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【J1:第1節 名古屋 vs 横浜FM】レポート:今季の新人ナンバーワンストライカーの俊足が王者の危機を救う。横浜FMが十中八九手にした勝点3を名古屋が土壇場で阻み、開幕戦黒星を免れた。(11.03.06)

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3月5日(土) 2011 J1リーグ戦 第1節
名古屋 1 - 1 横浜FM (14:02/豊田ス/27,153人)
得点者:63' 兵藤慎剛(横浜FM)、90'+5 ケネディ(名古屋)
スカパー!再放送 Ch181 3/7(月)深00:00〜
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追いつけて良かった、というのが王者・名古屋の偽らざる心境だろう。4分間の後半アディショナルタイムが終わる寸前までリードを奪われていた試合は、その3分目に起死回生のプレーが飛び出しドローに持ち込んだ。横浜FMにしてみれば勝点2を失い、名古屋にしてみれば勝点1を拾った一戦。一筋縄ではいかないのが開幕戦の常だが、まさかここまでもつれることになろうとは、誰が予想しただろうか。

鹿島から勝利を得た1週間前のFUJI XEROX SUPER CUPから、8日間で3試合目。いきなりの過密日程を経て開幕に臨んできた名古屋だったが、スタメンはほぼ不動のメンツで通してきた。火曜日のAFCチャンピオンズリーグ初戦では中村直志を吉村圭司に入れ替え戦ったが、この日は中村直志を再びスタメンで起用。ダニルソン不在の今季序盤戦は、このメンバーを基本とするということなのだろう。まだシーズン初頭で疲労の蓄積はさほどない。信頼の11人で難しい試合を乗り切りたい気持ちは、十分に感じられた。

横浜FMもほぼベストの11人を開幕のピッチに送り込んできた。中村俊輔こそベンチスタートとなったが、出場が危ぶまれていた中澤佑二と栗原勇蔵は無事スタメンに名を連ねた。布陣は新たに中盤をボックス型にする4-4-2を採用。ツートップには新加入の大黒将志が渡邉千真とコンビを組んだ。右サイドバックには小林祐三、ボランチには谷口博之がスタメン出場を果たし、新戦力も充実。得点を狙い続ける木村和司監督の美学を、体現するだけのメンバーは揃っている。

立ち上がりからピッチを支配したのは、名古屋でも横浜FMでもなく、両チームのイージーなミスによる逸機の連続だった。まず攻勢に出たのは横浜FMだったが、ビルドアップでも崩しの局面でも連係ミスを連発。特に目立ったのがショートパスのミスで、出し手と受け手のタイミングが合わずに、みすみすボールを相手に渡すことは一度や二度ではなかった。ただしそこでボールを奪い返す名古屋も、前線のケネディを起点とした攻撃が鳴りを潜め、サイドで回してはサイドチェンジ、という単調な攻めに終始。ともに攻撃が売りのチームとは思えないほど、迫力の少ない攻めの応酬となった。

それでも両チームともに決定機は作り出す。横浜FMは6分に渡邉が抜け出しシュートを放つも、ここはGK楢崎正剛が好セーブ。名古屋も24分の金崎夢生の1対1を機に反撃に転じ、26分の金崎、28分のケネディと連続してゴールマウスを襲った。しかしこちらには横浜FMの守備の要・中澤佑二が立ちふさがり、得点を許さない。負傷明けの中澤はフィジカル面で不安を抱えているように見えたが、豊富な経験に裏打ちされた的確なポジショニングと危機察知能力で見事にカバー。本来ならば決定機になっていてもおかしくない場面を、ことごとく潰し続けた。

試合が動いたのは後半のこと。相変わらずミスの多い両チームの攻防は次第にオープンな打ち合いへと発展していたが、それはハーフタイムを挟んでも変わらなかった。しかし63分、右サイドから中央に流れてきた兵藤慎剛が思い切って放ったミドルシュートはコースを突きゴール右隅へ。「あまり威力はなかったけど」と本人が言い、名古屋DFの増川隆洋も「ダフったシュート」と表現した一撃が、守護神・楢崎の牙城を崩した。

ここから試合は一気に名古屋ペースに。失点後すぐさま玉田の決定的なヘディングシュートがDFにかき出されると、66分には期待のルーキー・永井謙佑を金崎に代えて投入。Jでも屈指の俊足を誇るストライカーは、70分に玉田からのスルーパスに抜け出しフリーでシュート。これはGK飯倉大樹に阻まれたが、高い能力の一端を早速見せつけた。75分には玉田をトップ下に配置する4-2-3-1へと移行し、前線の起点を増やしてさらに加速。77分には左からのクロスをケネディが高い打点のヘディングで狙うがGK正面、83分にはクロスのクリアボールを永井がダイレクトで叩くもバーに阻まれた。86分にも永井が前線のこぼれ球を追い、前を走るDFを追い抜いてドリブルシュートに持ち込んだが、これもGKに抑えられた。

そして迎えた後半アディショナルタイム。結果的にラストプレーとなったシーンで、永井が魅せた。浮き球に競り合ったケネディが流したボールの先には永井と3人のDF。少しもつれた後に永井が前にボールを持ち出すと、一気に加速しDFを置き去りにした。そのままペナルティエリアに持ち込むと、横浜FMの栗原がたまらずファウルを犯し、PKを獲得。これをケネディがきっちりと決め、土壇場の土壇場で名古屋が同点に追いついた。

「あれはスピード違反だね。大したもんだ」
爆発的なスピードが売りとの触れ込み通りの新人の活躍には、敵将も脱帽した。世界を知るストイコビッチ監督は「あれぐらいのスピードは、私のキャリアではたくさん見てきた」と冷静だったが、ことJリーグにおいては群を抜く速さであったことは間違いない。名古屋はまたひとつ、頼れる武器を手にしたことになる。

だが一方で、両チームともに試合運びのまずさと決定力の低さが招いた結末だったことを忘れてはならない。リードを守れなかった横浜FMと、試合を決めるチャンスをものにできず、単調な試合に終始した名古屋。殊勲の永井もPK奪取の以前に試合を決めるチャンスを3度もフイにしている。痛み分けのドローは自業自得の産物。王者の戦いとしてはやや物足りなさが残ったのも確かだ。この一戦で得た反省点を、名古屋が次節でどのように修正してくるか。今季のリーグ戦初勝利とともに、大いに注目したい。

以上

2011.03.06 Reported by 今井雄一朗
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