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昨シーズンの横浜FMにとって、もっとも悔しく、痛かった試合がアウェイの名古屋戦ではなかったか。３連勝で瑞穂陸へ乗り込み、勝てば首位・名古屋との勝点差が「７」に迫る状況。前半に中村俊輔からのクロスを天野貴史が柔らかく合わせて思惑どおりに先制し、後半もいい入り方でアドバンテージはキープできそうな流れだった。
ところが、難しいロングボールから金崎夢生に同点ゴールを奪われ、結局ドロー。Ｊ１リーグ戦終盤の失速につながってしまう。ただ、この優位に進めたアウェイ戦でのイメージが残っているせいか、木村和司監督も選手たちも、ディフェンディング・チャンピオンの名古屋を“格上”とか“一番の難敵”とは考えていない。もちろん、試合運びのうまさやシーズンを通しての安定感は認めているが。
プレシーズンマッチを含め、横浜FMはＪリーグクラブに勝てていない（清水エスパルスとのプレシーズンマッチの前座試合は除いて）。取り組んできた攻撃力アップも、手応えはまだまだ。ＡＣＬ初戦に敗れたとはいえ、一週間前の富士ゼロックススーパーカップを手にした名古屋が現状優位との見方が一般的だろう。
しかし開幕すれば、オフシーズンの評価など一変するもの。番狂わせというレベルの話ではなく、横浜FMは十分、地力のあるチームだ。ケガ人も出ているが、その対策として大量の補強をしてきた。攻撃にしても、いい流れでのフィニッシュが一本生まれれば、リズムは良くなるはず。
むしろ気を付けなければいけないのは、点の取られ方ではないか。当然、完封をめざすが、拮抗すれば１失点は仕方ない。それが嫌な時間に先制されたり、先制直後に追い付かれたり、得意パターンでフィニッシュされるなど、名古屋を調子にのせるような失点なら、勝点をあげるのは苦しい。試合の流れを冷静に読みつつ、時間帯によってペースを調節する巧者の戦いが望ましい。中盤の谷口博之、兵藤慎剛あたりが、そんな役割を果たせるかどうか。ここが一番のポイントとなる。
負傷から回復しての途中交代出場も噂される中村俊輔が、スーパーサブの仕事をして決勝ゴールを奪う。そんなシナリオどおりの展開になれば、横浜FMのさまざまな不安は一気に吹っ飛ぶ！
以上
2011.03.04 Reported by 池田博人（インサイド）
