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新しい北九州を見届けに3月6日は本城陸上競技場に足を運んでほしい。結果はどうなるかは分からないが、勝っても負けても、帰りの車や電車の中で「サッカーっておもしろいね。北九州もがんばってた！」という会話が弾んでいることだろう。
新体制の発足からもうすぐ2ヶ月。北九州は名実ともに生まれ変わった。ベテラン選手でさえもポジションを守りきれない過酷な競争下に置かれたチームは、いま、戦う集団へと変貌を遂げた。
「一日一日が早く過ぎていく。充実しているということだと思う。早くゲームをしたい」。ＭＦ桑原裕義が笑顔を浮かべた。「やるべきことがはっきりしている」。その自分たちの戦術や実力がどこまで通じるのか、最年長の桑原をはじめ選手たちは開幕戦を心待ちにしている。新加入の宮本亨も「若い選手たちもアグレッシブに練習できた。開幕戦はチャレンジする気持ちで戦う」と話す。ここまでの手応えは十分だ。
ただ千葉は204センチの長身ＦＷ・オーロイがゴール前で異様な存在感を放っている。オーロイ対策は必須。しかし開幕戦では他チームの対策の成否が分かって臨めるわけではない。プレシーズンマッチのちばぎんカップで強さを示したとはいえ、「入ってみないと分からないこともある」（木村祐志）というのが正直なところだ。それでも木村は「クロスを入れさせないとか、細かいポジショニングでオフサイドを取ったりとか、早いうちに対応したい」とも話し、手をこまねくことにはならないという。
ボールを奪ってからの展開は早くなりそう。安田晃大や佐藤真也らが高い位置でボールを引き出し、すぐさまオーバーラップしてくる両サイドバックに繋ぐ。昨季であればこのボールを再びボランチや最終ラインにまで戻してしまったり、簡単に奪われたりする場面が多かったが、今季は「ボールを失わないこともテーマ」（佐藤真）。確実にかつ素早くゴールへと駆けていく。
フィニッシュにも注目だ。得点力不足を指摘され続けてきたが、レオナルドが気を吐く。「（通年で）15点以上を取らないと個人もチームも成長できない。点にこだわっていく」。チームが掲げる年間得点目標は50点。毎試合1、2点を取る計算だ。当然、千葉戦でも複数得点に期待がかかるが、ちばぎんカップでの千葉は統率の取れたディフェンスで柏を零封、守備陣の進化を見せつけた。
千葉対策というわけではないが、北九州は中央突破をしたりサイドに揺さぶったり、ミドルシュートを放ったりと今季は様々なオプションを用意している。三浦泰年監督や桑原は「チャンスのかたちはできている」と口を揃えた。あとはゴールネットを揺らせるかどうか。レオナルドらＦＷの奮起にかかっている。
千葉は開幕戦をどう戦うのか。詳しくは千葉担当・赤沼圭子さんの愛の詰まったプレビューを読んでいただきたいが、ちばぎんカップで示されたように204センチのオーロイに当ててくるサッカーを北九州戦でも展開するだろう。ただオーロイが点を取るかと言えばそうとは限らない。長身ＦＷにＤＦが引き寄せられると自然とスペースができる。そこを千葉が使えるかどうか、あるいは北九州がケアできるかどうか。その駆け引きにも目を向けたい。
さあ、いよいよ北九州にとって２年目のシーズンが始まる……のだが、あまり述べることではないかもしれないが、昨季から続く連続無勝利記録はまだ止まっていない。まずはこれを止めなくては。今季のスローガンは「一心」。選手、監督、そしてサポーターが心を一つにして強敵に立ち向かおう。古い記録はきっと止まる。そう信じて。
以上
2011.03.04 Reported by 上田真之介
