12月4日(土) 2010 J1リーグ戦 第34節
横浜FM 0 - 2 大宮 (15:33/日産ス/28,071人)
得点者:39' 坪内秀介(大宮)、90'+3 李浩(大宮)
スカパー!再放送 Ch185 12/5(日)後09:00〜
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横浜F・マリノスのファン、サポーターにとって、この日のハイライトは2度あったのではないか。
1度目は84分、松田直樹が途中出場した際だ。松田はベンチ横で、ピッチのイレブン以外の選手に囲まれ、一人ずつと抱擁。ジャージを脱ぎ捨て背番号「3」が現れた瞬間、会場がドッと沸く。交代する河合竜二とガッチリ抱き合ってから走り出すと、スタンドから一斉に「ナオキ」のチャントの調べが流れる。大音量の合唱は、約4分間も続いた。
2度目は試合後のセレモニーで。選手たちがピッチ外周を練り歩き、あいさつを終えたあと、松田一人がゴール裏まで戻る。手にはマイクが握られていた。
「生意気でワガママな自分を、応援してくれてありがとうございました。俺は、みんなが応援してくれたから、F・マリノスで1試合1試合、気持ちを込めて戦えた。F・マリノスのサポーターは、マジで最高っす!こんな短い時間ではみんなに気持ちを伝えられない。とにかく『最高』としか言えない。ただ!……俺はサッカーが好きなんですよ。マジでもっとサッカーがやりたいっす。ほんとサッカーって最高だし、俺みたいな存在をアピールしたい。これからもサッカーを続けさせてください。本当にありがとうございました」
無理やり笑顔を作ろうとしたのか、ぎこちなくハニカミ、後半は少し涙声になりながらラストスピーチを終えた『ミスターF・マリノス』。その後、試合中よりも湿っぽい「ナオキ」コールが、寒空に延々と響いた。
試合自体をプレーバックしよう。横浜FMは前半に2度、ビッグチャンスを迎える。14分、藤田優人の左クロスのこぼれを拾った山瀬功治がゴール正面からシュート。これはバーを叩く。27分には中村俊輔が出した浮き球スルーパスを、走り込んだ藤田がフリーで受ける。後ろから来たボールを好トラップで処理し、即ボレーを放つも、相手GKが正面でブロック。この2本を外したことが、結果的に致命傷になったと言えそうだ。
一方、残留が決まり、プレッシャーから解放された大宮アルディージャ。押し込まれる場面もあったが、のびのびとプレー。序盤はむしろ攻勢だった。中盤とサイドバック、時にはFWも有機的に絡み、両翼からえぐりにかかる。そして39分のCKで、坪内秀介が頭で押し込んで先制。
後半は横浜FMが、より攻撃的にシフトチェンジした分、守勢に立つ。しかし、ここで役だったのが、残留争いで培った粘度の高い守備。スリーラインを保ち、一人が突破されても適切なカバーリングで、最終的には決定機を与えない。
耐えたあとは報われる。終了間際の速攻。ラファエルのポストプレーで裏に抜けた李浩が2点目を沈め、GK北野貴之も相手エンドまで飛び出すほど歓喜に沸く。大宮は、完封勝利という最高の形で、シーズンを終えた。
ラストを飾れなかった横浜FM。せめてもの救いは、来季契約非更新選手のうち5人がピッチに立てたことだろう。松田、山瀬、河合、清水範久、坂田大輔がトリコロールのユニフォームに身を包み、駆け抜けた。彼らの雄姿を、ファン、サポーターはきっと忘れない。
以上
2010.12.05 Reported by 小林智明(インサイド)
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