3月5日（土） 2011 J2リーグ戦 第1節
愛媛 2 - 0 札幌　（14:02／ニンスタ／6,230人）
得点者：16' ジョジマール（愛媛）、56' 赤井秀一（愛媛）
スカパー！再放送 Ch182 3/6（日）深01:00〜
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☆2011開幕特集｜totoリーグ ｜顔写真クイズ
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ニンジニアスタジアムで行われた愛媛の開幕戦。ホームに札幌を迎え、新しいシーズンが幕を開けた。昨季11位の愛媛と13位札幌との顔合わせとなったが、今季の両者が抱えていた課題は似通っていた。愛媛はセンターバック2人が移籍し、一方で3人が新たに最終ラインのメンバーに名を連ねていた札幌。どちらも新しく組みかえられた守備が機能するかが第１の課題となる一方で、攻撃面では得点力不足の解消も両者に課された課題だった。守備面とは逆に、前線のメンバーに関しては両チームとも昨季のメンバーが多く残留。開幕のスタメンに名を連ねていたが、その中でも今節は愛媛に加わった１人の新戦力が勝敗のカギを握った。

その名は齊藤学。横浜FMから愛媛に期限付き移籍でやってきた若武者が、いきなりニンスタのピッチで躍動する。「チャンスの回数を増やしてゴールを決めたい」と気を吐く齊藤は、ジョジマールとツートップを形成すると、新加入とは思えないほどのコンビネーションを見せて札幌ゴールへと迫る。まず、挨拶代わりの一発は前半4分。愛媛の自陣から放り込まれたフリーキックをMF赤井秀一がダイレクトで落とすと、ワンタッチでディフェンスの間を潜り抜け、フリーになってシュート。これはGKの正面をとらえたが、その後も次々とフィニッシュに絡むプレーを披露する。12分にはピッチの中央でボールを受けると、そのままドリブルで仕掛けて最後はジョジマールにスルーパス。さらに続く16分には先制点を演出する。最終ラインの高杉亮太からロングフィードを受けると、札幌ディフェンスとGKを引きつけてジョジマールにラストパスを送り、今季のJファーストゴールを導いた。

そして、勝敗を決定づけた追加点も齊藤から。札幌のバックパスを奪うと、迷わず左サイドで縦に仕掛けた。そして中央のジョジマールを経由したボールは、右サイドの赤井へ。大外を上がってきた関根永悟をおとりにして切り返した赤井は、左足で鮮やかにシュートを流し込んだ。「マリノスではなかなか試合に出られず、今日は途中で交代したけど拍手を受けてうれしかった」と試合後に安どの表情を浮かべた齊藤。開幕のプレッシャーをものともしなかった20歳のアタッカーは、愛媛の攻撃に新たな可能性をもたらした。

一方で開幕の重圧を跳ね返せず、縦に仕掛ける迫力を欠いた札幌。その中で砂川誠や高木純平がサイドから愛媛のゴールに迫り、内村圭宏はスペースを見つけると前半には強烈なミドルシュートを放った。さらに内村は後半にもディフェンスの背後を取ってゴールに迫ったが、ともに愛媛のGK川北裕介の好セーブに阻まれた。流れを引き寄せられず、愛媛を攻め切れないまま終盤を迎えた札幌はDFチアゴを前線に投入し、さらにはFW近藤祐介をピッチに送り込んでパワープレーをしかけたものの、ゴールは奪えず。チームには故障者も多く、厳しいシーズンの幕開けとなってしまった。試合後に石崎信弘監督も指摘した開幕の重圧を、今度のホーム開幕戦（3/13北九州戦＠札幌ド）では高い集中力につなげて今季初勝利をつかめるか。愛媛まで足を運び、最後まで大きな声援を送ってくれたサポーターのため、そして地元で待つサポーターの期待に応えるためにも、まずは戦う姿勢をピッチで表現したい。

ただ、もちろん愛媛の選手も開幕のプレッシャーを感じていないわけではなかった。「開幕戦は勝ちたかったし、セーフティーなプレーを選択することも多かった」と関根もその難しさを語り、試合が終わって「ホッとした」と高杉も胸をなでおろした。それでも昨季から継続してきたサッカーを貫き、愛媛の選手たちは試合の流れを引き寄せた。確かに齊藤という存在は大きかったが、これは紛れもなくチーム全体でつかんだ勝利。「後ろが安定すれば、前も自信を持って攻められる」と無失点に胸を張った池田は、「前線も守備で頑張ってくれて、守りやすい状況を作ってくれた」とチーム全体で完封したことを強調。「内容も悪くなかったし、次につながる勝利」と越智亮介も自信を深めていたが、愛媛にとっては攻守ともに昨季からの上積みを示す、最高の開幕戦になった。

以上

2011.03.06 Reported by 近藤義博