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2005年のJ1昇格以来、6年連続で残留争いに身を投じてきた大宮。だが今シーズンは、かつてない期待感に包まれている。
昨季半ばで就任し、見事にチームを立て直した鈴木淳監督が留任し、今年はキャンプからしっかり戦術を浸透させている。しかもオフの選手補強も的確で、プレシーズンに浦和と戦った「さいたまシティカップ」では、控えメンバーに江角浩司、深谷友基、渡邉大剛、金澤慎、金久保順、東慶吾、石原直樹と、大宮はもちろん他のJ1中位チームでも主力になれそうな選手たちの名前が並んだ。この選手層の厚みには、昔を知るファン・サポーターは隔世の感すら覚えたに違いない。
鈴木監督は今年のキャンプから本格的に4-2-3-1フォーメーションを導入。1トップには「相手の背後を脅かすスピードがあり、チームにとって攻撃の武器」(鈴木監督)と信頼を寄せる李天秀を指名。左MFにはラファエルが入り、サイドで起点を作る。右MFでは好調の渡部大輔がポジションをつかみ、「4-2-3-1は自分の特徴を生かしやすい。シュートの意識を強く持って、ゴールにこだわりたい」と気合をみなぎらせている。
注目はトップ下。試合形式のトレーニングではこのところ、前半に藤本主税、後半に新戦力の東が入っている。指揮官はそれぞれを「藤本はチョンスとの関係ができている。東は背後でボールを受けるのが持ち味」と評するが、東はまだ連係が十分ではなく、明日の先発は藤本で落ち着きそうだ。しかし東の能力の高さはだれもが認めるところ。現状のトレーニングを見ると、レギュラー組でプレーするより控え組で自由にプレーしているほうが輝く場面が多いが、それがチームにフィットしてくればスタメンの座を奪う日も遠くないだろう。
ボランチは上田康太と青木拓矢がコンビを組みそうだ。青木が「康太君はボールを持って展開してくれるので、僕がその間に上がって行ったり、引いたり、バランスを見たい」といえば、上田は「青木が体を張ってボールを奪ってくれるので、常に縦パスのタイミングをうかがいながら、中盤でしっかりつないで落ち着かせたい」と語る。最終ラインは右から杉山新、坪内秀介、金英權、村上和弘。そして北野貴之が昨シーズンに続いて正GKを務める。
明日の鹿島戦でその4-2-3-1を披露するかどうか、鈴木監督は「どうでしょう？ はっきり言えない(笑)」と明言は避けた。しかし「自分たちのサッカー、トレーニングを積んできたことをやっていく」と、王座奪還とアジアチャンピオンをねらう強豪を相手に、引いて守りに入ることなく、昨年から継続してきたポゼッション・サッカーで挑むことは間違いなさそうだ。選手たちは口をそろえて「鹿島を相手に開幕戦を戦えるのが楽しみ」と語っており、「どれだけできるのか、僕が一番開幕を楽しみにしてます」との指揮官の言葉には、頼もしさすら感じる。
鹿島は水曜日にアウェイ中国でACLを戦っており、大宮にはコンディションの利もある。ここで鹿島相手に善戦し、勝点を得られれば、それは単なる勝点以上に大きな自信となる。結果はどうあれ、かつてなく高まっているファン・サポーターの期待を、実感に変えるような戦いを見せてほしい。
以上
2011.03.05 Reported by 芥川和久
