3月5日(土) 2011 J2リーグ戦 第1節
水戸 2 - 1 京都 (17:05/Ksスタ/4,222人)
得点者:9' 加藤広樹(水戸)、23' 内藤洋平(京都)、34' 岡本達也(水戸)
スカパー!再放送 Ch182 3/6(日)深03:30〜
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水戸の1点リードで迎えた後半20分過ぎ。以前の水戸ならば、強豪相手にこうした展開になった時、防戦一方になっていたことだろう。しかし、今季の水戸は一味違った。そこから疲れの見え始めた相手とは対照的にぐんぐんギアを上げていき、運動量で相手を圧倒しながら果敢に攻め込む展開へ持ち込んだのである。「監督から後半20分過ぎからが勝負だと言われていた。そこでの運動量では負けないと思っていた」(村田翔)。柱谷哲二監督がチームの最大の長所に仕立て上げた運動量を駆使して、最後までアグレッシブさを失わずに戦い抜いた。それが新生水戸の真骨頂。「これぐらいできる準備をしてきた。僕らの狙っていたことを出した上での2対1」。会心の勝利に、村田は胸を張った。
試合前、京都に関して入ってくる情報はすこぶるいいものばかりであった。練習試合ではJ1チームを圧倒することもあり、「結果も出ていたし、内容もいい感じだった」と大木武監督自身も手ごたえを感じているようで、甲府時代のパスサッカーをさらに進化させた新型大木サッカーが今季のJ2で猛威をふるうだろうといった声ばかりが聞こえてきた。柱谷監督自身も「京都はメチャクチャ強い」と認めており、水戸とは力の差があるというのが、一般的な見方であった。しかし、やはりサッカーは蓋を開けてみないと分からないとうことを水戸は見せつけた。
「まずは京都のよさを潰しに行った」と柱谷監督が説明するように、水戸は自陣低い位置でブロックを作り、京都の攻め込むスペースを消してみせる。そして、「(京都の武器である)ワンツーのリズムを消す。そのためにはボールだけではなく、人に体をくっつけていくディフェンスを要求した」(柱谷監督)。選手たちは柏戦に続き、コンパクトかつタイトな守備で京都に付け入る隙を与えず。ショートパスに対して激しくプレスをかけ、ブラジル人の個人技に対してはしっかり組織で対応する見事な守備で京都のリズムを潰していった。
運動量とともに水戸が京都を圧倒したのが、攻守の切り替えだ。ボールを奪うなり、果敢に前に飛び出していき、チャンスを作り出した。京都は3−4−3システムで人数をかけて攻撃を繰り出すが、ボールを失うと守備の人数が少なく、バランスを崩していることが多い。「ボールを奪った瞬間に空いているスペースがある。なので、京都がボールを回している時にスペースを探して、そこで攻撃の起点になろうとしていた」と岡本達也が語るように、京都にボールを持たれても慌てず、守備のバランスを崩したところを一気にカウンターで攻め込むという狙いで水戸はペースをつかんでいった。
9分に村田が蹴った右CKを加藤広樹が頭で叩き込んで先制するものの、23分に京都・内藤洋平にミドルシュートを叩き込まれ、同点に追いつかれてしまう。しかし、攻め手を緩めない水戸は34分にCKの流れから、ゴール前でボールを受けた岡本が冷静に相手をかわしてゴールを決め、見事に勝ち越しに成功。後半、京都は中央から激しく攻め立ててきたが、水戸は最後まで集中力を切らさず、むしろ時間とともに動きの切れが増していき、鋭いカウンターから何度もチャンスを作るにいたった。
確かにボール支配率では京都の方が上であり、水戸が守備をする時間が長かった。だが、水戸の戦い方が消極的だったわけではない。それはバックパスの少なさが示している。水戸の選手たちはボールを奪った後、ほとんどバックパスをすることなく、前へ前へ進もうという意識を見せた。ボールだけでなく、人も果敢に飛び出していく。そこでボールを奪われたならば、懸命に下がりながら粘り強いディフェンスを行い、相手に自由を与えないようにした。その動きを繰り返したことが勝利を呼び込んだ。始動から柱谷監督がチームに叩き込んだ「アグレッシブに戦うこと」「走り負けないこと」「最後まで戦うこと」を表現しての勝利。早くも水戸は“闘将色”に染まりつつあることを証明してみせた。
しかし、「昨年も開幕戦まではよかった」と村田が振り返るように、この日の内容を続けなくては昨季と同じ過ちを繰り返してしまう。この試合をベースに、さらに上積みしていくことが重要だ。だが、「私のイメージは夏です。夏にどれだけできるかだと思う」と指揮官に気の緩む様子はまったくなく、来週からも2部練習を続け、選手たちを鍛え続けていくという。「このチームには無限の可能性がある」(本間幸司)。スタジアムに駆け付けたすべての人が、そう感じたことだろう。新生水戸の船出、進みゆく航路にまばゆいばかりの光が差し込み出した。
一方、京都にとっては苦しい敗戦だ。大木体制になり、心機一転で迎えた開幕戦であったが、いいところを出せないまま試合を終えることとなった。前述の通り、キャンプでは手ごたえをつかんでいただけにショックの残る敗戦となったことは間違いない。しかし、課題を修正し、歯車さえ合うようになれば、チームは恐ろしいほどの強さを発揮するはず。チームとしてやるべきことははっきりしているだけに、時間はそれほどかからないだろう。「この負けをいい方向につなげる一番の薬にしたいと思います」。そう語る大木武監督の目には悲壮感のかけらもなく、情熱に満ち溢れていた。本当の戦いはこれからはじまる。
以上
2011.03.06 Reported by 佐藤拓也
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