12月4日(土) 2010 J2リーグ戦 第38節
甲府 0 - 0 岐阜 (12:33/小瀬/13,071人)
スカパー!再放送 Ch183 12/7(火)前05:00〜
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予定時間の少し前に記者会見室に入ると記者は一人もおらず、いたのはスチールカメラマン一人、テレビのカメラマン一人だけ。ほとんどの記者・カメラマンがセレモニーを取材しており、「一体誰が質問するんだろうか?」と思っていた。ピッチではクラブの年間MVP表彰で得点王のハーフナーマイクがシチズンの高そうな時計をもらい、自分のスピーチなのに「皆さんが今一番声を聞きたいのは僕なんかじゃなく、この男でしょう」という趣旨の話をして、マイクを置いてロッカールームに「その男」を呼びに行った。突然の呼び出しに少しゴネたのか、しばらくして出てくると「一言だけ言います。ありがとうございました」と、短い別れの挨拶をした。
スタンドがざわついているなか、甲府のセレモニーが始まり、記者会見室には岐阜の新聞記者らが現れ、倉田安治監督も少し遅れてやってきてアウェイ監督会見が始まった。いくつかの質問に答え、「来季に向けて手応えはある。(10位以内という目標は達成できなかったが)個人的にはポジティブなシーズンだったと思っている」と希望を持ったコメントで会見を締めくくった。
来年のJ2は経営規模が大きいクラブが3つ(京都、千葉、F東京)もあるので即昇格争いをするのは難しいだろうが、希望がある雰囲気は充分に伝わる。西川優太(浦和ユース→筑波大学)は、「同年代の若い選手が多く、話し合える機会も多い。個人の力が上がるとチームの力も上がる。浦和ユース時代はそんなに試合に出てなかったし、大学3年のときは普通に就職活動をしていた。それが、人のつながりのお陰で岐阜でプレーするチャンスをもらった。それを無駄にしたくない。個人としてやるべきことは一杯あるので這い上がって、強いチームと対戦しても安定した技術力を出せるようにしたい」と向上心と希望を持って来年に向かおうとしている。(FWの選手だが)サイドハーフでプレーすることを厭う雰囲気もない。F東京から期限付き移籍中の吉本一謙は「プロになって初めてフルにシーズンを戦えたことがよかった。岐阜ですごく充実している」と話す。
3節ホームゲームが続いた岐阜の選手は、ボールにかかる抵抗の予測が狂って少し戸惑ったが、1年前より大きな希望を持って次のシーズンに向かうことが出来そうだ。
試合は甲府も岐阜も悪くない内容だった。甲府は主導権を取っていたが岐阜のゴール前で攻めあぐねてボールを失うか奪われることが多かっただけ。岐阜は目論見通りにカウンターを仕掛けるが、秋本倫孝に跳ね返されるか山本英臣の読みとカバーの上手さにチャンスを摘み取られただけ。この流れが何度も続く展開だった。パンチの繰り出し方が違うガードの上手いボクサー同士の試合のように、手数は出ても有効打はなかなか出なかった。つまらない試合ではなかったが、取り立てて書くことがないからノートは時間のようには進まない。隣の記者のノートも走り書きが3〜4箇所あるだけ。38分のポストに当たった松橋優のシュートか61分のポストに当たった藤田のシュートが決まっていれば、流れを引き寄せることが出来たかもしれないが、マイク不在(出場停止)では強引にいけるオプションが足りなかった。ただ、0-0の引き分けでも、大きな不満は感じなかった。J1昇格は決まっているし、結果的に2位を守った。理由はハッキリしないが、なんとなく灰色に近いブルーな気分が少し残った。
時代の終わりでもあり、時代の始まりでもある。良くも悪くも王様だった「その男」、藤田健は甲府にいるのが当たり前の選手だった。チームで一番上手い選手に別れを告げて2回目のJ1に臨むことになるだけに、それぞれの想いが入り乱れる。藤田は、「前半は完全に(向かい)風に負けて失速した。右足の親指の爪が割れて痛かった。大げさに書いといて」と、いつも通りサバサバ。「現役は続けるんでしょ?」と聞いても、「どうかなぁ」。「オファーは?」、「知らない」。「トライアウトは行く?」、「めんどくさい」。「山梨で飲み屋でもやる?」と聞けば「山梨では飲食(業)は儲からない」と社長コメント。「センチメンタルな気分になる?」と聞いたときには、「徐々になるかなぁ」と、ようやく気持ちをほんの少し話してくれた。そして、それ以上は話さずバスに乗った。これで充分ではないが、それ以上に求めることはもう出来ない…。
時代の終わりは時代の始まり。藤田のいた10年間で、2回もJ1昇格を果たすことが出来る力を持つチームになり、今年の観客動員数ではJ2優勝。いろいろな感情を飲み込んで自分なりに消化して前に進むしかない。
以上
2010.12.05 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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