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クラブ史上初の９位以内を目標にかかげる今季の神戸。オフで取り組んできたのは、持ち味の堅守速攻をがむしゃらに90分間続けるのではなく、状況に応じて後方からしっかりビルドアップするなどスマートなサッカー。開幕３日前、和田昌裕監督は「開幕戦の準備はできている」と充実した表情をみせたものの、開幕スタメンについては言葉を濁した。「頭にイメージはあるけれど、最終的には明日（３／４）の非公開練習で決める。別に隠しているわけじゃないですよ（笑）」。
鹿児島キャンプでは熊本、FCソウル、城南一和と３試合を行ったが、メンバーは固定せず、さまざまな組み合わせを試してきた。しかも、キャンプ後の練習試合は完全非公開。「昨季とメンバーもほとんど変わっていないし、そんなに大きく変わることはない」（和田監督）としながらも、結局、最後まで取材陣は煙に巻かれてきた。
見方によっては、すでに情報戦が始まっていたとも取れるが、本当の狙いは別のところにある。チームの底上げだ。「（大久保）嘉人をはじめ、昨季はケガに泣かされた。だから、誰が出ても同じサッカーができるようなチーム作りを目指してきた」とは和田監督。例えば、ボランチでは田中英雄と新加入・羽田憲司がコンビを組む時もあれば、次の日には田中と松岡亮輔が組むなど、レギュラーとバックアップに境界線を引かず、選手のモチベーション維持と競争心をあおり、個々の成長を促してきた。その姿勢は、和田監督がキャンプ前に語った「実績のある羽田（憲司）でも、レギュラーが約束されたわけではない」という言葉からもうかがえるだろう。
狙い通り、２年目の森岡亮太やルーキーの林佳祐ら若手が練習から目の色を変えてボールを追っていた。触発されるように、全員が高い意識をもって練習に励んできた。ひと言で言えば、活気にあふれたオフ。その様子を新加入の羽田は「（C大阪と比べて）みんな、ほんとよく走るし、練習からガツガツくる。ちょっと疲れる（笑）」と評していた。
そんな充実のオフを過ごし、いよいよ迎えるホームでの開幕戦。相手は昨季の最終節で4-0と圧勝し、奇跡のJ１残留を決めた相性のいい浦和だが、選手に気のゆるみはない。大久保嘉人が「浦和はいい選手も揃っているし、あの試合以上のものを出していかないと勝てないだろうね」と気を引き締めれば、北本久仁衛は「ホームでできるのは大きいし、内容よりも勝ちにこだわりたい」と意気込む。ポポは「浦和に新加入したマルシオは旧知の仲だから、新チームでも結果を残せるように祈っている。でも、それは神戸との開幕戦が終わってからの話だけど（笑）」と語った。
とにもかくにも、監督・選手たちのコメントから手応えは充分に伝わってくる。スタメンは未だベールに包まれている分、却って楽しみの多い開幕戦になりそうだ。
以上
2011.03.04 Reported by 白井邦彦
