山形の右サイドを攻略し、何度となくチャンスを作るのである。

そんな中、34分の矢島卓郎の先制点は規格外のドリブルによって生まれている。サイドライン際で一人をかわした矢島は、そのままドリブルで持ち込みペナルティエリア内へ。対応したDFの選手もドリブルでかわすと、ゴール前に詰めていた味方選手には目もくれずシュートを選択。これを確実にねじ込むのである。矢島は「決まったから良かったです」と強引な突破について若干気にしている様子を見せるが、決まってしまえばゴールはゴールであろう。

川崎Fにとっての今季初ゴールの瞬間、GKの杉山力裕を含めた全選手が集まって矢島のゴールを祝福したのは「点をとったらみんなで喜ぶように、という決め事がある」(井川祐輔)からだという。そうやってチームの一体感を具現化しつつ、川崎Fは試合を進めていった。

山形の攻撃を押さえ込み続けた川崎Fは、後半31分までシュートを1本も打たせなかった。それほどまでに守備面で磐石の試合運びが出来ていたのである。川崎Fをサポートするあらゆる人達からの、有形無形の「タイトル」へのプレッシャーの中、新任の相馬監督は就任初戦を戦った。時間帯によっては苦しい状況もあったが、結果的に無失点で試合を終えることができたこの経験は確実に次に繋がるはずである。いずれにしても、川崎Fが開幕戦を2−0でものにし勝点3を手にした。

山形にとっては、0−2という結果以上に、シュートゼロで終わりかねない難しい試合だった。相手を押し込むプレスを、シュートで終わるポゼッションに結び付けなければならない。ただ、そのためにサイドを攻略し、クロスを上げるところまでの形は作れていた。だからこそ、フィニッシュのところのアイディアに問題があるように思えた。ここで出た課題をどう消化していくのか、小林伸二監督の手腕に期待したい。

最後になるが、この試合では両チーム共に警告が一度もなかった。激しさはあるが、汚さがなかったという点で後味のいい試合だった。特に川崎Fびいきという訳でもない知り合いのカメラマンが試合を終えてスタジアムを後にする時に、問わず語りに「川崎の試合に来ると心が温まる」と口にしていたのは、勝利の余韻に浸るホームスタジアムの雰囲気だけのせいではなかったように思う。

以上

2011.03.06 Reported by 江藤高志
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