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2010年の大晦日から2011年の元日にかけて、鳥取県内は観測史上最高レベルの大雪に見舞われた。それから３カ月、やはり鳥取県の歴史に残るガイナーレ鳥取のＪリーグ開幕戦に向けた準備も、雪の洗礼を浴びることになった。３月３日、４日とも県内が大雪に見舞われたため、予定した練習メニューをこなすことができず。在籍９年目の最古参、実信憲明が「開幕直前の時期に、これだけ雪が降ったのは初めて」と語るほどだが、「緊張する時期だけど、雪のおかげでリラックスできてよかった」とも語っており、精神面ではプラスの効果もあったようだ。
１月15日の始動から、２回に分けてのキャンプ、数多くの練習試合をこなしながら、松田監督が就任１年目の昨年から掲げる「ゲームを支配して、相手を圧倒するサッカー」のレベルアップに努めてきた。具体的には、昨年のＪＦＬ34試合で31失点に抑えた堅守はそのままに、攻撃力の上積みを目指し、サイドチェンジを多用して両サイドから攻め崩す形などを反復。その中で先発メンバーの見極めも進められ、11人の顔ぶれは固まったようだ。始動後、最も多くの組み合わせが試された２トップは、昨年のチーム得点王（ＪＦＬ10得点）であるハメドや、ルーキーの福井理人が台頭した時期もあったが、その後の練習試合で結果を残した阿部祐大朗と、豊富な運動量が武器の鶴見聡貴となる見込み。ともに守備時の働きが光る２人で、ＦＷに高い守備意識を求める、松田監督の考えが強く反映されたコンビとなった。
開幕戦の相手は、昨年の天皇杯で１−２と惜敗した徳島。歴史的な一戦に向けて、松田監督は「長いシーズンに向けて、いろいろなことが起こるように仕掛けていきたい。やろうとしていることを、やり切ることが大事。通用するか、しないかは、やり切ってみないと分からないし、通用しなければ、そのとき考えればいい」と語る。この言葉と、前述の２トップの選択で思い出されるのは、昨年のＪＦＬ開幕戦だ。ホームで松本山雅ＦＣと対戦し、51分までに３−０とリードしたが、その後も交代枠を使うことなく、そのまま11人だけで３−０の勝利を収めた。このときの２トップは阿部と奥山泰裕、やはり守備意識が高いコンビで、松田監督は当時「２トップの守備がしっかりできていたので、代える必要はなかった」と語っている。控えメンバーがどこまで使えるかの見極めよりも、チーム戦術の徹底を優先させた結果だった。
１年後、歴史的なＪリーグ開幕戦も、松田監督のやり方は変わらないだろう。今年のディフェンス練習は相手ボールの際、状況によって複数の選手が連動してプレッシャーをかける形を繰り返しており、はまれば勝点獲得の可能性は高まるが、それを90分間やり切れるかどうかも問われる。結果は当然として、内容においても、ガイナーレ鳥取のシーズンを占う一戦となるはずだ。
以上
2011.03.05 Reported by 石倉利英
